スピンオフ その31 フラグブレイカー
「そう言えば運営さんが赤組は3名の方が遅れて合流するとか?」
「だから赤組さんは人数が少ないのが関係してるだけでは?」
「ぴゅう!でもこっちもふたりおくれてくるっていってたっぴゅ?」
「うーむたしか人数は現状23対22のはずなんだお?」
「10人くらいの戦いだと一人差でもキツイ場合があるけど20人超えてるからなお?」
「ただの考えすぎなんじゃないの?」
「だといいがなお…」
ちゅん助が首をかしげていると赤組のセーフティーが俄かに賑やかになった気がした。
「ミリリアさん!待ってたよ!」
「碧さん!今日もバッチリ装備が決まってますね!」
「ミリリアちゃん!自分!一緒に写真イイっすか!?」
「ごめんなさい!ちょっと都合がつかなくて遅刻しちゃったわ」
「ありがとう!また揃えてしまったわ、でも長生きできるかなんて分からないしね?」
「写真はいつでもOKよ!一緒に撮りましょう!」
見るとひとりの女性を中心に赤組全体が輪のように取り囲み、人だかりができていた。女性は一人一人に丁寧に受け答えをしながら気さくに写真撮影に応じており、その姿はさながらアイドルかモデルの様に見えた。
人混みが出来ているのではっきりとは見えないが美しく顔立ちといかにもシュッとした佇まいで一般人の様にはとても見えない。
なにより装備の着こなしが他の人とは違って板に付いている様に見えた。同じ女性サバゲーマーとなっている梨沙と灯、彼女たちもルックスは負けず劣らず美しいが装備や衣装の着こなしの点から言えばまだ新品の衣装と言う事もあっていかにも新入生!みたいな見た目になっているが、あのミリリアと呼ばれている女性は何の不自然さもなくピシリと着こなしている。ちょうど梨沙と同じハーフギリーを身に付けているが両者の着こなしの差は一目瞭然だった。
「くっ!あの女性!オーラが出てるわね!」
同じ感想を抱いたのか?梨沙が思わずそう言葉を漏らした。勝気な梨沙である、そうそう人を褒める事がない彼女が言うのだから相当感じるものがあったのかもしれない。
さておき、あの人は有名人なのだろうか?
「あ、あれは!あの女性は!」
「知ってるのか?ちゅん助?」
「知ってるも何も!」
「あの女性はサバゲー界の戦女神!」
「碧ミリリアさんじゃないかお!」
「ほ、本当に実在したんだお!」
「さぞかし有名な方なのですか?」
「サバゲー界では知る人ぞ知る有力インフルエンサーだお!」
「サバゲーで彼女の名を知らん者はもぐりだお!もぐり!」
「かのじょと《《ふぁーがすん》》はなにかかんけーあるっぴゅ?」
「あるもあるも大アリやがな!」
「ファースガンに代表される赤外線系サバゲーは!」
「その抜群の性能や面白さの割にイマイチ知名度が低かったんだお!」
「最初の昇みたいに!実体弾を飛ばさないサバゲーなどリアルが無い!」
「玩具!とかいってやらず嫌いの人も多かったと聞くお!」
「ボクはさいしょっからふぁ~すがんのほーがいいとおもってたッポ!」
「ウソつくんじゃないよ…」
「だがあるファースガン定例会にミリリアさんが参加して!」
「SNSサエズッターでたったひとこと!」
『ファースガンさいこー!』
「そう囀っただけでファスガンの注目度が見る見るうちにあがり!」
「今みたいな人気のゲームの礎になったんだお!」
「ファースガンの性能が良い事は勿論だが!」
「ゲームというのはとにかく注目と人を集めないと」
「なかなか良さが広まらず伝わらないお!」
「その点に於いてあの人は大のなかなかの役者なんだお!」
「そんなに凄い人だったのか…」
「とにかく!ファースガン立役者のひとりなんだお!」
「わしもファースガンを布教すべく!このラノベでがんばるお!」
「ちゅん助さんにしては良い心掛けです!神も喜んでおられます!」
「そしてファースガン人気とミリリア人気にあやかって!のっかって!」
「わしのラノベも有名にしてもらって!ファースガンさんのバーターで!」
「ホビー〇ャパンさんに売り込んで!一気にラノベ投稿者じゃなくて!」
「ラノベ作家デビューといくおwww!」
「前言撤回致します…神よ、この不埒者にお裁きを…」
「やはり不純な動機だったか…なんちゅう他力本願か…」
「それにしてもあの人の周りすごい人だかりみゃあ」
「アンタのラノベはどうでもいいわッ!」
「それよりあそこまで人気出るものなのッ!?」
梨沙が対抗心剥きだしの声でちゅん助に尋ねた!
「り、梨沙ちゃん!落ち着けお!」
「あの人が人気なのは!その端正なルックスはもちろんだが」
「そのプレイスタイルにも大きな理由があるお!」
「相当な腕前なんでしょうか?」
「だお!女性のサバゲーマーは男子との体力差からどうしても」
「守ってもらう女子やコスプレ披露が目的だったり」
「果ては姫プレイといった感じの人も少なくは無いお…」
「しかし!」
「あの人はガチだお!ガチ!ガチサバゲーマーなんだお!」
「特筆すべきはその戦闘スタイル!」
「サバゲーの華は、フラッグ戦というゲームに於いて」
「敵陣最奥に斬り込んで見事に敵フラグゲット!」
「このフラグゲットにあると言っても過言でないお!」
「この点に於いて碧ミリリアは最強のフラグゲッターなんだお!」
「負けたくないあまり芋りがち(自陣のフラッグ付近に張り付いて守ってばかりで攻めない事)な事も多いフラッグ戦で」
「彼女だけは果敢にどんな絶望的な状況からも!」
「最後の一秒までフラグゲットを狙ってくるお!」
「そしてフラグゲットは味方と連携が絶対条件!」
「彼女は自分が獲る事だけを考えず時に自分を囮に味方を活かしたりして!」
「あらゆる状況下で何百本ものフラッグを奪っているんだお!」
「その姿勢は多くのサバゲーマーのお手本となっているお!」
「しかし、時に強引とも思える程のフラグへの執着から!」
「付いた二つ名は!」
「突碧のミリリア!」
「そう呼ばれて恐れられているお!」
「ピュウウ!そんなひとをてきにまわすッピュウ!?」
「きょーてきだッポオ!」
「敵に回した場合にはもっとも恐ろしい相手だお!」
「二つ名は突碧のミリリア以外にもう一つ!」
「まだなんかあるのかよ!?三つ名じゃねーか!」
「彼女の凄さから他のフラグゲッターを区別するかの如く!」
「彼女だけはフラグゲッターじゃない!」
『フラグブレイカー』
「そう呼ばれているんだお!」




