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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第3章 領地に行ったのら

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184ーかっちょよかったのら

「そうだね、大きなお友達だ」

「うん」

「マリーはまだヒヤヒヤしますよ。そんな魔鳥なのに」

「まりー、こっこちゃんも魔鳥しゃんなのら。いっしょなのら」

「あらあら、そうでしたね」


 そうなのだよ。もうコッコちゃんは慣れっこになっているけど、魔鳥さんなのだ。

 それに、ロック鳥も悪い奴じゃない。

 さあ、朝食を食べて馬車に乗って、お墓参りに出発なのだ。

 それにしても、昨日はとっても中身の濃い1日だったのだ。ロック鳥とお話をした。俺じゃなくて主にレオ兄がだけど。

 愛妻なんていうほど、奥さんを大事にしている気の良い奴だったのだ。

 その後は対スライム2連戦だ。俺はスライムを見るのが初めてだった。

 よくアニメに出てくる、彼の有名なスライムだ。アニメで見ていたのとはちがった質感で、あんなに可愛らしくはなかった。当たり前なのだけど。

 そして、スライムのあの攻撃だ。まさか物を溶かす液体を、飛ばしてくるとは思わなかった。

 それを華麗に避けるリア姉とレオ兄。最高にかっちょよかった。痺れちゃうのだ。

 スライム2連戦は大変だったけども、俺にとっては大きな発見だったのだ。

 それは、リア姉だ。まさかリア姉にあんな魔法が使えるようになるなんて、化ければ化けるものなのだ。

 剣に青い炎を纏わせただけでなく、それを飛ばしてヒュージスライムをあっという間にやっつけたのだ。青い炎だよ、青。そこが重要なのだ。

 普通の火属性魔法の炎は赤よりのオレンジ色だ。それが、リア姉は青の炎を出した。ちみたち、分かるかな?

 そうなのだ、炎の温度が高いのだ。赤い炎は約1500度と言われている。これに対して青い炎は約10000度〜なのだ。『~』だよ。約10000度以上って事だろう?

 そんな凄い炎を出したのだ。これはきっと、俺にしか分かっていない事なのだと思う。

 だってこれは、前世の俺の知識なのだから。


「ふゅぅ~」

「ロロ、どうしたの?」

「きのうの事をおもいだしてたのら」

「あら、そうなの?」


 そうだよ、本当に凄かったの一言だ。

 うわッ、ヤバイッ! て思った時が2度もあったのだ。


「わふ」

「わかってるのら」


 はいはい、秘密なのだものね。分かっているのだ。

 俺は口が堅いちびっ子なのだよ。そんな事を考えながら、馬車の1番後ろに座って外を見ていた。昨日と同じ道を進む。長閑なのだ。

 あれ? 昨日より商人みたいな人が多く見える。みんな急ぎ足なのだ。何かあったのかなぁ?


「坊ちゃま等のお陰ですよ」


 ロック鳥の事かな? それとも、スライムかな?


「両方ですよ。お陰で塩の収穫が再開されたと、ハンザさんが言ってました。ハンザさんも、急いで塩を仕入れているんじゃないですか?」


 それは良かったのだ。


「ふふふん」

「なんだよ、ロロ」

「にこにい、りあねえとれおにいが、しゅごくかっちょよかったのら」

「そうだな!」


 マリーが心配するから、詳しくは言わないけどね。

 そのうち馬車が、岩場の近くに差し掛かった。遠くの方から、翼を羽ばたかせている音が聞こえる。ロック鳥だろう。

 レオ兄とニコ兄の間から、ヒョイと顔を出す。


「まら見えないのら」

「まだまだ遠くにいるよ。こっちの馬車には、気付いているみたいだけどね」


 レオ兄が岩場の方、少し遠くを見ている。

 小さな白いものが、どんどん近付いてくる。あっという間に、ロック鳥だと分かるまでになった。

 かっちょいいのだ。大きな翼をゆっくりと動かして、悠々と大空を飛んでいる。


「ロックちょうぅー!」


 レオ兄とニコ兄の間から顔を出したまま手を振る。ニコ兄も手を振っている。

 遠いから聞こえないだろうなぁ。

 ロック鳥は馬車の上を旋回して、返事をするように軽く一鳴きして飛び去って行ったのだ。


「まあまあ、怖い事」

「マリー平気よ。きっと挨拶に来てくれたのね」


 そのまま高台へ馬車が進むと、前に木立が見えて来た。

 その下が開けていて、白くて四角い同じ様な大きさの石が沢山並んでいる。陽の光が墓石に反射して眩しい。この世界の墓地だ。

 少し規模の大きい霊園の様な感じになっている。

 その墓地の近くに小さな教会があった。ルルンデにある教会よりも小さい。

 びおじいみたいな司祭様がいるのかな? いや、ビオ爺は不良司祭だとマリーが話していたのだ。もっと普通の司祭様がいるのだろう。

 その教会を通り過ぎ、墓地の前で馬車は止まった。

 やっと来た。本当はもっと早くに来たかった。

 両親が亡くなって、家を追い出されてバタバタしているうちに、あっという間に1年が過ぎてしまったのだ。

 やっと生活のリズムもできた。ほんの少しの余裕もできた。やっと来る事ができた。

 この世界では、街を出て移動するのは大変だ。

 まず交通手段がない。幸い、このフューシャの街とルルンデの街の間には乗合馬車が定期的に走っている。ちゃんと護衛も付いている。

 護衛が付いていても、道中は危険がいっぱいだ。魔獣が出て来る。偶に盗賊だっている。そんな危険を冒してまで、領外に出る一般庶民はあまりいない。

 俺達は人数が多いから馬車を1台借りた。そうじゃない殆どの人は、乗合馬車を利用する。

 そうしてやって来た、1年ぶりのお墓参りだ。この世界の両親……覚えていなくてごめんなのだ。

 馬車からリア姉に降ろしてもらい、白い柵で囲ってある墓地に入って行く。

 俺は、マリーと手を繋いでトコトコと歩く。リア姉は、ニコ兄が育てた花束を持っている。


お読みいただき有難うございます!

やっとやって来ましたお墓参り^^;

『ロックちょうぅー!』と、呼ぶのもどうなんだ?

お名前欲しくなりますね〜

応援して下さる方、面白いよ!と、思って下さる方は是非とも、下部にある☆マークで評価をして頂けると嬉しいでっす!

頑張りますよ〜^^;

宜しくお願いします!

うちの近所の書店には無かった2冊をば!

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] 青い炎で一瞬「炎色反応?」と思ったのは私だ!(偉そうwwwは)
[良い点] ちみたち…って(笑) 口髭をしごきながら講義するロロ博士が見える〜 そう言えば前世は研究職でしたね ロロさんのモノローグ、いつも面白いです
[良い点] 相変わらずなロロですね。 マリーもびっくり‼️ これからのリア姉の成長が楽しみです。あの剣にした青い炎の付与が偶然の産物でありません様にリア姉、精進してください。ロロの期待に応えて為にも…
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