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更新停止中 イズちゅん  作者: ちゅん助の!
第二章 始まりの町 アリセイ
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第二話 その2 トニーガ

第二話 その2 トニーガ


「警備隊に入りたいというのはお前らか?」


 食事を済ませ緊張した面持ちで隊長を待っていた俺達に、男が声を掛けて来た。


「は、はい!よろしくお願いします!」


「聞いていたより若く見えるな」

「金も武器も持たずに旅していたそうだが命知らずな…」

「まあなんにせよ若い奴なら助かる」


 男はそう言うとトニーガと名乗り自分が20年程この町の警備隊長を務めているといった簡単な自己紹介をしてくれた。


 歳の頃60近いだろうか

 しかし老いたりといったようには全く見えず、歴戦の強者の風格が、この町を長年にわたって守ってきたという自信からにじみ出るようだった。

一目見て、この男は頼りになる!

そういう風貌だった。


「その、まだ何も分からなくて剣とかも…」


「お手柔らかにお願いしたいんだお!」


 トニーガは俺の頭に陣取る奇妙な生き物には特段の興味を示さず言った。


「何も分からないから、剣も扱えないからなんだ?」

「自分の身に危機が迫った時」

「町人やお前の知人」

「愛する者が襲われた時」

「大切な人が今まさに危機に陥った時」

「そういう状況でも同じように言うのか?」


「い、いえ、そういうわけでは…」


「出来る出来ないではない」

「ここではやるしかない、まずは自分の身は自分で守れるぐらいにはなれ」


「やれるとは言えない…けど!やるしかないんだお!」


「なんでお前が言うんだよ!」


「頭の上のヘンテコの方が良く分かってるな」


「だお!」

「あとわしはヘンテコじゃないお!」

「そんな重い物動かせそうなものと一緒にするなお!」


「違います!」

「こいつは戦えない癖に、今の状況に酔って適当に答えてるだけです!」


「ならば、お前がやるという事を証明するんだな」


 トニーガはそう言って一振りの鞘に収まった剣を俺に渡した。

握った事もない剣はズシリとまではいかないものの重かった。

金属の重さ…


(これが剣か…)


 鞘から少し抜いてみた、両刃の直剣の鈍い輝きに思わず緊張が走った。思えば刀剣の類は目にした事はあっても実際に手に取るのは初めてだ。


 柄には緑の宝石のような石がはめられており美しい輝きを放っていた。もしかして高価な剣なのか?


 しげしげとその宝石を見つめる俺にトニーガが言った。


「ちゃんと通信石をはめてある」

「お前が斬った獲物はそれに記憶され情報が教会に転送される、その分がお前の食い扶持となる」

「ジュセルさんや教会に世話になったと感じているなら、その分仕事しろという事だ」


「便利だお!!!」


 ちゅん助の言葉にトニーガは通信石も知らんのか?

という風に首をかしげた。


 どうやらそれほど珍しいものではないらしいがこの世界にそんな通信機能を持った便利グッズがあるなど驚きであった、確かに便利だ。


「町の外れの林に犬型の人獣の群れが散見される報告が最近続いている」「まだ群れの規模は小さく成人獣クラスに育ったのも少ないようだが」

「そういう内に出来るだけ駆除せねばならん」

「本日は俺とお前を含めて5人で向かう。はぐれない様についてこい」


 背の丈は俺とそう変わらず175cm位なのに、がっちりとした背中を向けてトニーガが歩き出し慌てて俺が続く。


「出陣だお!ボゥボ~ボゥボ~w!」


「ボゥボー!ってお前口で言ってるだけじゃねーか!」


 ちゅん助は初陣のこの状況に酔って、法螺貝の笛の真似してるのだが、下手くそな真似がそれだと分かってしまう俺が悲しい…


「初陣にはやや若すぎるが古来15、6歳の出陣がなかったわけではない」「ぬかるなお!イズサン!」


 ま~たどっかで聞いた様なセリフが頭上で聞こえた…






「犬型の人獣という事ですが、成人獣や未人獣になるとより二足歩行に近付くと聞いてます」

「幼人獣であった場合、普通のイヌと見分けは付くのでしょうか?」


 道中、俺の質問にトニーガ以下隊員が、


は?


え?


っといった感じで怪訝そうにこちらを見つめる。


「ぶわーはっはーw!イズサン寝惚けとる癖にジョークが上手いおw」

「普通の犬と魔物の人獣なんだから!見た目の禍々しさが全然違うおw」


 ちゅん助のフォローに全員がなんだ、と言った感じで視線を元に戻した。どうやらちゅん助の言ったことが当たりだったらしい。


(なんでお前知ってるんだよ!)


(適当に決まっとるおw)


「若いの、イズサンとか言ったな」

「剣も握った事がないとか言ってた割に、冗談が出るとは初陣にしては余裕があるな」


 皮肉を含んだ言い方でトニーガが言った。


「ほんとほんと。どこにでもいる犬型見た事がないとか笑えないぞ」


 周りの隊員達も同調する。


「あ、いえいえその~地方によって色々違いがあったりしないのかな~」

「ってそういう事を聞きたかっただけです…」


「まあそういう事にしておいてやる」


「しといてクレメンス」


「お前が言うな!」


「人獣なら向こうから襲ってくるし眼の光が妖しく赤く光る、知ってるだろうが…」


「あ~はい、どこでも同じだなあ~⤴」


 なんとかその場を誤魔化して歩みを進めると目撃証言のあった林らしき場所に着いた。


「ここら一帯だ」


 その林は町から5kmと離れてはいなかった。近い、という事もないが犬の脚ならちょっとした散歩程度だろう。

 確かにこんな場所で人獣が目撃されるなら危険だ。


「イズサン絶対に俺達から離れるなよ」

「ここらでは近頃、強力な奴は現れてはいないが油断はするな」

「小さい奴でも動きは素早いし急所をやられると流石にまずい」

「なんにせよ隊どころか町にも治癒士は居ないんだ、警戒は怠るなよ」


「は、はい!わ、分かりました!」


 強力な奴が居ないと言われても身の、命の危険があると言われると思わずブルってしまう。

 トニーガの後ろに付く形であとに続いた。


「後方警戒は任せるんだお!鵜の目鷹の目発動!」


「お前…鳥じゃないんだろ?」


「イーグルアイ発動中!」


「それは鷲だろ」


「わしは鷲じゃないお!」


「どれだよ!」


「デビルアイ発動中!デビルアイは投資力!この株は騰がるでしかし!」


「誰が投資の話をしとるか!」

「あと!騰がってんのお前のテンションだけだろうが!」


 キャンプにでも来たかのように頭上のちゅん助が楽しそうワイワイと飛び跳ねるとイラっとくる。

 まあ後方監視してくれてるだけでも、居ないよりはずっとまし、そう言い聞かせて隊の後に続く。


 林の奥は茂みになっていてなるほど獣が潜みそうな感じがプンプンする。こういう場所は決まってガサガサと…


 ガサガサ!!!


 第二話 

 その2 トニーガ

 終わり

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