237ールルウィン祭 1
さあ、起きてパレードを見るのだ。ディさんに手を振ろう。
リア姉とレオ兄と一緒に手を繋いで街に向かう。道中は朝よりお花が増えていた。
街に向かう道の両側にお花が出してあって、ずっと街まで続いている。鉢植えで育ててあるのだ。
そのお花の鉢植えが、其々の家の前に並べてある。
ルルンデの街中が、白色と黄色のアルストロメリアの花で溢れている。
午前中に降った雨がお花を濡らしていて、雨粒がキラキラと光っている。
アルストロメリアの道が街まで続く。白色と淡い黄色の花が溢れる街は、まるで水彩画を見ているようだ。
「きれいなのら」
「本当ね、去年は見られなかったから」
「ロロ、花冠忘れなかったんだね」
「れおにい、わしゅれないのら。とっておいたのら」
「ふふふ、ロロったら可愛い」
そういうリア姉も黄色のレイがお似合いだ。
ちゃんと俺はとっておいた花冠を頭に乗っけているのだ。もちろん、レオ兄やニコ兄だって乗せている。
「りあねえも、かわいいのら」
「そう? 有難う。ふふふ」
マリーやユーリアも一緒に行くお祭り。みんなでお出掛けってだけでも嬉しいのに、お祭りなのだ。もうワックワクなのだ。
思わず、俺もスキップが出てしまうぞぅ。
「しゅきっぷしゅきっぷ、らんらら~ん」
「アハハハ、ロロまた出来ていないよ」
「ロロ、一緒にするぞ」
「うん、にこにい」
ニコ兄を見ながらだとできる。良いお手本なのだ。
「せーの」
「しゅきっぷしゅきっぷ、らんらら~ん♪」
「ふふふ、そのお歌はなあに?」
「しゅきっぷのおうたなのら」
「そんなのあるの?」
「ちゅくったのら」
「アハハハ、ロロが作ったのか」
「しょうなのら」
だって、口遊みたくなるじゃないか。
そんな事をしながら街に着いた。広場では屋台で色んなものが売られている。お肉を焼く匂いや甘い匂いもする。
俺の完璧なスキップはできたのかって? それはまた次の機会までお預けなのだ。
「りあねえ、あれはなんなのら?」
「どれかしら?」
俺は屋台に並べてある真っ赤な丸いものを指さした。
真っ赤でツヤツヤ、キラキラとしていてまるで宝石の様だ。
「あれはね、いちご飴ね。いちごに飴がかかっているのよ。パリパリの飴を一口かじると、中からじゅわっと甘酸っぱい果汁が口いっぱいに広がるの」
「パリパリとじゅわわッ!」
「そうよ」
「りあねえ、たべたいのら」
俺は繋いでいた手を引っ張って、いちご飴が売られる屋台へと行こうとする。この世界にもあるのだな。飴なんて滅多に食べられないのに。
「ロロ、端から見て回りましょう」
「マリー、パレードにはまだ時間があるんだろう?」
「はいはい、大丈夫ですよ。でも少し早めに場所を取らないと、人がいっぱいでディさんが見えませんよ」
そうなのか? そんなになのか?
そうなのだろう。もう広場は大勢の人で賑わっているのだ。
男の人は頭に白い花冠を、女の人は首に黄色のレイを。ちびっ子から老人までみんな着けている。
その上、広場の中央の白い鳥さんの像には、花冠とレイが掛けられていて、もう鳥さんの形が分からなくなっている。お顔が半分埋もれているのだ。
その周りにある花壇にも、アルストロメリアが沢山咲いている。
広場の中央から周りの建物に向かって、お花で作った縄が渡されている。どうやってあんなに長い物を作ったのだろう?
俺は屋台を見たり上を見たり、あっちこっち見る物がいっぱいで大変なのだ。
「ロロ、抱っこしよう」
「えー、れおにい」
「人が多いし、ロロもキョロキョロしているから危ないよ」
「しょう? 分かったのら」
「わふ?」
「うん、今日は抱っこするよ。ピカも逸れないように付いて来るんだよ」
「わふん」
レオ兄とピカが話している。なんだか慣れないのだ。
ピカが、僕が乗せようか? と、言ってくれたのだけど、今日はレオ兄に抱っこしてもらう。
こんなに沢山の人を見たのは、この世界では初めてなのだ。それ位の人が広場に集まってお祭りを楽しんでいた。
「ロロ、あそこに的当てがあるぞ!」
「おー!」
的当てとは、先を丸くした矢を弓で射て並んでいる小さな的に当てる。どれかに当たったら何か貰えるのだ。射的の弓バージョンだ。景品が並んでいるわけではないのだけど。
弓の名手、ディさんに直接教わっている実力を発揮する時なのだ。
「レオ兄、やりたい!」
「分かった分かった」
これはレオ兄がやると反則なのだ。だってレオ兄は弓が得意なのだから。プロと言っても過言ではない。
ニコ兄だって、ディさんに教わっているから上手なのだ。
「おっちゃん、俺挑戦するぞ」
ニコ兄が挑戦だ。先が丸くなった矢を3本もらう。それを前に並んだ小さな的を目掛けて射るのだ。
1本目。ニコ兄が矢を番えギュッと弦を引っ張ってビュンッと射る。
並んでいる的を掠めて、パコン! と軽い音を立てて屋台の後ろの幕に当たってしまった。
「にこにい、おしいのら」
「ニコ、肩の力を抜いてごらん」
「おう、分かった」
レオ兄がアドバイスをしたら、ニコ兄の構えが変わった。
余計な力が抜けて、真っ直ぐに立っている。キリキリと弦を引っ張りまたビュンッと矢を射る。
今度はパコーンと良い音を立てて、的に当たった。何が貰えるのだろう?
お読みいただき有難うございます!
今日のハルちゃんの投稿は少し遅くなります。
申し訳ありません。
暑いですが、皆様お身体には気をつけて!




