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更新停止中 イズちゅん  作者: ちゅん助の!
第四章 熱狂と蟲の街 ガリン
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第四話 その27 道具屋景況感

第四話 その27 道具屋景況感


 ちゅん助が出て行ってしまって心配していたのだが、彼は夕暮れ前にふらりと戻ってきた。

 通信石が戻ってきたので、宿に移ろうと言う。どうやらあの彼女が、どんな話をしたのか分からないが上手い事収めてくれた様だった。

 

 今日までの宿泊費と世話代をお布施として教会に多めに払うと、俺達は質素だが十分な宿へと生活の場を移した。

 通信石の額は半分になったと言っていたが、それでも余りある金額だった。


 グソク達にやられた傷が治るまでは、狩りに出かけなくても問題がないというのはありがたかい事だ。


 ヒーラーの女性との面談の日までは、まだまだ日にちがある。この際だからと俺達はガリンの街を見て回った。

 思えばグソク狩りばかりに時間を費やして、街をじっくりと回る事もしていなかった。


 いい機会だ、リハビリ兼ねて色々見て回ってもいいだろう。

 

 俺としてはゆっくり寝ていたいのだが、退屈が嫌いなちゅん助がまた暴れ出す前に色々なところに連れ出すことにしたのだった。









「いや、俺達もこのグソク効果の空前の好景気に沸きに沸いてるんだがよ!」


 街で情報を得るなら酒場やら教会の交流場と言う手もあるが、この世界では何かと道具屋の流通網が発達している様で道具やら資材やらを運ぶついでに情報も運んでくるというのが普通なようだった。


 元の世界で俺もちゅん助もホームセンターが好きな事もあって、道具屋の情報網とは相性が良かった。それはここガリンでも変わらず、俺達は道具屋の話に熱心に耳を傾けた。


「ちょっとこのところのグソクの数は異常だわな」


「このところと言うのは?」


「数年、異常を認識したのは3年位前かな」


「それまではこんな数じゃなかった?」


「ん~まあここらは多いっちゃ多かったが今と比べると10分の1以下よ」


「多ければ多い程、道具屋さんは儲かるのじゃないかお?」


「おうよ!って言いたい所だが…」

「限度ってもんがある」

「たしかにグソクが増え始めた頃からもの凄い好景気が始まって、この街にはあんな立派な防壁までできた」

「ここいらじゃ王国の城下町ですら、これだけの壁を持ってる所はなかなかないと思うぜ?」


 恐らく、有り余った金をつぎ込んだ公共事業みたいなものだのだろう。金が金を呼び、その金が事業と人を集める。どこの世界でも仕組みは一緒のようだ。


「ならば、いいことづくめじゃないのかお?」


「いや、お前さん達もグソク狩りに出てんなら、あの数の膨大さ分かるだろ?」

「連日討伐隊がいくつも編成されて繰り出してんのに、一向に数が減らないどころか増えてやがる」

「物事ってのはバランスが大事よ」

「ガリンがいくら大きいからって、人を受け入れる余裕にも限界が来る」

「人が集まれば宿も食料もそんだけ要るわけよ」


「なるほど」


「確かにだお」


「んで、道具屋の俺としちゃあ、物が動くのは願ったりなんだがな、最近になって討伐隊にも疲れが見えてきて新しく入って来る奴等も腕利きばっかじゃねえ」

「まあ言っちゃ悪いが、お前らみたいに怪我して戻って来る奴も増えてきた」


「………」


「怪我だけならいいが、戻って来ない奴も倍増してるって話だ」


 そう聞くと、俺があの弓の少女に助けてもらって帰ってこられたのはホントに運が良かった、そう実感せざるを得ない。


「あんまり認めたくねえが、道具屋としての俺の勘じゃあ、この街のバランスはかなり崩れて来てるぜ」

「なんか大事が起こる前のヒリヒリした感じがして仕方がねーのよ」

「この状態で街になんかあったらなにもかも一気にひっくり返る!」

「そんな気がしてならねーのよ」


「空前の好景気も考え物だお」


「ほどほどが丁度いい、足りないくらいが丁度いいのかもな」


「わしは腹いっぱい喰いたいお!」


「お前は喰い過ぎて動けなくなるの、少しは気を付けろよ!」






 道具屋が言う通り、確かにこの街には人が集まり過ぎていた。


 集まりすぎて連日部隊を繰り出していると言うのにグソクの数は減るどころか一向に減らないという、逆に討伐隊の方に疲れが見えてきている始末だという。


 何か引っかかる話だった。


 俺がグソクの大群に飲まれあわや命を落とすという時、その前までは何ともなかったのに、ある地点を過ぎた途端に一気に窮地に追い込まれたのだ。


 アレは確実に罠としか思えないグソク達の動きだった。

 思考を持たないような、少々凶暴とは言えただの巨大なダンゴムシが、一斉に行動を統一されたかのように襲い掛かってきたのだ。


 考えたくはないがそれと同じ事が、それより遥かに恐ろしいまでの巨大な企みがこの街を包んでいたとしたら?

 

 俺はグソクに囲まれた時の事を思い出し、背筋が凍る思いがした。


 ヒーラーとの面談をすっぽかしてでも街を出た方が良いのだろうか?


 街の周囲を見渡してみた。強固頑丈とは言わないまでも立派な石垣が周囲を覆っている。

 

 まさか…まさかな…







 道具屋で話を聞いた後、街をめぐってから宿に帰ると、男が俺達の帰りを待っていた。


「勇者様!お待ちしておりました!」


 第四話 

 その27 道具屋景況感

 終わり

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