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更新停止中 イズちゅん  作者: ちゅん助の!
第四章 熱狂と蟲の街 ガリン
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第四話 その32 蟲の王

 第四話 その32 蟲の王


「七の月」

「恐怖の大王が来た」

「巨大なる蟲の王」

隷下れいかの蟲は」

「大地を埋めて」

「死骸の上で民踊り」

「街踊る」

「そして王が来た」

「姿見た者」

「怒りに触れて」

「王は追う」

「逃れ得ぬ死」

「熱狂の街」

永遠とわに眠る」



「巨大な蟲の王!?」


「熱狂!バルブだお!」


「開け閉めしてどうすんだ!」


 ポカ!


「さておき、そんなおっそろしい伝承が?」


「あくまで言い伝えなのです」

「何しろグソクに滅ぼされたとされる街はずっと旧い街とされていて」

「一人の生き残りも居ないとされていますので」

「真偽の程は誰にも分からないのですが」

「恐怖の大王を見た街は必ず滅ぼされるとも云われています」

「そしていい伝えの七の月、それは今月なのです…」


「!」

「水着撮影会の季節だお!イズサン!」


 ポカ!


「熱狂の街と言うのが気になります」


「私も同意見なのです」

「伝承による滅ぼされし街、それがガリンの今の姿と同じだとしたら…」

「その熱狂が今のガリンと同じように」

「グソクによる経済効果によってもたらされていたとしたら…」


「ここガリンで同じことが起きると!?」


「そうとは限りませんがそうではないとも言い切れません」

「ですが伝承とこの街の状況があまりにも似てはおりませんでしょうか?」

「私はそれを危惧しています、いや脅威と言っていい」


「うーん」


 俺は思わず唸った。


 ガレッタの言う伝承は聞くだけでも恐ろしい。

 まるでこの街の事を言っている様ではないか!?

 この街でこれから起こる事でもあったら!?


 正直言えば、何事も起こらぬうちにこの街を立ち去りたい…

 

 伝承の中で最も都合が悪い事!


 それは


 姿を見た者、怒りに触れて、王は追う、逃れ得ぬ死


だとおおおおおおおおおおお!!!!????

 

 俺達が見た影がそいつだったらションベンどころの話ではない…脱糞ものだろ!


 オイオイ!オイオイ!


 とんでもねえ地雷踏んでないか?俺達…


 捉え様によっては王の姿を見た者が熱狂の街に大厄災をおびき寄せてしまうともとれるじゃねーか!

 

 影だから!俺たち見たの影だから!

 いやいや土煙だけですから!

 姿は絶対見てませんから!


 俺は恐る恐るガレッタの顔を窺った…


「勇者様、どうかされましたか?」


「エッ!?」

「いやいやなんでも!」


 万が一、そのおっそろしい蟲の王とやらが来ちゃった場合、とても責任とれませーん!


 なんとか話題を逸らさなくては!

 

 にしても王が追って来るだとう?御免蒙る!王将は自陣営で籠っててくれよ!

 えらいフットワークの軽い王だな!


「ぶわっはっはw!王様の癖に自ら追って来るとは感心な奴だおwww!」


(バカ!ちゅん助!そこに触れるんじゃあないよ!)

(責任を追及されたらどうするんだ!)


「先頭に立って街を滅ぼすという大戦果まで挙げて!」

「きっと凄い王様に違いないお!」


「凄かったら困るだろうがッ!」


 事のヤバさ、俺達の置かれた状況のマズさに全く気付いてないちゅん助が目を輝かせている!

 あまりの無神経さに思わず怒鳴ってしまった。


「イズサン!わしの勤めとった会社の会長なんかな!」


 あの2サイクルの可搬ポンプのくだりで出てきた会長の事か…


「毎月毎月!顧客の所に出張で飛び回って顔出しとったんよ!」


 あれ?コイツの話では悪党の総元締めで口だけの政治家タイプのイメージだったはずだが?

 意外にも精力的に営業に回ってらっしゃる?


「にもかかわらず!」

「ビッグプロジェクトの締結やら新たな契約決めてきた!」

「なーんて話はゼロだお!ゼロ!」

「要は会社の金で遊び歩いとるだけの奴なんだお!」

「それで仕事しとる気になって政治家みたいな!」

「うわっつらだけの熱弁ふるうから余計たちが悪いお!」


 なるほど…


「それに比べたら蟲の王は街を滅ぼすとか!」

「大戦果を挙げて凄いおw!」

「尊敬できるトップだお!」


「アホウ!人間側が滅ぼされちゃってるの!それ!」


「心配するなお!イズサン!」

「指揮官自ら最前線に出るようなアホだった場合!」

「会長と同じで口ばっかりで大したことないんだおw」

「ワンパンKOだお!ワンパンKO!w」

「わが社のトップの知能は凄まじくひくいッ!」

「ネッ!皆さん!」

「こういう!事なんですッ!」



挿絵(By みてみん)



 恐らくその会長とやらの熱弁の物まねをしているのであろうが…お前以外は全く分からないんだ…

 恐らく会社在籍中にそれを披露して社員にバカ受けであったであろう事だけは想像してやるが…


 ガレッタ隊長の顔を見ろ!ポカンだ…


 まあもし万が一追って来る王様が居たら、頼むよ…ワンパン。


 しかし!しかしだ!


 欲を言えば、何とか治癒士ヒーラーとの面談まで何事も無い様に祈って!


 用が済んだらとっとと立ち去ろう!


 なにしろ、治癒士さんは美人で礼儀正しく、素晴らしい方との評判なのだ。


 これを逃すとか…

 それはあまりにもったいないだろ!


 ちゅん助に足を引っ張られれば引っ張られるほど、逆に面談したくなるのだ!

 そんな都合の良い事を考えていた。


「しかしだお?ガリン周辺は山ちゅーか険しい崖みたいなのが北に二つ聳えるだけで」

「それ以外は呆れるほど広い平原ばっかだお?」


 ちゅん助が疑問を呈した。


「だから?なんだよ?」


「いやイズサン!そんな平原続きでだお?」

「そんなクソでかなダンゴムシなら」

「どこに居たってすぐ見つからんかお?」


「言われてみれば…確かにそうです」


「うん?それもそうだな…」

「じゃあ俺達が見た巨大な影は?なんなんだ?」


「土煙にまみれてたなお」


「地面を掘って移動してるとかか?」


「うーん、そんなデカい虫が穴掘ったら馬車でも通ったら陥没しそうなだお?」


挿絵(By みてみん)


「地面が崩れ落ちるとかそういったことがこの街周辺で起こった事はあるのですか?」


「そんな話は一切聞いておりません」

「ガリン平原は、平原といっても1mも掘れば硬い岩盤があるのです」

「それ故、土が育たなくてグソクの肥料が特に重宝されたという経緯があるので」

「巨大な生物が地下を掘るなどというのはかなり難しいのではないかと…」


「影の正体は分からずじまいだなお」


「俺達も実体を見たわけじゃないからな」

「アレがデカい個体であったかどうかすら分からない」

「土煙が派手だったのとあの気味悪い鳴き声で恐怖して」

「恐怖感から相手が大きかったと勘違いしたかもしれないな」


 という事にしておこう…という事にしてくれ!


 ザアーーーーーーーーーーー!


 窓の外で突然の雨音がした。気付けば陽が落ちて周囲も暗くなっていた。


 第四話 

 その32 蟲の王

 終わり

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