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202/468

202ーピカさんまさか!?

「ピカ、おいで」

「わふん」


 えぇッ!? ピカなのか? まさかピカも剣を持つのか!?


「アハハハ! ロロが考えている物とは違うかなぁ」

「でぃしゃん、しょう?」


 びっくりしたのだ。ピカさん、とうとう剣を使っちゃうのか!? と、思ったのだ。だってピカさんは、スーパーなワンちゃんだもの。あ、ワンちゃんじゃないのだった。

 親方がピカの前足を入れて、背中の部分に付いているベルトを留める金具で留めた。ふむふむ、なるほど。て、全然分からない。


「ロロ、ピカに乗ってみて」


 俺なのか? ディさんにヒョイとピカに乗せられた。そして、ピカの背中で留めている金具から伸びたベルトを、俺の腰に巻いた。


「こうしてピカのハーネスと繋がっているんだ。これを外さない限り、ロロを抱き上げようとしてもできない」


 ああ、そうなのか。俺がピカに乗っている時に、ヒョイと抱き上げられて攫われたからだ。それを防ごうとしているのだ。

 俺を無理に抱き上げようとすると、ピカのハーネスが引っ張られる。それでピカが、気付かない訳がない。その間にピカなら、どうとでもできる。

 リア姉とレオ兄は、考えてくれていたのだろう。もう二度とあんな事にならない様に、自分達ができる事をしようと。俺が思っていたよりずっと、リア姉とレオ兄は自分を責めていたのかも知れない。

 くぅ~、リア姉とレオ兄の気持ちが嬉しいではないか。


「りあねえ、れおにい、ありがと」

「苦しくないかな?」

「うん、じぇんじぇんらいじょぶなのら」


 そしてもう一つ、革の輪っかが伸びていた。ピカの両脇からベロンと。


「それを持つんだ。そしたら安定するだろう?」


 ああ、なるほど。お馬さんに乗る時みたいなのだ。手綱の様になっていた。

 これは良いぞ。いつもピカの首輪や背中を、そっと持っていたのだけどこれなら安定する。


「ひょぉー、これはいいのら!」

「いいだろう? ちゃんと合図もできるぞ」

「あいじゅ!」


 ピカさん、ちょっと歩いてみて欲しい。首筋をトントンと、手で合図する。


「わふ」


 伏せていたピカが、手足を伸ばしてゆっくりと立ち上がる。小さなお店だからそんなに動けない。それでも、少し歩いてくれた。

 俺が右に手綱を引っ張ると、右に曲がる。左を引っ張ると左にだ。真ん中を引っ張ると、止まってくれた。


「いいかんじら!」


 ピカは苦しかったりしないのかな?


「わふん」

「よかったのら」

「ピカのサイズをちゃんと測ったからね、大丈夫だよ」


 いつの間にそんな事をしていたのだ? きっとピカが、クエストに付いて行った時なのだろう。

 心配かけてしまったのだ。それは分かっていた。でも、もっともっとそう思ったのだ。俺って語彙力がないけど。

 リア姉とレオ兄の気持ちが嬉しくて、泣きそうになっちゃったけど泣かないのだ。だって男の子なのだから。


「ロロ、まだあるんだ」


 レオ兄に、ピカから降ろしてもらい親方の側へ。

 親方が俺に付けてくれたのは、リア姉とお揃いの剣帯だったのだ。


「僕のもお揃いで、作ってもらったんだよ」

「もちろん、ニコのもあるわよ。其々色と模様が違うの。親方に無理言っちゃったわ」

「これくらい、無理なんかじゃないぞ。作り甲斐があるってもんだ」


 4人其々に、色や模様を指定したらしい。リア姉は深紅にお花の模様、レオ兄は藍色に木の模様、ニコ兄は黄色に薬草らしき植物の模様、俺のは緑に葉っぱの模様を、カービングで細かに施されている。

 革の色も原色の様な色ではなくて、ダークシルバーが混ざっている様なシックなシブイ色だ。

 そして全部の剣帯の端っこに、猫ちゃんの肉球マーク入りなのだ。


「これは其々が持っている、魔法の属性の色にしたんだ。ロロだけ特殊だから迷ったんだけどね」

「そうね。でも緑にして良かったわ。よく似合っているわよ」

「しゅごいのら!」

「どうだ、気に入ったか?」

「うん! おやかた、てんしゃいなのら!」

「そうかそうか! 俺は天才か! ワッハッハッハ!」


 俺はまだ剣を持っていないけど、それでも嬉しい。そうだ、家に帰ったらあの木の短剣があるのだ。


「ロロはちびっ子だから、本物の剣は持たせてあげられないけど」

「いいのら。おはかまいりに、もっていったのがあるのら」

「ああ、あの木の短剣か」

「しょうなのら」


 ディさんが何かを考えていたのだ。どうしたのだろう? ディさんもお揃いで欲しくなっちゃったりしたのかな? ふふふん、羨ましいのかな? 

 両手を腰にやって、ちょっぴり胸を張っちゃうぞ。


「そうか、僕がロロに作ってあげよう」


 ん? 何をなのだろう? ディさん、主語がないのだよ。


「ほら、今話していた木の短剣から、風の刃が飛んだのだろう? 剣は無理だけど、ちゃんとしたワンドを作ってあげるよ」


 わんど? わんどって何なのだ? 俺は知らない。腕を組んで片手を顎に持っていき考えるポーズなのだ。なんだろう? と首も傾げておこう。


「ああ、分からないかな? 小さな杖だよ。魔法を発動する為の媒体だ」


 おおー! それは凄いのだ。本格的だ。

 ディさんが言った『ワンド』とは? 魔法杖の一種なのだそうだ。

 ほら、ハリー◯ッターに出てくるやつだ。

 ディさんはよく魔法使いのイメージにある様な、オーヴの付いた長い杖を持っているらしい。見た事がないけど。


お読みいただき有難うございます!

いつも感想を有難うございます!

Xでも発表されていますので、ご存知の方もおられるかと思いますが、ロロが!

『第6回アース・スターノベル大賞』

奨励賞とコミカライズ賞を頂きました!

ロロのお話を、書籍化とコミカライズ化して頂ける事となりました。

この後、活動報告でもご報告致します!

皆様のお陰です。心からの感謝を!

今日も、応援して下さる方は是非とも下部にある☆マークから評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今度はカクヨムさんの画面からメッセージを書きますね。 レオ・リア・ニコ・ロロの活躍が、楽しみにしています。 書籍の予約をしなければ〜
[良い点] ワイ〜ロロ達に逢えますね。 発売したら即買います。 話を戻します。仲の良い兄弟でお揃い良いですね^ ^ ディさんからは、「ワイド」を作って貰えるなんて素敵( ◠‿◠ ) そうするとニコ…
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