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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第4章 お祭りに行くのら

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210ーよし、やるぞ

 赤ちゃん亀達は興味津々で、チョロチョロとこっちにいるけどいいのかな?


「くーちゃん、あかちゃんかめさんの、いけなのら」

「まあー、そうなのねーぇ」


 だから、池の大きさを見てほしい。

 クーちゃんよりコッコちゃん達の方が、何だ何だ? と、俺の側に勢ぞろいして、お首をヒョコヒョコ動かしながら見ている。

 相変わらず、コッコッコ、クックとお喋りしている。クーちゃんは呑気だからとか言っているのだ。


「充分なのよーぅ」

「じゃあ、掘ろうか。レオ、ニコ、ロロ」

「はい」

「ええー、どうするんだよ?」

「わからないのら」


 良いお返事をしたのは、レオ兄だけだった。ニコ兄と俺は、何をどうすれば良いのか全く分からない。


「ニコ、ロロ、自分の中の魔力を意識するんだ。魔力を流して、地面を掘るんだよ」


 レオ兄はよく分かっている。俺達に教えながら地面に手をつき、魔力を流してどんどん掘っていく。ディさんも、そうそうと頷いているのだ。

 でも俺は、そう簡単に言われても直ぐにできるものでもない。


「むむむむ」

「マジかよ。レオ兄、スゲーな」

「アハハハ、でも土属性は使い慣れてないからなぁ」


 それで慣れていないと仰る? 目の前の地面を、ガンガン掘っているのだけど。


「ほら、ニコ。頑張って」

「だってディさん、全然できないぞ」

「さっきレオが言っただろう? 自分の中の魔力に集中するんだ」

「よし、集中だな」


 と、ニコ兄が集中したらしい。するとどうだ。地面がボコボコと言い出して、レオ兄程じゃないけど少しずつ地面を掘っていく。

 ニコ兄もできてしまった。俺は焦っちゃうのだ。

 掘った土は池の周りに積んでよ。と、ディさんが指示している。


「おー、慣れたら簡単だぞ」

「えー、にこにい。れきないのら」


 レオ兄とニコ兄の側に並んでしゃがみ込み、小さな手で地面を触っているのだけど。

 むむむむと、集中しているつもりなのだ。


「ロロ、イメージしてごらん? レオやニコが掘っているだろう? それを見ながらイメージするんだ」

「むむむむ」


 イメージだね。よし、やるぞ! と、魔力を流す。土を掘るイメージ。すると、地面がポコッと掘れたのだ。ほんの少しなのだけど。


「あ、れきた?」

「うんうん、その調子だよ」


 よしよし、なんとなく分かった。これはもっと沢山魔力を流しても良いのだね。


「よし、れきるのら」

「そっか、ロロはセーブしてしまっていたんだね」


 ディさんの言う通りなのだ。俺はコッコちゃんの卵の件から、魔力をセーブする方に気を取られていたのかも知れない。

 俺は魔力量が多いと言われたし、コッコちゃんの卵に流した時には、ほんの少しのつもりだったのに多かったらしいし。

 今回はそんな事を考えずに、気持ちよくやってみよう。遠慮なく魔力を流すと、ボコボコとどんどん掘れていく。良い感じなのだ。


「ニコもロロも上手だ」

「ディさん、土属性って畑で使えるな」

「ニコ、だからそう言ってたじゃない」


 そうなのだ。畑を耕したりする時にも使えると、前にディさんが話していたのだ。

 ニコ兄は畑で作業する時に、便利な属性を持っているのに今まで全然使えなかった。だって魔力操作の練習をしていなかったから。

 なのにお墓参りの帰り道で、それを簡単にマスターしてしまった。

 だから、ニコ兄はきっと高い能力を持っているのだと俺は思うのだ。

 3人で地面を掘ると、小さな丸い池ができた。ここにまだ水路から溝を掘らないといけない。


「こっちは水路から水を取る方で、あっちが池から流す方。どっちも傾斜を考えて、掘らないといけないよ。先に水を取る方だ」


 ディさんが道筋を、また木の枝で印をつける。そこを掘っていくのだ。

 水を取る方と、流す方で傾斜を変えないといけない。


「レオ、池の底と側面を硬められる?」

「はい、ディさん」


 なんですと? そんな事もレオ兄はもうできるのか? 俺はレオ兄の隣でジッと見る。どうやってするのだろう?

 見ていても全然分からない。だって、両手を地面についているだけなのだもの。俺も精霊眼があればなぁ。


「れおにい、ろうやってしゅるのら?」

「ん? 硬くなれーって思うんだ」

「ふむふむ」

「アハハハ!」

「れおにい、しんけんなのら!」

「アハハハ。ごめん、ごめん。でも本当だよ。硬くなれーって、思いながらイメージして魔力を流すんだ」

「なるほろー」


 よし、俺も挑戦だ。だって俺はチャレンジャーなのだから。

 地面に手をついて、イメージして、硬くなれー……て、ならないのだ。


「あれれ?」

「ロロ、付与する時と同じだよ」

「でぃしゃん、ふよ?」

「そう、ハンカチとかに付与する時に思うだろう?」


 ああ、そうか。そう言う事なのか。よし、できるのだ。

 プチゴーレムを作った時だ。俺は無意識で魔力を付与していた。あの感覚なのだ。


「むむむむ」


 硬くなってね、お水をいれるから。ドロドロにならないように、硬くなれー。どうかな? できていると思うのだ。


「うん、ロロ。上手だ」

「ええー、ロロまで上手なのかよー」

「ニコ、ほら掘って」

「ディさん、分かってるって」


 ニコ兄が溝を掘っている。傾斜を考えているか? あれはきっと考えていないぞぅ。

 それでも、もう慣れたのかニコ兄がどんどん掘っていく。早いのだ。


お読みいただき有難うございます!

今、タイトルに第6回ESN大賞受賞とか入れているのですが、こちらに投稿されている作品の中では最長のタイトルになるらしいですよ。^^;

びっくりです。

応援して下さる方、明日も読むよ〜と思って下さる方は、是非とも下部↓にある☆マークから評価をして頂けると嬉しいでっす!

よろしくお願いします!

リリの4巻が9月に発売予定です。担当編集さん、頑張って〜!(๑˃̵ᴗ˂̵)/

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] どんどん出来る事が増えていくのは良いね!
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