表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
更新停止中 イズちゅん  作者: ちゅん助の!
第三章 湖の街アクリム
36/446

第三話 その5 アクリムで火事だと!?

第三話 その5 アクリムで火事だと!?


 カンカンカンカン!

 カンカンカンカン!

 カンカンカンカン!


 けたたましい打鐘の音!

 深夜の街に鳴り響く!


 カンカンカンカン!

 カンカンカンカン!

 カンカンカンカン!


 深夜とはいえ、数分もしないうちに外が騒然となった。


 幸か不幸か、眠りが深いのか?神経が太いのか?は分からないが、めったな事では目を覚まされない俺でも何事か?と、起き出さないわけにはいかなかった!


 ここらは戦乱に巻込まれてる、なんていう話は一切聞かなかったし、グソクの発生もそれほどではない。

 街中だけでなく、周囲も整備されているこの街では突然の魔物の襲来なんてことも予想しにくい。


 だとすると…俺は窓に駆け寄ると勢いよく窓を開け街を見渡した。


 騒ぎの原因はすぐに分かった。


 窓から左手に見える空が赤々と輝き、その明かりのお陰でもうもうと立ち上るどす黒い煙がはっきりと視認できた。


「か、火事だ!」


 思わず俺は叫んだ。


 100年以上火災が起きてないこの街で今まさしく火災が発生しているのだ。


 炎は確認できないが深夜のこの街に相応しくない程のあの赤々とした輝きと真っ黒な煙!


 現地で確認するまでもなく火事なことは明白だ!


「おい!ちゅん助!火事だぞ!火事だぞ!」


 滅多なことでは目が覚めない俺がこうして飛び起きてるのに、普段から寝つきが悪いだの朝の目覚めから体調が悪いだの、俺のイビキと歯軋りで寝れんかったわ!謝罪と賠償を要求するお!って言ってるちゅん助はこういう時に限って寝惚けている様子だった。


「むにゅむにゅ…うーんイズサン五月蠅いお?わしを起こすなっていつも言ってるお?」


「バカ!火事だぞ火事が起こってるんだよ!聞こえないのか!あの鐘の音!」


 打鐘は今なお絶え間なく打ち鳴らされている!


「うーん、敵襲かお?B29でも飛んで来たかお?」


「バカ!いつの話だ!」


「ならば領空侵犯かお?」

「わしのイーグルで迎え撃つお!まわせー!むにゅあむにゃあ」


「エリア66の話題は良いんだよ!」


「わしとイーグルとかけたんだお…w」

「日本の空は彼らが長年守ってくれてるんだお!」


「いや今、日本は関係ないだろ!」

「いいかここアクリムの街で!火事なんだ!良いから起きろ!」


 おれは無理矢理ベッドからちゅん助を引きずり出すと窓辺まで運び窓から突き出す様な形で左手方向を見せた。


「う~ん?」

「!」

「ほう、燃えとるようだお…見よ!東方は赤く燃えている!」


 昼間の様子を見て、てっきり火事だあ~!火事だあ~!と騒ぎ出し、祭りじゃ!祭りじゃあ!と不謹慎ながら大喜びして飛び回るかと思っていたのに、意外にもちゅん助は冷静で


「うーん、しかしわしは眠いお…」


と言って再びベッドに潜り込んでしまった…意外だ…


「おい見に行かなくていいのか?」


「見に行ってどうするんだお?」


「いやどうするってお前…」


「野次馬は危ないお?」

「わしらが見に行ったところで何かできるわけでもなし」

「逆に邪魔になるお」


「それはそうだが…」


「あるのか知らんけど街の消防隊にまかせるお」

「ちなみに消防は119だお」


「今、その情報いる?」


「時報は117だお…」


「その情報、もっといる?」


「天気予報は177間違えるなお…」

「覚え方は時報はピ・ピ・ポ~ン♪だから117だお…」


「寝惚けながら知識自慢すんなや!」


 ちゅん助の言い分はもっともであったが彼がそんな事を言うのは本当に意外だった。


 昼間の悔しがり方から見て、真っ先に飛び出して現場入りすると思っていたのだが、ほとんど興味を示すことなく再び眠りに就こうとしている。


 こうなると逆に俺の方が火事が気になって仕方がない!


「俺、ちょっと見て来るからな!」


 勢いよく扉を開けて俺は慌ただしい夜の街に駆け出した。


「うーんむにゃむにゃ、明日からは忙しくなるお…」




 火災は俺達の宿から1kmと離れていない住宅街で発生していた。


 幸い火元は一軒家らしく付近の家に延焼の心配はなさそうだったが、それにしても火の勢いが強い。屋根まで燃え広がってゴウゴウと音が聞こえるかの様だった。


 野次馬の最後列にいても顔にその熱が伝わって来る。


 ちゅん助の言う消防隊らしき集団が右往左往している様だったがもはやバケツリレー程度ではまさに焼け石に水。


 この街の防火体制や消火設備がどの程度の物か知る由もなかったが、あったとしても隊員達の混乱した動きや100年もの間火災が無かったこの街だ、とても役に立つとも思えない。


 事実、燃え広がる一軒家に対して消火活動らしき事はなかなか行われず、野次馬達を近付けさせないようにする事が精一杯に見えた。


「ああーーーーーーーーーーーー!わたしのーーーーわたしの家があああーーー!」


 野次馬達の群れの輪の中で悲壮な狂わんばかりの声を上げて泣き叫ぶ人物があった。


「ああ!早く早く消しておくれ!私の家!いえーーーーーーーーーーー!」


「婆さん!危ない!手遅れだ、こうなったらもう何もできない!残念だが」


「私のー!私の家ーー!いええええええええええええ!」


 隊員に押さえられていなければ今にも炎に飛び込まんばかりの勢いで老婆は声を張り上げる。


 髪を振り乱し、目をかっと見開いて発狂寸前に暴れながら手足をバタバタさせていた。


(うん?あれは?)


 第三話 

 その5 アクリムで火事だと!?

 終わり

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ