第八話 その6 まったく敵わないんですが…
第八話 その6 まったく敵わないんですが…
「真剣だったら、もう10回は死んでるんですけど?勇者様」
「くう!」
痛さと悔しさで反射的に剣を振り回すが、彼女の動きはとんでもなく速く、俺が剣を振る頃には既に間合いの中にはおらず、振り終わる頃には再び懐深く入って来る!おまけに俺が攻撃できないのに彼女が一方的に攻撃できる位置を簡単に取られてしまう…少しでも大振りになれば、なんと背面を取られる有様だった…
速い!速すぎる!
バチーーーーン!
「あたーーーーーーーーーーーああああ!」
アスリに思い切りケツをしばかれて情けない声を上げた。
俺は飛び上がりながら尻を押さえ
「あいたたた」
激痛に思わず膝を付き、みっともない格好で尻を押さえる…
「うわーイズサンがやられたあw」
「うわーイズサンが簡単にやられたあw」
「うわーイズサンが呆気なくやられたああああw」
ちゅん助め!
俺が簡単にあしらわれるのを見て大喜びでバタバタしていやがる!
お前は一体どっちの味方なんだ!
「おいちゅん助!お前どっちの味方だよ!」
「お答えします」
「強い方の味方だお!」
「おまえ~!またそれかああ!」
「なんという手のひら返しっぴゅう…」
「もはやきいろいというだけのコウモリだっぽう…」
「わしはコウモリちゃうわ!事の有利不利を見極めとるだけだお!」
「それがコウモリだって言うのよ!変態!」
「まあ、どうでもいいわ!イズサン!」
「問題はアンタの方よ!いつまでも尻を擦ってないでさっさと続けるわよ!」
「それに!さっきからファイアンが教えてくれてるんだけど!」
「あんたその鞘に爆発物仕込んで小細工してるわよね?」
「遠慮しないでその玩具存分に使っても良いのよ?」
「どうしてそれを!?」
爆・斬突はアスリは見ていないはずだった。
「ボクにかかればそんなのおみとーしだっポウ!」
「そんなところにしこんだこざいくは、剣のぬきうちそくどを高めるか、剣そのものをはっしゃするかっぽ」
「もしくはばくふー、剣いがいのつめ物をとばして相手をこうげき、そのていどの四たくだっぴゅう!」
「!」
「!」
俺達の必殺技が完全に見抜かれているとは…
「く!勘の良い精霊は嫌いだお!」
「かん?このていどのこざいく、見え見えだっピュウw」
「かんがえた奴、作った奴はたんじゅんな奴にちがいないっぽ!」
嬉しそうにコンビが8の字を描いて舞った。
「そ、それ以外にも使えるもん!」
「放火のための火種とかキャンプの種火とか!」
「いっぱい使えるもん!単純じゃないもん!」
泣きながらちゅん助が抗議していた。
「さあ!行くわよ!」
「わああ!まった!まったあ!タイムううう!」
アスリが更なる追撃に入りそうなのを見て慌てて中止を要求する!
「はあ!?実戦だったらタイムなんてないわよ!あんたバカぁ?」
「いや、仰ることはごもっともです!しかし、こう見えても俺は必死なんだ!チャンスをくれ!いや下さい!お願いします!」
「フン!ちゅん助と違って、態度だけは殊勝じゃない!」
「その態度に免じて少しだけ待ってあげるけど、手加減はしないわよ!どうするつもり!?」
「あいたたた…いやありがとう、ありがとうございます、5分!5分だけお待ちを!」
「おい!イズサン!逃げる気かお!このひきょーもの!」
「お前と違うわ!」
「アンタと違うわ!」
「オマエと違うポ!」
「オマエと違うピュ!」
「………」
「なんというレッテル貼り…なんという数の暴力だお…」
「自業自得だろうが…すぐ戻るよ!」
第八話
その6 まったく敵わないんですが…
終わり




