第四話 その29 危惧
第四話 その29 危惧
「この状況、私はとても怖いのです…」
「流石は隊長だお」
「流石?」
「指揮官は常に臆病でなくてはならんお!」
「常に最悪を考えねばならんお!」
「街を預かる身としては当然です」
アリセイのトニーガと言い、隊長は大変なんだなと思った。
「私が最も危惧しているのは街の防衛機能が落ちている事なのです」
「立派な石垣があるじゃないかお?」
「確かに設備は…」
「しかし、我々も正規の討伐隊となっておりますが、数年ほど前までは防衛隊だったのです」
「討伐と防衛は似て非なるもので、まるで内容が違うのです」
「なるほど」
この街は本来の防衛用の部隊を攻撃に使ってしまっているのだ。
たしかにグソクは弱い。
その弱さが逆に注意を緩慢にし、本来防衛用に残しておかねばならない戦力を討伐に投入してしまっているのだ。
隊長の危惧も当然だった。
恐らく…この街は、俺が隊から離れ踏み込んではいけない地点に進んでしまったと同様、街単位でヤバイ状況に突っ込みつつあるのだ。
グソクが弱い事、また倒せば倒すほど儲かるグソクの経済効果がさらにその皆にその認識を与えず熱狂で簡単に狂わせていたのかもしれない。
まるで黄グソクを倒した時にした甘い蜜の匂いが、この街を覆ってでもいるかのように感じた。
「ですから勇者様、何かどんな些細な事でも気になる事があれば教えて頂きたい」
隊長の身分にありながら駆け出しの新米の若者(の姿をしている)俺などに深々と頭を下げるとは…
この隊長は真剣であり真面目にこの街の行く末を案じているのだろうと感じた。
別に隠し立てをするつもりもなかったが、どんな些細な事でもというならあの時の話をしておくか。
「隊長、色違いのグソクはどの様にお考えですか?」
「色違い?はて?」
「青黄赤のミックスベジタブルグソクだお!」
「余計な事言うんじゃないよ…」
「俺達が大群に飲まれる前、そうなったきっかけが青い色をしたグソクなんですが」
「なんですと!?青!?」
第四話
その29 危惧
終わり




