第四話 その25 私に任せなさいよ
第四話 その25 私に任せなさいよ
「いや…」
俺としても返答に困り、いや、そう応える事しかできなかった。
ちゅん助が天令を受けるのに悪い予感はしていたが、まさかこういう方向の結果が出るとは…
俺は俺で「メシアの勇者」なんてたいそうな天令が出ていただけに、余計ばつが悪い。なんかの間違いで、ただの町人Aでしたあ!って方がまだましだ。
勇者とペット。流石に扱いの差が大き過ぎる。
しかも天令はよく分からん存在で、勝手に御告げみたいなのを出してるだけであって、そこには努力とか才能とかそういった大事な要素が全く考慮されてない様に感じた。
これなら、廃課金さえすれば必ず結果が出るクソゲーの方がまだましに思える。
おまけにちゅん助は、なんか特別な能力があるみたいだがあの姿なのだ。
若い肉体に戻った俺が、なんか申し訳なく思えて来たのだった。
いっつも調子に乗ってるちゅん助なら、ざまあwとでも思うのだが、『ぼくのかんがえたさいきょうのびしょうじょ』らしき彼女に抱かれてても呆然として全く動けなかったのをみると、かなり重症である。
思えば彼は、元の世界で結果を出しても変わり者扱いされたり、理解されにくい性格なので常にはぐれ者の道を歩んできたみたいだし、何より身体が弱い事を心底恨んで悔しがっていた。
この世界で、ああいう姿になってはいたが、新たにやり直すべく張り切っていたのだ。恐らく、恐らくは察するに、この世界で彼は認められ生きる道を求めていたのだ。
この世界にはきっと自分の役割があるはず!そんな風に思っていたのかもしれない。
次は絶対間違えんぞ!アクリムでそんな風にも言っていた。あれはその表れだったのか…
そう言えばアクリムでの阿漕なやり方も、元の世界での彼らしくはなかった。
きっとここでは成功してやろう!そう思っていたのだ、恐らくは…その矢先にペット判定を受ければ、彼の失望は察するに余りある…
「な、なによ!ちょっとからかっただけじゃない!」
「そ、そうだっポ!面白すぎる天令を受けたアイツが悪いんだッポ!」
「そうぴゅ!そうぴゅ!みごとなオチだったぴゅ!」
予想外のちゅん助の落ち込みに、少女達は少し焦ったようだった。
「いや…君達は悪くない、気にしないでくれ」
「あいつも調子に乗りすぎてたし、いい薬になった」
「ふん、勇者様らしいお優しいお言葉じゃない!」
「俺はそんなんじゃないって、君も勇者だからと言って大したことないって言ってたじゃないか」
「そりゃあ、今まで見てきた奴等がろくでなしばっかりだったから」
「俺達も大差ないよ」
「あら?素直ね?」「正直だ!と言う点に於いては他のろくでなしどもとは少し
違うわね」
ちゅん助を追いたいところだが、奴も少し落ち着く時間が必要だろう。彼の名誉のためにも、この少女に少しだけでも話をしておくか。
「あいつと俺はさ、前の世界…じゃなかった、ちょっと遠い所から旅して来ててさ」
「そこで働いてた時、会社…じゃなかった、国で役に立ちたいと色んな工夫して色んな改善をしてたんだけど、会長…上司…うーん国王様とその側近から、あいつ変わり者だろ?」
「受けが悪くってつまはじきにされてたんだ」
「それでも頑張って仕事してたんだけど、あいつさ生まれつき身体が弱くて病気しては休み、薬を飲んでは無理してを繰り返して、とうとう大病患って倒れて、皆と同じように働くのはとても無理な身体になってしまったんだよ」
「だからいつも、わしはまだ戦える気力があるのに身体がどうしてもついてこない!」
「悔しい悔しいって。皆は夜遅くまで働いてるのに、わしは夕暮れが来る前に帰らなければ次の日も働けないって」
「周りの皆は理解してくれたけど、自分が情けない、丈夫な身体さえあれば負けないのにって」
「そんな状態だから、重要な仕事もだんだん任せられなくなって単純作業ばっかりになって、それでも工夫してすごい節約のアイデア出して効果を上げて」
「やっと認められる」
「そう思ってたら、側近の連中にそんなアイデア誰でも出せた、簡単な事なんて誰にでも出来るとか言われて、それで喧嘩して国を飛び出したんだ」
「そんな事が?」
「ああ、で新しい世界…環境になって…これは俺も同じなんだけど、君には上手く説明できないんだが、ここでは絶対上手い事やって見せるって張り切ってたんだよ、あいつ」
「まあやり直したい事は誰にでもあるわよね」
「で、アクリムで無茶な博打を打ったんだけど…」
「天令石に触る前、あんたがゴニョゴニョ言ってたわね」
「ああ、実は…」
俺は正直に、アクリムでちゅん助がやってきた事を話した。この際取り繕っても仕方がない。
少女の反応がどう出るのか怖い部分もあったが、出来るだけ包み隠さずに御守り事件の顛末を話した。
「へえ、あの変態、そんな事してたんだ。道理で莫大な金額が入ってて、未だに増え続けてるわけだ。ようやく合点がいったわ」
「捕まえて突き出すかい?」
「突き出す?どこへ?なんで?」
「詐欺とか民衆煽ったりとか…?」
「あんたバカぁ?モノの値段がいろんな理由で上がったり下がったりするのは、あったり前じゃない!」
「騙される方が悪いのよ。それに御守りには効果あったんでしょ、一体何の問題があるのよ」
「正直、アイツ変態の癖にそのアイデアだけは感心したわ」
「まあやり方はあくどい事この上ないけど、そんなやり方があるとはね」
「かなりの悪党じゃなきゃ気付かない事よね」
俺は少女が怒らなかったのに、少しほっとした。
「その程度のやり口より、可憐な少女の胸をどうこうした方がよほど大罪ね!」
「まあ、それは…アイツも君の姿を見て相当舞い上がってたし…」
「舞い上がる?」
「いや、初めて君に会ってからアイツは、ずっとあんないい女見た事がない!わしの理想を寸分の狂いもなく男の理想と欲望を究極超絶に具現化した女神がきっとあの子だお~!って言ってて」
「それは間違ってないわね」
「………」
「なによ?」
「いや、あの子を嫁にする~!彼女にする~!って」
「それは嫌!絶対!」
「………」
「なによ?」
「最低でもパーティメンバーに~って」
「それも嫌!」
「………」
「なによ?」
(ちゅん助、希望はないよ、どんなときもね…)
「いくら私が良い女だからって嫁にするとか気持ち悪いのよ!」
「…仰る通り」
流石にこの少女を仲間にするのは無理そうだ。
容姿がどうこうより、それ以前に俺達とは実力が違い過ぎる。
「まあ、そんなわけで、ちゅん助としてみたら、理想の女性の前でとんでもない大恥かいた気分なのさ…」
「な、なによ!アイツがふざけた真似し続けたから悪いんでしょ!」
「ボクたち悪くないっぽ…」
「ちょ、ちょっとからかっただけっぴゅ…」
「そうだな、君達は悪くないと思う」
「ただ、男ってのはさ、好きな子の前ではちょっとでもよく見られたいもんなんだよ」
「ちゅん助にはあんまり調子に乗らないようよく言っておくから、これで許してやってよ」
俺はそう言うと、教会を出ようとした。
「アンタ、どこ行くのよ?」
「ちゅん助を拾いにでも行くさ。傷心を癒すための、そのための友達だろ」
「あんたバカぁ?」
「え! なんで?」
「そのためにアンタが今、おっかけていったら逆効果じゃない!」
「そんな事!」
「あるわよ?メシアの勇者様!アンタら友達なんでしょ?かたや勇者様、かたやただのペット」
「友達同士でそんな残酷な天令が出ちゃって、上から目線で説教でもしに行くつもり?」
「そんなつもりは…」
「あんたにそのつもりが無くても、向こうはそうは思わないわ」
「おもわないっぴゅ」
「おもわんぽ」
「それは…」
「いいわ、特別に!私が行ってあげる」
「!?」
「なによ?」
「それこそ逆効果なんじゃあ?」
「あんたバカぁ?あいつは私に惚れてるんでしょ?」
「まあそりゃあ…」
「恋愛ってのは、惚れた方が負けでしょ!」
「つまりあの変態は敗者、私が勝者ってわけ」
「どういう?」
「ほんとにばかね、勝者が敗者をどうしようが勝手でしょ!ってこと」
「それはそうだけど…」
「アンタは待ってればいいわ、じゃあね」
「まってるぽ!」
「まってるぴゅ!」
少女は小走りに出て行ってしまった。
少女の言う事にも一理ある。勇者とペット、男は総じてプライドの生き物。
ましてやいつも浪漫だ!勝負だとうるさいちゅん助の事だ、引け目を感じていてもおかしくない。
ここは彼女がああ言ってくれてるのだから、任せた方が良いのだろうか?
ま~たちゅん助があの子にしゃぶり付いたりして、失礼を働かなければ良いのだが…それは心配だったが…
第四話
その25 私に任せなさいよ
終わり
ちゅん助 「皆様!今年いっぱい読んでいただき誠にありがとうだお!」
「分不相応、誠に高望みながら!
「このラノベはアニメ化を最終目標!上場ゴールを目指しとるお!」
イズサン 「おい、上場ゴールは悪い意味だぞ…」
ちゅん助 「という訳で!2021年もよろしくだお!」
「ちなみにお話しは7話ぐらいまでストック(未校正未校閲)があるので安心して欲しいお!」
美少女 「この間抜け!あるんならとっとと出しなさいよ!」
ファイアン「出すッポ!」
ウィンディ「出すピュ!」
ちゅん助 「ふっ!続きは…」
ちゅん助 「年明けた後!」
イ 「年明けた後!」
美 「年明けた後!」
ウ 「年明けた後ぴゅ!」
フ 「しーえむのあとぽ!」
ちゅん助 「ふふふのふwなにしろわしは100万の読者の上に立ってるお!w」
イ (現在100人も居ない件…)
では皆さま!良いお年を!だお!




