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更新停止中 イズちゅん  作者: ちゅん助の!
第四章 熱狂と蟲の街 ガリン
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第四話 その6 射火無風(イカロス)!

第四話 その6 イカロス!


「あーーーーー!もう!分かったわよ!」

「やりゃいんでしょ!やりゃあ!」


「ピューw!」

「ポッポ~w!」


 風と炎が嬉しそうに抱き合ってクルクルと回った。


「分かってるでしょうけど!こっちも手持ちが少ないの!」

「やれるだけしかやれないからね!」

「純度の高い精霊石があればこんな射線の通った開け切った場所」

「なんて事ない距離だけど…」


 少女はガリン平原を見つめながら言った。


 なんて事のない距離?


 しかし平原までは…

少なく見積もっても遥か30km以上はある。

 現代戦でもこの距離を射程に収める歩兵携行武器など、なかなか無いはずだが…


「ウィンディ!最長!この石で」

「この距離!どこまで跳躍ばせる!?」


「七分目だっピュ!」


「ファイアン!残りは埋められるわね!?」


「もちろんだっポ!」


「そう」

「じゃあ!」

射火無風イカロスで行くわよ!」


「ピュ!」

「ポ!」


「ウィンディ!」


 少女は肩にかかったコの字型を象った竪琴を取り外すと旋風つむじかぜに命ずる。

 旋風つむじかぜが竪琴に触れると虚空の弦が張られた!コの字型のそれは竪琴ではなかった。


 腰の筒から少女が一本の棒を引き抜く。


 それは矢であった。


 矢尻に緑の精霊石、矢筈に赤の精霊石が光った。


 少女は直立しコの字に矢をつがえるとゆっくりと引き絞る。

 コの字が徐々に展開して弓型にしなっていく。


 竪琴に見えたコの字は弓だったのだ!


 右手が少女の肩の位置まで引き絞られた、アーチェリー洋弓の発射位置。


 さらに弦が引き絞られ少女の右頬まで、弓道和弓の位置。

 右手はさらに引かれ首筋を通過する、矢の長さを超えそうな引きしろ。


 これ以上引いては、弓と矢が交わりを超え危険なはずだが…!?


 少女は構わず、さらに引いてゆく。


「ウィンディ!」

「ピュ!」


 矢の周りを風の筒が覆う、矢を導く虚空の道筋!

 少女の右手は右肩、右肘の位置まで超えて、とうとう両腕を大きく広げた形まで弦が引き絞られコの字は弓型を経て逆コの字まで変形していた。


 少女の立ち姿のシルエットが大きく美しい十字架を描いた。


射火無風イカロス!!!」


 シュバ!

 シュバ!

 シュバ!


 叫び声と共に初撃からまさに抜く手も見せずの三連撃!恐るべき速射!


 放たれた矢は風連図フレンズに吸い込まれるように突入して行き三本共が姿を消した。

 それらは対物レンズ側の魔法陣から突き抜ける事もなく空間から姿を消したように見えた!


「発火!」

「ッポ!」


 少女が叫ぶと矢は射線上の遥か20km以上離れた空間から飛び出し、姿を現した瞬間に矢筈から超圧縮された長い極細集中炎を噴いて、瞬時に極音速に加速する!

 発火の瞬間から即マッハコーンを後方に形成し突き抜ける。


 それは矢というよりレーザー光線の様に見えた。


 物体のエネルギーは質量に比例し、速さの二乗に比例する。


 圧倒的速度という凶悪なまでの物理エネルギーを纏って、規格外の貫通力をもったそれは、三発ともが正確に青年を襲った三匹のグソクの中枢神経を撃ち抜き即絶命させたのだった。


 風の空間跳躍と炎のロケットブースター


 神魔弓士、最速最長の遠距離物理攻撃 射火無風イカロス


「ぜんだんめいちゅうっピュ!」


「あったりまえでしょ」

「この私が目に見える標的なんか外すわけないのよ!」

「でも…跳躍が足りなかったその分」

「後には衝撃波が発生するのよ、上手く躱しなさいよ」

「それで死んでも恨まないで頂戴…」

「生き残れば道は出来るわ…」


 ゴオオオオ!


 矢が突き抜けていった後方から追従するように、稲妻の後を雷鳴が追うようにソニックブームが走る。

 すんでの所で青年達が衝撃波を躱す様子が見えた。


「ふん!頑張るわね!もっともグソク程度に三本も使ったのよ!」

「そう簡単に死なれたら採算合わないのよ!」


「あ~!でもダメっポ!」

「すぐさま青いのが追っかけに来てるっピュ!あ~もう捕まったっピュ~!」


「こんどはでかいムカデっぴゅ!」

「がったいしてムカデになったぽお!」


「ぬわんですってぇ~!あの間抜け!人の厚意無駄にすんじゃないわよ!」

「貴重な精霊石使ったのよ!あそこまでは風の精霊石の力が満ち足りてるはず!」

「ウィンディ!あんたの揺らぎでもう伝わるわよね!?伝声いける?」


「も、もちろんだっピュ!」


「炎の精霊石も一緒に飛ばしたのよ!」

「ファイアン!あんたの揺らめきで蟲達の動きは把握できるわよね?」


「バッチリだッポウ!」



 少女が放った矢には風と炎の精霊石が仕込まれていた。

 精霊石が放たれた空間にはその石の性質に見合った力が漂う。


 風の精霊石ならばコミュニケーションに長けた風の精霊が


「揺らぎ」


によって離れた相手に声を届ける事が出来るらしかった。

 

炎ならば感知に長けた炎の精霊の


「揺らめき」


によってより広範囲の感知が可能の様だった。


「ほんっとに世話が焼けるんだから!」

射火無風イカロス!やるわよ!」

「ピュ!」

「ッポ!」


 少女が再び発射体勢に入った!


「せっかく助けてあげたのにもう捕まってんじゃないわよ!」

「三発も撃ったんだからしっかり届けなさいよ!」


「ちゃんと声は届くッピュ!」


「伝声!伏せろッ!!!!」

「伏せろッピュッ!!!!」


「青ムカデ!それで速いつもり!?」

「翼刃鳥に比べたら止まって見えるわよ!」

射火無風イカロス!」


 シュバ!


「発火!」


 キン!


 再び発射!凶悪なまでの魔弾と化した矢が空間を引き裂いて飛んでいく!


 命中!


 矢は一列に並んだ青グソクのムカデを一直線に貫いて串刺しにした。

 超遠方からの信じられない狙撃!

 

 まさに神業!


 それを銃でもミサイルでもない弓でこの少女は行っていたのだった!


「命中っポ!あ~でも脚やられてるっポ!他にもやられてるっポ!」

「かなり弱ってるっピュ!あれじゃ灰色からも逃げられないっピュ!」


「はあああああ!?」

「ここまっでやってあげて逃げられないとか!」

「ふざけんじゃないわよ!あの間抜け!」」

「意地でも逃がしてやるわ!」


「伝声!」

「ッピュ!」


 第四話 

 その6 射火無風イカロス

 終わり


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