202ーピカさんまさか!?
「ピカ、おいで」
「わふん」
えぇッ!? ピカなのか? まさかピカも剣を持つのか!?
「アハハハ! ロロが考えている物とは違うかなぁ」
「でぃしゃん、しょう?」
びっくりしたのだ。ピカさん、とうとう剣を使っちゃうのか!? と、思ったのだ。だってピカさんは、スーパーなワンちゃんだもの。あ、ワンちゃんじゃないのだった。
親方がピカの前足を入れて、背中の部分に付いているベルトを留める金具で留めた。ふむふむ、なるほど。て、全然分からない。
「ロロ、ピカに乗ってみて」
俺なのか? ディさんにヒョイとピカに乗せられた。そして、ピカの背中で留めている金具から伸びたベルトを、俺の腰に巻いた。
「こうしてピカのハーネスと繋がっているんだ。これを外さない限り、ロロを抱き上げようとしてもできない」
ああ、そうなのか。俺がピカに乗っている時に、ヒョイと抱き上げられて攫われたからだ。それを防ごうとしているのだ。
俺を無理に抱き上げようとすると、ピカのハーネスが引っ張られる。それでピカが、気付かない訳がない。その間にピカなら、どうとでもできる。
リア姉とレオ兄は、考えてくれていたのだろう。もう二度とあんな事にならない様に、自分達ができる事をしようと。俺が思っていたよりずっと、リア姉とレオ兄は自分を責めていたのかも知れない。
くぅ~、リア姉とレオ兄の気持ちが嬉しいではないか。
「りあねえ、れおにい、ありがと」
「苦しくないかな?」
「うん、じぇんじぇんらいじょぶなのら」
そしてもう一つ、革の輪っかが伸びていた。ピカの両脇からベロンと。
「それを持つんだ。そしたら安定するだろう?」
ああ、なるほど。お馬さんに乗る時みたいなのだ。手綱の様になっていた。
これは良いぞ。いつもピカの首輪や背中を、そっと持っていたのだけどこれなら安定する。
「ひょぉー、これはいいのら!」
「いいだろう? ちゃんと合図もできるぞ」
「あいじゅ!」
ピカさん、ちょっと歩いてみて欲しい。首筋をトントンと、手で合図する。
「わふ」
伏せていたピカが、手足を伸ばしてゆっくりと立ち上がる。小さなお店だからそんなに動けない。それでも、少し歩いてくれた。
俺が右に手綱を引っ張ると、右に曲がる。左を引っ張ると左にだ。真ん中を引っ張ると、止まってくれた。
「いいかんじら!」
ピカは苦しかったりしないのかな?
「わふん」
「よかったのら」
「ピカのサイズをちゃんと測ったからね、大丈夫だよ」
いつの間にそんな事をしていたのだ? きっとピカが、クエストに付いて行った時なのだろう。
心配かけてしまったのだ。それは分かっていた。でも、もっともっとそう思ったのだ。俺って語彙力がないけど。
リア姉とレオ兄の気持ちが嬉しくて、泣きそうになっちゃったけど泣かないのだ。だって男の子なのだから。
「ロロ、まだあるんだ」
レオ兄に、ピカから降ろしてもらい親方の側へ。
親方が俺に付けてくれたのは、リア姉とお揃いの剣帯だったのだ。
「僕のもお揃いで、作ってもらったんだよ」
「もちろん、ニコのもあるわよ。其々色と模様が違うの。親方に無理言っちゃったわ」
「これくらい、無理なんかじゃないぞ。作り甲斐があるってもんだ」
4人其々に、色や模様を指定したらしい。リア姉は深紅にお花の模様、レオ兄は藍色に木の模様、ニコ兄は黄色に薬草らしき植物の模様、俺のは緑に葉っぱの模様を、カービングで細かに施されている。
革の色も原色の様な色ではなくて、ダークシルバーが混ざっている様なシックなシブイ色だ。
そして全部の剣帯の端っこに、猫ちゃんの肉球マーク入りなのだ。
「これは其々が持っている、魔法の属性の色にしたんだ。ロロだけ特殊だから迷ったんだけどね」
「そうね。でも緑にして良かったわ。よく似合っているわよ」
「しゅごいのら!」
「どうだ、気に入ったか?」
「うん! おやかた、てんしゃいなのら!」
「そうかそうか! 俺は天才か! ワッハッハッハ!」
俺はまだ剣を持っていないけど、それでも嬉しい。そうだ、家に帰ったらあの木の短剣があるのだ。
「ロロはちびっ子だから、本物の剣は持たせてあげられないけど」
「いいのら。おはかまいりに、もっていったのがあるのら」
「ああ、あの木の短剣か」
「しょうなのら」
ディさんが何かを考えていたのだ。どうしたのだろう? ディさんもお揃いで欲しくなっちゃったりしたのかな? ふふふん、羨ましいのかな?
両手を腰にやって、ちょっぴり胸を張っちゃうぞ。
「そうか、僕がロロに作ってあげよう」
ん? 何をなのだろう? ディさん、主語がないのだよ。
「ほら、今話していた木の短剣から、風の刃が飛んだのだろう? 剣は無理だけど、ちゃんとしたワンドを作ってあげるよ」
わんど? わんどって何なのだ? 俺は知らない。腕を組んで片手を顎に持っていき考えるポーズなのだ。なんだろう? と首も傾げておこう。
「ああ、分からないかな? 小さな杖だよ。魔法を発動する為の媒体だ」
おおー! それは凄いのだ。本格的だ。
ディさんが言った『ワンド』とは? 魔法杖の一種なのだそうだ。
ほら、ハリー◯ッターに出てくるやつだ。
ディさんはよく魔法使いのイメージにある様な、オーヴの付いた長い杖を持っているらしい。見た事がないけど。
お読みいただき有難うございます!
いつも感想を有難うございます!
Xでも発表されていますので、ご存知の方もおられるかと思いますが、ロロが!
『第6回アース・スターノベル大賞』
奨励賞とコミカライズ賞を頂きました!
ロロのお話を、書籍化とコミカライズ化して頂ける事となりました。
この後、活動報告でもご報告致します!
皆様のお陰です。心からの感謝を!
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宜しくお願いします。




