129ー大好きなのだ
「でぃしゃん、えるふはちがうの?」
「そうだね。ちびっ子の頃は変わりないかな」
「いちゅからちがうのら?」
「10代から20代だね。見た目や身体的にはほとんど年をとらないんだ」
「へえ~」
そうなのか。ディさんの見た目は20代前半だ。でも、違うのだ。
「20代の見た目で、ほとんど止まるんだ。それからとてもゆっくりと老化していくんだよ。エルフの長老なんて何歳だろう? たしか2000歳を過ぎていたと思うな。でもまだ全然元気だ」
「ふぇぇぇーッ!? にしぇん!」
「そうだよ。エルフ族は長命種だからね」
凄いのだ。俺達とは全然違う。そう言えば……
「でぃしゃんのお耳、あんまり尖ってないのら」
「ああ、僕はハイエルフだからだ」
「はい? はいえるふ?」
「そうだよ。一般的に認識されている、耳が長くて尖っているエルフとは少し違うんだ。ずっとずっと昔、まだこの国だってなかった頃はハイエルフしかいなかったんだよ。その中で魔素を沢山浴びて、能力が少し退化してしまったエルフがいるんだ。その子孫が、みんなが知っているエルフだ。コッコちゃんから進化したハイコッコちゃんとは逆だね」
そう言って、またバシコーンとウインクをした。これはきっとディさんの癖だ。
ディさんはよくウインクをする。そのウインク攻撃に、やっと少し慣れてきたのだ。
最初は、あまりにも綺麗なのでクラクラしたのだ。そんな気持ちって事だけど。
でも、エルフ族にも色々あるのだと初めて知った。俺はまだまだ何も知らないのだ。
「ハイエルフはこの大陸の中央にある大森林から、滅多な事では出てこないから区別がつかないんだろう」
「へえ~、えらいの?」
「アハハハ、僕は偉くないよ。僕の父は少し偉いかも」
「ほぉ~」
エルフ族の国かぁ。この国からはとてもとても遠くにある国なのだ。何日かかるのだろう?
でも、大人になったら行ってみたいなぁ。
「でぃしゃん、ボクれもいける?」
「ん? エルフの国にかな?」
「うん。行ってみたいのら」
「そう! ロロが行きたいなら僕が案内するよ」
「ほんと?」
「ああ、本当だ。嬉しいよ」
ふふふ。本当に嬉しそうにディさんが笑った。俺まで笑顔になる。
俺が大きくなって、リア姉やレオ兄、ニコ兄が家庭を持ったりして。俺ももっと強くなったら行ってみたいのだ。
うん、強くならないと。ヨワヨワなままでは駄目だ。
ディさんに、おんぶに抱っこでは駄目なのだ。何故なら俺はチャレンジャーなのだから。
「でぃしゃん、ボクもちゅよくなるのら」
「どうしたの?」
「ちゅよくなって、でぃしゃんといっしょに、えるふの国に行くのら」
思わず、拳を上げた。うん、俺の目標が1つできた。
ディさんが、平和で優しい良い国だと言った国を見てみたい。そう思ったのだ。
「ロロ、有難う」
何で『有難う』なのだ? 有難うはこっちだ。
「僕が生まれ育った国に、行ってみたいと言ってくれて嬉しいよ」
「らって、ボクはでぃしゃんがしゅきらから」
「僕もロロが大好きだー!」
抱き付いてきたディさんは、そのまま俺を抱っこした。
ディさんは俺の父さまではない。ないのだ。ヒューマンでさえない。
でも、俺はディさんが大好きなのだ。
お野菜の畑で嬉しそうに小躍りしているディさんも。
攫われた時に泣きそうな顔をして助けに来てくれたディさんも。
一緒に幸せそうにお昼寝しているディさんも。
爽やかな森の様な良い匂いのするディさんも。
全部、全部、好きなのだ。
「ロロ! ディさん!」
前からリア姉とレオ兄、ピカが走って来た。もう、そんな頃合いなのか?
まだ、夕焼けには早い時間なのだ。
「ディさん、マンドラゴラが生えていたんです!」
「ああ、そうなんだよ。それで、こっちまで来たんだ」
「森からは僕達が抜いてきましたよ」
「そう、助かったよ」
「わふッ」
「ぴか、おかえり。らいじょぶらよ」
「わふん」
ピカが、疲れているの? 僕が乗せてあげようか? と、言ってきた。
ああ、俺は何て幸せ者なのだ。兄弟だけじゃない。マリー家族、ピカ達、それにディさん。
みんな大好きなのだ。
思わずディさんの首に両手を回してしがみついた。胸がじーんとしたのだ。
「あら、ロロったら。甘えているの?」
「ちがうのら」
「ロロ、疲れたのか?」
「れおにい、ちがうのら」
「ふふふ、僕は役得だ」
マリーと同じ事を言ったディさん。
マリーも俺が夜泣きした翌日、抱っこしながら同じ事を言う。『マリーの役得ですよ』と、微笑みながらいつも言ってくれる。
なんだか心がポカポカして、涙が出そうになるではないか。
みんな、なんて優しいのだ。
おっと、大事な事を思い出したぞぅ。
「しょうら、でぃしゃん。くーちゃんのとうろくら」
「そうだね。レオに会って良かった」
「ロロ、クーちゃん?」
「しょうなのら。かめしゃんのおなまえなのら」
「名付けしたのか?」
「しょうなのら。ペカーッて」
「アハハハ、光ったのか」
「しょうなのら」
プチゴーレム達のお名前も、披露しておいたのだ。
「やだ、ロロ。数じゃない」
「らってりあねえ、むりむりなのら」
「そうよね、5体もいるんだもの」
「しょうなのら」
「でも、可愛いだろう?」
「アハハハ!」
レオ兄が思い切り笑っている。ウケちゃったのだ。お名前でウケるってどうなのだ?
リア姉やレオ兄と一緒に冒険者ギルドまで行った。もうギルドの前や中は、いつも通りに戻っていた。
いつも通りでも、この辺りは街の中心なので人通りが多い。ギルドの中も、丁度戻ってきた冒険者達で賑わっていたのだ。
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