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更新停止中 イズちゅん  作者: ちゅん助の!
第六章 死闘!時計塔広場攻防戦!
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第六話 その21 幕切れ

 第六話 その21 幕切れ



「聞け!」

「ガリンの民よ!」

「天令の勇者が!」

「最後の!」

「最後の命を出す!」



「押せえええええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

「力の限り!」

「これが最後の命である!」

「押せええええええええええエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!」


 散っていった者の思いを無駄にするな!そう叫びたかったが、その必要は全くなかった。

 彼らの勇気ある犠牲に感動を、勇気をもらったのは俺だけではなかったのだ!周囲の者全員に伝わっていたのだ!

 我先にと怒涛の様に押し寄せ炎壁での火傷に構うことなく、グソクの攻撃を受ける事も厭わず、死に物狂いで指示通り俺の右手側、青大将の側面に密集すると群集の塊を作り力強くデカ物を押し始める!


 ズズズズズズズズー!


 10度!


 10度!!


 10度!!!


 10度!!!!


 そしてまた10度!!!! 


 これまでにない勢いで回頭を進めていく!

 

 残り30度!

 

 遂に時計塔方面へ!あと少しで完全に核蟲の姿を晒せる位置まで来た!


「行けるぞ!押せええ!」

「オオ!」


「ギィイイイイー!」

「キーキー!」


「死ぬ気で行けえええ!」

「オオ!」


「ギギィイイー!」

「キキキー!」


 俺の檄に対応するが如く、核蟲とグソク達も必死の呼応を繰り返していた。

 奴らからも必死な感じが伝わって来る、その感触はこの場の全員にも伝わっていた!

 それは、つまり!俺達が圧しているという事だ!


「あとは無い!もう後はねえ!!!全力だああああ!出し尽くせええええ!」

「オオオオオオオ!!!!」


 これまでにない一体感!

 そして高揚感!


 ガレッタ!

 ちゅん助!

 武器屋の親父!


 見てるか!アンタらがこの統率を生み出したんだ!お前らの死は決して無駄じゃねえ!


「ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


「!?」


 左手側でもの凄い咆哮が聞こえた!


 見ると大きな火の手が上がっている青大将の尾の部分で、自らが火だるまになる事も厭わず、数人の男たちが尾を押す光景が飛び込んできた!

 わずかな冷静さを失わなかった奴は槍をバールに見立てて梃の様に巨体をずらそうと試みてる奴もいる!


 右手側面の頭部近くだけでなく、左手後方の炎が上がっている危険な尾の部分からも押すことで回頭速度を上げているのだ!


 そうか!


 お前らもここが勝負どころと踏んだんだな!


 ならば俺は!


 最後の意思統一を成し遂げるのみ! 


「総員!押せえええええええええエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!!!!!!」

「攻撃より押せえええええええええええええ!」


「一気に崩せええええ!」

「オオオオオオ!」

「オオオオーーーーーーーーーーーーーーーー!」

「ウオオオオオオオオオ!!!」

 ガッ!


 最後の勝負!俺は短剣を青大将に突き立て大口に迫るのも構わず、このデカ物を押しに押した!


 ズッ!


 そして10度!


 グラッ!


 不意に微かに巨大な重量物が浮くような感覚!ついに青大将がバランスを崩したのだ!


「これが最後だあああ!押せええええ!」

「ウォオオオオオオオオオ!」


 ズズズズーーーー!


 遂に!


 残り10!!!!!


 勝利は目のまえっ!


 押せ!

 押せ!

 押せ!

 押せ!

 押せ!

 押せ!

 押せ!

 押せ!

 押せ!

 押せ!

 押せ!

 押せ!

 押せ!

 押せ!


 俺も最後の力を振り絞り力の限り押した!

 身体中の酸素が二酸化炭素へと変わっていく感覚!

 

 熱い!

 

 肺が焼ける!

 

 目が霞む!


 気が…気が遠くなる…


 だが!


 まだ気を失うわけにはいかない!

 コイツは!

 コイツだけは!


 そして1度!


 また1度!


 1度!

 1度!!

 1度!!!


 グラァ…!!!!!!

 

 遂にデカ物の!デカ物の重心が完全に崩れた!


「勝っ…」


 ドッガッグオオオオオーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!


「うわあああああ!」

「ぐえっ!」


 グシャアアア!

 ドタドタ!バラバラバラー!


「!!!???」

「なん…だ…と……!?」


 俺の左手、皆が密集して必死に押している反対側へ、真っ赤に燃え盛る炎の壁をぶち破って、巨大な灰色の塊が青大将に突進しぶち当たってきたのだった!


(こんな事が…!)


 飛び込んできた巨大な塊は青大将と変わらない程の大きさを持ったダイオウグソクであった。

 最初に姿を見せた大きさには遥かに劣るものの、必死の俺達の進撃を食い止めるには十分すぎる程の巨体であった。


 その巨体を以ってのブチかましを受けては、俺達人間がいくら集まろうと非力…

 左手に居た者は無残に押し潰され、右手側の密集は呆気なく吹き飛ばされる…


「ギィーギッギッギッギッギw!ギィーギッギッギッギッギw!ギィーギッギッギッギッギw!」


 愉快さが止まらん!そんな感じで白き魔王が鳴いた…


 心底ムカつく事にそのリズムは、ちゅん助のぶわーはっはっはっはっはWのリズムを模したものだった。

 

 完全に勝利を確信した声。


 無理もない、こちらとしては正真正銘、最後の大一番だったのだ。


 あと、たった数度傾ければ勝てたかもしれない全力攻勢をこうも簡単に蹴散らされては…

 

 核蟲が居なければ巨大化は出来ない、心のどこかにそんな認識があった。

 いいや核蟲無しで他に巨大な戦力を結集させられるなど誰が気付くものか!


 真に用心深い奴なら青が合体して青ムカデになる事から、この状況を予想出来たかもしれないが、俺はどこぞの慎重勇者ではないんだ…

 妄想力だってちゅん助に比べたら無い様なものだ。


 なのにこれは!初見殺しとかそう言うレベルじゃない…


「ギィーギッギッギッギッギw!」


 お前ら人間にしてはよくやったな、しかし全ては無駄な足掻き、徒労にすぎん。魔王はそう言っているように感じた。


 最後に奴と目が合った。美しいまでに透き通った白…究極なまでに醜悪、凶悪な眼光…ソイツが腹を抱えて見下すように俺を睨んでいた。


 突然、奴が俺の視界から消えたような気がした。


 いいや…消えたのは俺の視界か…


 奴の姿を見たのはこれが最後だった…俺は力尽きたのだ。


(済まない…ガレッタ…親父…みんな…そしてちゅん助…俺はやれる事はやったんだ…やったんだよ……必死に!その結果がこれなんだよ…)


 第六話

 その21 幕切れ

 終わり

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