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11ーレオナルトの思い

 昨夜またロロが泣いた。両親が亡くなってから時々夜泣きをするようになった。

 ロロはまだ3歳なんだ。小さなロロの心が悲鳴を上げているんだ。

 僕はロロを抱きしめる。頭を撫でて、背中をトントンとして、大丈夫だよと声を掛ける。

 そんな事しかできないんだ。姉上や僕では両親の代わりにはなれない。

 いつの間にかピカも心配して、ロロに擦り寄っている。


「れおにい……ヒック……ごめ、ごめんなしゃいぃ」


 謝りながら泣くロロ。謝らなくていいんだ。もっと甘えていいんだ。

 ロロはとっても良い子なんだ。僕達に心配を掛けないようにしているのだろう。沢山我慢しているのだろう。

 そんなロロが可愛くて心配でならない。

 翌日、姉上とギルドでクエストの受付を済ませ、ダンジョンに向かいながらロロの話をした。


「姉上、昨夜ロロが……」

「夜泣きしたの?」


 何度も夜泣きをしているから、姉上も直ぐに分かるんだ。


「うん」

「そう……」


 ピタリと足を止めた姉上。


「姉上?」

「私、今日はロロといるわッ!」

「何言ってんだよ」

「だって……だって、可哀想じゃない! 心配じゃない! ロロが泣いていたのよッ!」


 と、頬を赤くして目に涙を溜めながら訴えてくる。

 昨夜、ロロが泣いていても起きなかったのに。


「はいはい。ほら、行くよ」

「だって、レオ!」

「大丈夫だよ。きっと今頃マリーが抱っこしてくれているよ」

「私が抱っこしてあげるのッ! 抱っこしたいのぉッ! ロローッ!」

「分かった分かった」


 僕は姉上の手を引っ張って歩く。


「レオ、心配なのッ!」

「分かってるよ。僕だって心配だ」

「なら……!」

「でも僕達が引き返したらロロは気にするよ? 気を使うよ?」

「それは……」

「だからマリーに任せて、僕達はいつも通りクエストを終わらせて無事に元気に帰るんだ。分かった?」

「もう……分かったわよぅ」


 グシュグシュと鼻を鳴らしながら歩く姉上。そんなんでクエスト完遂できんのか?


「ほら、姉上。胸張って。いつも通りに元気にだよ」

「うん」


 ロロが泣く度に、姉上を宥める。


「よしッ! 美味しいお肉を持って帰ろう!」

「姉上、今日はピカを連れてきていないから」

「少しだけでもいいの!」

「分かったよ。じゃあ、早くクエスト終わらせてロロの好きな角兎でも狩ろう」

「ええ! 速攻で終わらせるわッ!」


 この日、俺達が受けたクエストは魔石の納品だ。魔石を集めようと思ったらダンジョンで魔物を討伐しないといけない。


「よしッ! ガンガンいくわよぉーッ!」


 ああ、張り切ってしまっているよ。いつも以上に突っ込んで行く。僕はいつも以上に注意しながら付いて行く。

 ロロの為に張り切って、それで怪我でもしたら元も子もない。余計に心配を掛けてしまうじゃないか。

 いつもこれだけ頑張ってくれたらいいのに。て、少し思う。

 姉上は公言通り、昼過ぎにはクエストを終わらせていた。


「さあ、角兎を狩るわよぉッ!」


 元気だ。ダンジョンで散々暴れたのに。

 本当に元伯爵令嬢なのか? て、疑ってしまう。ドレスを着ていた姉とは別人の様だ。

 両親が亡くなってから学園を退学し、婚約も解消され、家まで追い出されて姉上だってショックを受けている筈なんだ。

 それでも、俺達弟に心配を掛けまいとして明るく笑っている。

 まさか、冒険者になるなんて思ってもいなかった。

 ちょっと突っ走り過ぎてしまう時もあるけど、良い姉だと思うよ。


◇◇◇


「ただいまーッ! ロロ、角兎狩ってきたわよーッ!」

「ひょぉー! うしゃぎ!」

「ふふふ、ロロ好きでしょう?」

「うん。しゅき。だいしゅきら! りあねえありがと!」

「ロロー! 可愛いぃ~ッ!」


 またリア姉が俺のほっぺにスリスリしてくる。俺のムチムチほっぺは極上だろう?


「りあねえ、だいしゅき」

「私もロロが大好きよーッ!」


 俺は姉の首に抱き着く。きっと昨夜俺が夜泣きしたから心配してくれているんだ。リア姉は分かり易い。

 そう思ってレオ兄を見ると、しかたないな~って顔をして苦笑いをしている。やっぱそうなんだ。


「あッ! 角兎じゃん!」


 ニコ兄がやって来た。ニコ兄もこの角兎が好物だ。と、いうかみんな好きだ。ジューシーで美味しいのだ。


「ほら、姉上。手を洗って」


 レオ兄の方が落ち着いているのだ。やっと俺は解放された。


「ロロ、みんなで食べよう」

「うん、れおにい。ありがと」


 マリーが早速角兎を料理してくれる。単純なソテーなのだ。いつもはバターソースで、ベリーがある時はベリーソースになる。


「ロロ、明日ベリーを摘みに行こう。沢山実が生っている場所を教えてもらったんだ」

「ひょぉ! にこにい、ベリー」

「まあまあ! じゃあマリーも付いていきますね! ユーリアも行くんでしょう?」

「もちろんよ。沢山摘んでジャムにしましょう!」

「いいなぁ~、食堂の仕事がなかったらあたしも行くのにぃ」

「エルザは休めないだろう?」

「うん、無理ね」

「私も行くわッ!」

「何言ってんだよ、姉上はクエストがあるだろう?」

「えぇ~。レオ、駄目?」

「駄目です。明日もダンジョンだよ」

「はぁ~い」


 みんな揃っての夕飯だ。賑やかで楽しい。

 沢山食べて、沢山笑ったのだ。心配かけちゃったのだ。

 でも、夜泣きは不可抗力なのだ。もう少しの間、ごめんなさいなのだ。


お読み頂き有難うございます!

ロロの冒険は如何でしょう?

まだ手探りなところもありますが、ロロの個性を分かって頂ければと思ってます。

宜しければ、評価やブクマをして頂けるととっても嬉しいでっす!

宜しくお願いします!

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