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神になりますか?いいえ魔王になります!!  作者: 隼龍デーティ
第一章 始まり
3/6

三話 選択の先へ

「ディアナ、か。いい名前だな」


 そう、笑いかける創永は、未だに立ち上がれずにいた。


「そう? ありがとう」


 笑顔には笑顔で返してくれるディアナ。今のところ、雰囲気は悪くはなかった。


「ところで、何でこんな場所で寝ていたの? 森の中は危険だよ?」


「あー、それはそうなんだが……ちょっと試したいことがあったからさ、やってみたんだけどね〜、あまりにも体力を使ってしまってね?」


 抽象的なものの言い方をしてしまうが、本当のことを言って何か起こるよりはマシだ。


「ふーん? あまり無理は良くないよ?」


「あぁ、今後は気をつけるよ」


 少しバツの悪い笑みで返した創永だが、ディアナがそれをあまり気にした様子はなかった。


 二人はお互いに黙り込んでしまう。

 これ以上、特に話す内容も見当たらなかったのだ。


(沈黙は不味いよな……でも、俺、話は上手くないぞ? 何か無いか、話のネタ的な)


 一人で黙々と考えを深めていると、ディアナの方から話を振ってくれる。


「あの、これから何処かに行く予定とかあります?」


 これは、何か意味を持った質問なのだろうか。そんな曖昧な考えで、これから先のことも考え始める。


「いや、特に行きたい場所はないかな? それより、のんびり出来そうな場所を知らないかな?」


 のんびりと聞き、思い当たる節がありそうな表情をしている。


 しかし、すぐに困った表情に変わったので、何やら問題があるようだった。


「あの、のんびりできる場所は知っているのですが……どうお伝えしたらいいか」


「なるほど……それってここから近い? それとも、遠い?」


「とても近いですよ? 問題はそこに入れるか、なのですが……」


 創永の中では二つの選択肢が生まれた。


(警備が厳しいから入れないのか、余所者を嫌う傾向があるから入れないのか……まぁ、結局のところ向かうか、向かわないかの二択なんだが)


 自分の中では答えが決まっていたが、ふとディアナの顔を見てしまう。

 特に変わった表情はしていないが、何故がとても気になってしまう表情だった。


 ディアナも見られていることに気付き、頬を染めそっぽを向いてしまう。


「よし、決めた! ディアナ、その、のんびりできる場所を教えてくれないか?」


 意外な選択だったのか、驚いた表情で固まっているディアナ。


「いいのですか? もしかしたら入れないかもしれないんですよ? 無駄足になるかもしれませんし……」


 ディアナは真面目に考えていた。無駄足だとか、入れないかもだとか、そんなものは行ってみなければわからないというのに。


「あー、なんとかなるよ、きっと! まぁまぁ、それよりも、その場所まで送ってくれる?」


「お、送る!? ま、まぁ、構いませんが、同じ方向ですし……」


 ディアナのあたふたとする様を見て、ほんの数瞬間だが、何処か懐かしく感じられた。


 創永は、ゆっくりと立ち上がり、土埃を落とす。


 ディアナも辺りを見回し、方向の感覚を戻していた。


「さて、行きますか!! ディアナ、二回目だが、案内よろしく!!」


「はい、喜んで! てか、急に馴れ馴れしくなりましたね!?」


 創永は、ディアナのノリツッコミに心の底から笑ってしまう。

 そんな中、二人は森の中を歩き始めるのだった。


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