スピンオフ その40 電撃戦!
「ちゅん助、してやられたわ…」
「敵ながら見事だった…」
「撃ち合いが左右で開始されて中央の人員が増援に左右に展開して」
「人員も意識も中央が手薄になった時」
「この3人が一気に中央突破して来たのよ!」
剛の手には蘭奈と同じ重機関銃が握られていた。
「重い支援火器持った二人が最前線に出て侵攻して来たってのか!?」
「あの二人が弾幕を交互に張って…こちらの防衛勢力を釘付けにした上で」
「ミリリアが飛び込んできたのよ」
「守備隊は弾幕に気を取られていてアッというにミリリアに排除されたわ」
「私もなんとかフラッグに辿り着いて応戦しようとしたんだけど…」
・・・・・・・・・
「蘭奈!簡単には取らせないわよ!」
「梨沙!機関銃兵科の私の前に単発ライフルで飛び出して来て何のつもり?」
「それでは私の弾幕の前では丸腰同然よ!?」
「うっさい!私にはこれがある!」
「食らいなさい!必殺!ローリングサンダー!」
ゴロゴロゴロ!
「……………」
(もっんのすご~く…いい的になってるのだけど…撃っていいものなのかしら…?)
タタタタタタタッタタタタ!
ピュオピュオピュオ!!!
「バカなっ!?」
「バカなのはどっちかしら…」
「いきなり目の前で芋虫の真似なんかして何のつもり???」
「……………」
・・・・・・・・・
「梨沙、意気込みは買うけど狙撃手」
「単発の貴方が私の弾幕の前に飛び出してくるなんて自殺行為!」
「居場所を晒した狙撃手なんて機関銃の敵じゃないわ!」
「くぅっ、悔しいけどそういう事ね…」
「あとはあの二人が弾幕、いいえまるで弾壁を張って…」
「その中でミリリアは余裕でフラグゲットだったわ」
「ミリリア自身はフラッグ周辺のクリアリングする必要もなく悠々と…」
「やられたわ…」
「ドゥーーー支援火器は守りだけじゃないドゥwww!」
「どこぞのバラ撒くしか能がないアホとは違うんだドゥー!」
「ポオオ!」
「我が方の支援火器はなにやってたんだッポオオオ!」
「支援火器は、お前の事だお…昇…」
「技術と戦略でこうも差が出る物なのですか!?」
「私たちだってバランス良く配置してたはずでは?」
「そのバランスが撃ち合いの騒ぎによって一瞬崩れたタイミングを見事に狙って来たんだお」
「おそらく今回の中央の状況では、誰が残っていても止められなかったお…」
「鮮やかすぎるだろ…」
梨沙は後方ポジションのため自陣近くに居たので黄色フラッグに何が起きたのかを目の当たりにしていた。中盤付近に上がっていた俺達には梨沙がいなかったら何が起こったのか理解できなかっただろう。
「戦場の制圧者」
「フラグブレイカー」
その名は伊達では無かったのだ…
4連勝を飾っていた黄色の楽勝ムードはたった1戦ですっかり消える事になった。
「き、気を取り直して!次はフラッグ戦の裏面だ!」
「次がんばろう!」
なんとか士気を上げるためにそう言ってみたものの、相手の戦法は鮮やかすぎた。殲滅戦の第4戦は拮抗した試合で僅差で勝てたが、あれはわざと赤軍が上がってこず均衡しただけだったのだ。
恐らくはミリリア達は赤軍に合流直後だったので、互いの実力や連携、ポジションを確かめるためにあえて引き気味に戦っていただけだったのだろう。おまけにわざと引き気味に戦って見せて赤は序盤には前線を上げて来ない、そう無意識に刷り込ませたうえでのいきなりの電撃作戦!
思えば黄色の皆はフラッグ戦の初戦だったので、殲滅戦での4連勝の高揚もあってまずは一発フラッグを取ってやろうと、かなり前のめりになっていた。その状態で抜かれたらもう後は対応する事が出来ず、おそらく唯一駆け付ける事が出来た梨沙だけがなんとかフラグゲットを阻止しようとしたが、支援火器×2の弾幕の前では成す術が無かったのだろう。
両陣営とも自陣フラッグエリアはCQB(壁や障害物で細かく区切られた近接戦闘エリア)という程ではないが一応四方壁に囲まれている。そこに侵入されたら狙撃手が取れる射線は無い。三人流れ込んだら、それはもう遠距離からの狙撃で阻止するのは不可能なのだ。梨沙のフラッグエリアに突入しての防衛!という判断は正しかったが、あまりに分が悪すぎる条件…完敗だった。
今までの楽勝ムードから一転、黄色は重苦しい空気に変わってしまった。
対策を練る間もないままフラッグ戦裏面第2戦が開始された。




