118ーちゅよいのら
「ロロ! どうなってんの!?」
「ちゅよいのら」
「いやいや、そうじゃなくて!」
「ん? ちゅよいのら」
「アハハハ! ロロ、ディさんは雛と土人形の事を言ってんだよ」
「うん、らからちゅよいのら」
だってそうだろう? この子達がボアを足止めしていたんだ。ピカが止めを刺したけど、そうじゃなくても倒していたかも知れないのだ。
「とってもちゅよいのら」
また俺が、そう言いながら小さな土人形を指さす。
それを見たディさんは、今度は、あんぐりと口を開けて驚いている。
ディさんのあんな顔は初めて見たのだ。ぷぷぷ、イケメンでもそんなに驚いた顔をするのだね。
「ロロ! 今度は何したの!?」
「えぇー」
何もしていないのだ。俺はただ、ご機嫌で土人形を作っただけなのだ。
そうだよ、コネコネペッタンペッタンして……おやおや? もしかして、俺が無意識で魔力を込めていたのか? そういう事なのか?
「わふ」
ピカがそうだと言った。気付いていたのなら、言ってくれれば良いのに。ピカさんよぅ。
「わふわふ」
「え、しょんなことないのら」
「わふん」
態とやっていると思っていたそうなのだ。どうしてだよ、そんな訳ないじゃない。
でも、役に立ったから良かったね~。なんて呑気な答えが返ってきた。
そうだよ、ピカさんはいつもそんな感じなのだ。最近は心配性だけど、俺のする事は大抵のんびりと見ている。そんな感じだったのだ。
「ロロ、ピカは何て?」
「ボクがまりょくを流しながら、土人形をちゅくったって。役にたってよかったね~って」
「アハハハハ! そうなの!? そりゃ良かった!」
また、ディさん大爆笑なのだ。本当に、笑い上戸だ。
俺とニコ兄は朝ごはんの続きを食べた。冷めちゃったけど美味しかったのだ。
電子レンジで、チンとかできないから不便だ。ディさんも一緒に特盛サラダを食べていた。
やっと朝食も終わり、ディさんが検証したのだ。
ディさんの前に、横一列に整列している小さな土人形。我ながら、なかなか良く出来ているのだ。
そして、ついでにオレンジ色した雛達3羽も胸を張って並んでいる。可愛いぞぅ。
「ふむふむ」
「ロロ、なんだ?」
「にこにい、なかなかかわいいのら」
「なんだよ、自分で作っておいて」
「えへへ」
「これ、ピカだよな?」
「しょうなのら。かわいいのら」
「分かったって。アハハハ。じゃあ、俺は畑に行くよ。ユーリア、行こう」
「ええ」
「ああ、待ってユーリア。お弁当」
「おばあちゃん、有難う」
「いってらっしゃい」
「マリー、行ってくる!」
「行ってきます!」
今日も元気に出掛けて行ったのだ。俺はニコ兄とユーリアを見送る。手をフリフリしてね。
リア姉とレオ兄はまだ戻って来ない。何してるのかなぁ? まだ、ドルフ爺とボアのところにいるのかな?
その間もディさんは、土人形を1体ずつ手に取って見ている。横から見たり、下から見たり、ずっと精霊眼で見ているのだ。
そして、1体ずつ土人形の頭を撫でて褒めてくれている。
「君達が倒してくれたんだね。有難う」
と、声を掛けながらだ。土人形はみんな短い尻尾を振っている。舌を出してヘッヘッヘッと息をしている。ディさんに褒めてもらって嬉しいみたいだ。
まるで、本物のワンちゃんなのだ。俺はお口の中まで作っていなのに、どうなっているのだろう? 見てみたいのだ。
「ぴかのころもらよ」
「わふッ!?」
ピカさん、どうしてそこで驚くのかな? だって、ピカを模しているのだ。立派なピカの子供なのだ。嫌なのか?
「じゃあ、ぴかのこぶんなのら」
「わふん」
それなら納得できるんだって。土人形達のボスはピカに決定なのだ。
「で、ロロ。君はいつの間にゴーレムなんて作れる様になったのかな?」
お、ちょっぴりディさんの笑顔が怖いぞぅ。
俺がディさんに迫られていると、直ぐそこでコッコちゃん達が騒いでいた。どうした?
「コケッ」
「コッコッコッ」
「クックッ」
見てみると、大人のコッコちゃん達の前に例のオレンジ色した雛3羽が並んでいる。
さっきは自慢気に胸を張っていたのに、今度は小さな体をより小さくしている。
あらら、叱られているのだ。それは仕方がない。コッコちゃん達は、心配しているのだよ。
危ないのにあんな事をして。まだ小さいんだから。と、お説教だ。
「ロロ、どうしたのかな?」
「おれんじ色のひな」
「うん、その子達は……もしかしてお説教されているのかな?」
「しょうなのら。ぼあにキックしてたから」
「え……!?」
「ぼあにのってキックしてたのら」
へへんと少し自慢気に言ってみた。
「ハァ~、もうどうなってるの? ロロ、全部話してくれる?」
「わかったのら」
俺は最初から話した。ピカが最初に異変に気付いた。それからみんなで見に行った。そしたら、もうボアの上にオレンジの雛達が乗ってキックしていた。土人形達も走りながらキックしていたと。最終的にはピカが魔法で倒したのだと話をした。
「ピカは強いね」
「うん、しゅっごくちゅよいのら」
「わふん」
ロロを守る為だよと言ってくれている。ありがと。首筋を撫でてあげよう。ワシワシと。
「雛の次はゴーレムかぁ」
ん? ゴーレム? 俺の土人形の事なのかな? ピカを撫でる手を思わず止めたのだ。
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