第四話 その31 伝承
第四話 その31 伝承
「な!なんですとぉーーーーー!!!」
巨大な影と言う単語に、ガレッタは激しく動揺し大声を上げた!
「ど!どうしたお!?隊長!そんな大声出して!」
「い、いえ!これは…失礼しました!」
「し!しかし!」
「影!巨大な影と言うのは!?」
「姿は!?」
「確認はされたのですか!?」
「大きさは!?」
「特徴はッ!」
「隊長さんどうしたお?そんなに興奮して、落ち着いて欲しいお?」
「し、失礼しました。し!しかし!これは事によるととんでもない事に!」
「とんでもない事?」
「申し訳ないですが影の正体は分かりません」
「相当な数に囲まれて焦ってましたし」
「見たと言っても、かなり後方で土煙が上がっていて正確な姿までは…」
「影が恐ろしく巨大だったとしか」
「そう言えば!」
「鳴き声というかグソクの様にキーキーといった感じでなくてギギギギといった低い感じの恐ろしく重低音な音を聞きました」
「とても腹に響く様な音でそれがとても恐ろしかった」
「大きさはどうかなお…すごい土煙が上がってて影を覆っていたので」
「余計に大きく見えたかもしれんお…」
「どんどん膨らむ?せり上がる?そんな感じにも見えたお」
「という事はあの物体は土の中から出て来たのかもしれんお?」
「何という事だ!…何という事だ…」
「もし…」
「それが…」
「奴だったら…」
ガレッタは驚愕と言った感じでバッと立ち上がり口を押さえた。
「奴と言うのは?」
「し、失礼しました!」
「奴と言っても今、お聞きした三色のグソクと同じで誰も見た事は無いのですが…」
「グソクにはある恐ろしい言い伝えがあるのです!」
「恐ろしいお!」
「まだ何も話してもらってないだろ!」
「いい伝えによると、かつてグソクは街一つを滅ぼしたこともある凶悪な魔物だとされていました」
「今の姿からは功罪あれども数さえ適当ならメリットの方が多くて、凶悪とまで街の皆は想像せんお」
「仰る通りです」
「グソクが街の周辺に現れた頃は伝承を気にかけて恐れる者もおりましたが、奴等がもたらす経済効果が大きくなれば大きくなる程街が潤い」
「凶悪な魔物どころか金をもたらす蟲だと逆に有り難がる者が多数を占めて行きました」
「この世界の黄金虫はグソクの様だなお、イズサン!」
隊長やちゅん助の言う通り、グソクの駆除は多少…と言っても良いか分からないが命の危険があっても素人でもできる簡単なものだ。
それをするだけで金が入るならこんなにありがたい事は無い。
この世界の農業水準ならまだまだ未発達だが食糧不足という事も無さそうだった。
しかし、いくらでも手に入るグソクの死骸が肥料になるのなら、工業レベルがそれほどでもないこの世界なら良質な肥料は十分な金になる案件だ。
それはこの街に起こっている熱狂的なバブルが証明している。
「それで言い伝えというのは?」
「どのようなものでしょう?」
「はい、それなのですが…」
「七の月」
「恐怖の大王が来た」
「巨大なる蟲の王」
「隷下の蟲は」
「大地を埋めて」
「死骸の上で民踊り」
「街踊る」
「そして王が来た」
「姿見た者」
「怒りに触れて」
「王は追う」
「逃れ得ぬ死」
「熱狂の街」
「永遠に眠る」
第四話
その31 伝承
終わり




