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178ースライム退治 4

「本当だわ、全然流れてないじゃない。これじゃあ、畑が困るわよね」

「そうなのよ。この川があるから近くに井戸も掘ってないし、川から引いている農水路も干上がってしまったんだよ。だから、水やりが大変で大変で」

「そうよね。この地域のまとめ役の人には相談したの?」

「そんなのとっくにしてるわよ。領主様にも調査して欲しいって、何度も嘆願文を出してもらってるんだ。でも、一向に動いてくれなくて困っているんだよ」

「そうなの?」


 嘆願文を出していると言った。余程なんだ。

 なのに何の対処もしていないなんて、何をしているんだ?


「大丈夫よ、スライムが原因でしょう? 私達がこれから退治するから」

「本当かい!? 大丈夫なのかい? 気をつけるんだよ!」

「大丈夫よ、危険だから近寄らないでね」

「ああ、分かった。頼んだよ!」


 姉上は誰とでも気さくに話をする。

 貴族の中には庶民と話す時に、居丈高(いたけだか)に話す人もいるんだ。

 姉上はそんな事をしない。誰に対しても同じ様に接する。

 それは、生まれ持った性格もあるだろう。だけど、それだけじゃないんだ。

 俺達の両親がそうだった。自分達が敬意を表さなければならない立場の人には、ちゃんとそう対応する。

 だけど、庶民だからといって態度を変える人達ではなかったんだ。

 姉上や俺もそれを見て育った。だから、それが当然なんだ。

 学園へ通うようになって、自分達よりも格下の貴族に対して態度を変える人を見て驚いたくらいなんだ。


「そうしないといけない時もあるわ。でもね、人は皆生まれる家を選べるわけではないでしょう? 貴族が偉いわけでもないわ。皆が働いてくれてこその貴族なのよ。そこには責任があるの」


 幼かった僕と姉上に、まだ分からないわね。と微笑みながら、母上は話してくれた。それをよく覚えている。


「レオ、何してるの。やるわよ!」

「ああ、姉上!」


 ロロが起きたら、もう終わったよと笑って話せるように、怪我をしないように頑張ろう。


「レオ兄! 俺もやるぞ!」

「ニコ、ロロに付いていてちょうだい」

「ええー! だって俺もやれるのにー!」

「ロロを一人にできないだろう?」

「分かったよー」


 何を言っているんだ。ニコだってまだ幼いのに。

 ロロと一緒に、馬車にいてくれる方が安心だ。

 

「わふん」

「うん、ピカ。また頼むよ」

「わふ」

「ピヨヨ!」

「キャンキャン!」


 え、いつの間に降りたんだ? ちびっ子戦隊は、やんちゃで困るよ。


「そう、頑張ってね」

「ピヨ!」

「アン!」


 アハハハ、めっちゃやる気じゃないか。どうしてみんな、大人しくしてくれないんだろう?

 さっきは本当に驚いた。いつもは大人しいロロまで馬車から降りて、スライムを踏み付けていたんだから。

 怪我をしなかったから良かったけど。危険な事はまだまださせられない。守るんだ。


「レオ! 行くわよ!」

「ああ!」


 ああ、姉上に似たのかなぁ? 姉上の後を、ピカを先頭にちびっ子戦隊が走って行く。

 小さいのに早いなぁ。アハハハ!


「レオったら! 何笑ってんのよ! 早く!」

「分かった分かった!」


 もう、お転婆なんだから。



 ◇◇◇



「んん~……」


 なんだか揺れが止まったぞ? と、思って目が覚めたのだ。

 体が痛いぞぅ。ゆっくりと目を開けて体を伸ばす。

 あれれ? まだ馬車の中だ。でも、止まっている。ここはどこなのだ? ええっと、何してたっけ?


「ロロ、もう起きたのか? まだ1時間も寝てないぞ」

「にこにい、らって馬車がとまってるのら」

「2つめの川に着いたんだ。今からリア姉とレオ兄が、スライムを退治するんだ」

「ええー! ボクもやっちゅけるのら!」


 そうだ、スライム退治をしていたのだ。

 さっきはニコ兄と一緒に、スライムをグッチャグチャに踏み付けたのだ。

 今度だって、役に立つぞ。ちびっ子だって、やる時はやるのだ。

 俺の武器はどこいった? 木でできた短剣だけど、あれでスライムをブスッと刺すのだ。

 あれれ? ピカもいないぞ。


「にこにい、ぴかは?」

「一緒に行ったぞ。フォーちゃん達もだ」

「ええー。あ、しょうら。ちろ」


 チロはどこに行った? また、ペカーッってやってほしいのだ。


「キュルン」


 何処にいるのかと思ったら、俺のポシェットの中で寝ていたらしい。ヒョコッと顔を出している。


「ちろ、ぺかーッって」

「キュル」


 チロがポシェットから出てきて、俺の頭にピョンと乗った。それ、頭の上じゃないと駄目なの? まあ、いいのだけど。


「キュルン」


 チロが鳴くと、リア姉達がペカーッと光った。よしッ、これで少しは安心なのだ。


「あれ? もしかしてロロが起きたのか?」

「レオ、どうして?」

「だって、今チロが防御力アップを掛けてくれただろう?」

「え? そうなの?」


 レオ兄がこっちを見たのだ。よし、応援しておこう。


「れおにいー! がんばってー!」

「おー! がんばれー!」


 レオ兄が大きな口を開けて笑っている。笑いながら、手を振ってくれたのだ。

 レオ兄はチロが、ペカーッてした事に気が付いたのだ。リア姉は分かっていないだろうな。

 でも、今回はリア姉に頑張ってもらわないと。なにしろ、俺達兄弟で火属性魔法が使えるのはリア姉だけなのだ。

 見ていると、さっきと同じようにピカが風属性魔法でスライムを湖から出した。

 バラバラと巻き上げられるスライム。それをまとめてリア姉が炎で燃やしていく。

 さっきより手際が良い。慣れたのだ。

 だが、少しピカさんの様子が変なのだ。何かをレオ兄に訴えている。


お読みいただき有難うございます!

リア姉さん、やる気です。

宜しければ、下部の☆マークから評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします!

売れているのかしら?どうなのかしら?

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今度もリア姉が火属性魔法でスライムを退治。 ロロもお昼寝から目覚めて、大人しく見学❓ でもピカさんが少し様子がおかしい。 どうした❓ スライム以外の魔物でのいるのか❓  [一言] ピカさん…
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