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更新停止中 イズちゅん  作者: ちゅん助の!
第六章 死闘!時計塔広場攻防戦!
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第六話 その18 押せ!

 第六話 その18 押せ!


「聞けええええ!」

「ガリンの街の民よ!」

「天令の勇者!」

「泉輝が!」

「命を出す!」


「今!放たれた流星を見たか!」


 俺は大声で叫び、周囲に呼びかける!


「日出づる国!」

「我が祖国で流星は!」

「願いの叶う!」

「希望の象徴である!」

「これは時計塔側の裏山から放たれた!」

「まさしく希望の架け橋である!」


「何故か!」

「あの崖上で今!」

「神魔弓士が我々を見守っている!」

「あの崖上の神魔弓士は必中の勝機を今か!今か!と狙っている!」


「大事な事だから三回言うぞ!」


「この白い核蟲を時計塔に向けよ!」

「この白い核蟲を!時計塔に!向けよ!!」

「この!白い核蟲を!時計塔に!向けろおおおおおおおおおおおおおお!」


「そうすれば!俺達の勝ちだ!」

「たったそれだけの事で!俺達の勝ちなんだ!」

「力を合わせてくれ!」

「頼む!天令の勇者!」

「いずみあきら!」

「この俺に!力を!」

「貸してくれええええええええええええ!」


 とっくに流れ星は通り過ぎているが、地面に刺さった矢からは弱々しくも未だ光が放たれているのだ!

 時間切れって事は無いだろう?


 流星が消える前に!


 俺の望みは三回言ったぞ!


 それくらいは神様、叶えてくれたって罰は当たらんはずだ!

 神様に罰が当たるかは知らんけど!


 青大将を、白き魔王を時計塔に向けたところで、あの少女が何とかしてくれる!という保証など全くなかった。

 しかし、俺には何故かあの子なら何とかしてくれるそう確信めいたものがあった。


 それは希望的観測とかそういったものじゃない。

 この状況でもあの子の圧倒的な実力と立ち振る舞いを総合的に考えた上で、彼女の纏うオーラのようなものが俺にそう思わせるのだ!


 あの子ならやってくれる!

 そう信じなければ最後の力は湧いてこない。

 そう信じなければ唯一の希望は照らさない。

 いいや!そうでなくとも最早これ以外、信じられる手段は無いではないか!

 

 必ずコイツを時計塔に向かせる!











「アイツ!こっち向けろって!言ったっポオオオ!」


「気付いた!あの間抜け!気付いたのね!早くしなさい!ここもそんな時間的余裕はないわ!」


「気付いたッピュウ!向けるっピュウ!頑張るっピューーー!」


「なんとかしなさい!あんた間抜けじゃなくて勇者でしょ!」

「たかだかこっちを向かせるくらい!それくらい死ぬ気でやんなさいよ!」


「向けるッポ!」

「向けるッピュ!」


「頑張れ!頑張りなさい!勇者!」












 俺は必死で命令を出した。

 限りにして叫んだ声で周囲の者には伝わったはずだ…だが、相変わらずの押され気味の乱戦混戦状態の中でバラバラに戦ってなんとか均衡を保っている様では俺の命令を実行できるとは到底思えなかった。

 せめてガレッタが居れば率先して行動に入ることくらいはしてくれたであろうが、今や彼は俺の目の前にある大口の中なのだ…


 一人でも…一人でも具体的な行動に移してくれたなら、周りの皆の意識も変わるかもしれないのだ!


 頼む!


 そう俺が願った時だった!


「うわああああああ!」

「コイツめ~!怖くないぞ!怖くないんだぞおおおお!」


 俺の右手方向で恐怖に震えているであろう声を上げながら勇敢に青大将の側面に取り付く者があった!


「少年!お前…」


 飛び込んできた勇敢な者は、またもやあの少年であった。ちゅん助を救ってくれた事といい武器屋の援軍を呼んできた事といい、やはり少年!お前が神か!?

 その勇気ある行動に俺は身体が震えるのを抑える事が出来ず、感動すら覚えていた。


「少年!お前までリンド・ベルだけにいい思いはさせませんよ!を知ってるとはっ!」


「知りません!」

「でも僕は…僕はやらなくちゃいけないんだ!」


「少年!お前の勇気に敬意を表する!子供は下がれ!」

「そう言いたいところだが…すまない!今は誰かれ構わず力を借りなくちゃならない!」

「少年!俺に命を預けてくれ!」


「勇者様!僕はやらなくちゃいけないんだ!気にしないで!」


 少年が放った火のお陰で青大将は防衛に徹するのを止め、再び通常の戦闘に戻っていたため青大将への防衛ラインが緩くなっていたこともあり、少年は武器も持たずに青大将の側面に取り付いて必死の形相で青大将を押していた。

 たった一人、それも幼い少年の力では巨大な魔物を1mmだって動かせるはずは無かった。

 が、その勇気ある少年の行動によって確かに周囲の人間の意識と空気が変わったのだ!


「うおおおおお!」

「お、俺だって!」

「少年に続けえええ!」


 次々と防衛ラインを突破し男達が青大将目掛け突進し、取り付いていく!いいや、よく見るとこの広場に集まっているのは男達だけではなく震えながら戦況を見守っていたであろう女性達の姿もあった!

 この最終局面に来てようやく、ここの奴らは生き残る方法があるとしたら白い核蟲を倒すしかない!

 そう理解したのだ!

 そしてその理解を呼んだのは間違いなく勇気あるこの少年の行動だった!


(感謝する!少年!)


 だが青大将周りにわらわらと人数が取り付いても、方向感なくただ取り付いているのみでそこからどうすればいいのか?全く統制が取れていない…そうしている間にグソク側の援軍は次々と投入されてくる。

 絶対数が少なく、一人やられるだけで大損害のこちら側は人員的、時間的余裕が無いのだ。


 バラバラに戦っていては駄目だ!まず以ってもうこれ以降に勝機が訪れる事は無いのだ!

 

 勝負を!


 どうしても今!勝負を賭けなくてはならないのだ!

 

 俺は勇者なんて大層な御名目だけは頂いたが、若返っただけで、その大仰な名目に見合うだけの能力やスキルらしきものなんてまるでないのだ。


 しかし!


 ならば!


 ならばこそ!


 今ある能力で何とかするしかないのだ!


(必ず!必ず何とかして見せる!見てろよ!?クソ蟲!)


「バラバラに戦っていては駄目だ!」

「まず右手の奴!お前らは押せ!死ぬ気で押せ!」

「右手ってのは俺から見て右!箸を持つ方だ!」

「そう!お前らだよ!お前ら!押せ!とにかく押せ!どんどん押せ!」

「左手の奴等!お前らは攻撃だ!脚を!脚を集中して攻撃するんだ!」

「押してる反対側の脚を破壊していけば!踏ん張りが効かなくなる!踏ん張らせるな!」

「そうだ!脚だ脚!」

「攻撃は片側に集中してとにかくバランスを崩すんだ!」

「脚に届かない場合は胴体でもいい!」

「1匹でも少しでも引き剥がせばその分重量と強度が減る!しつこく繰り返せえ!」


「お、おおー!」


 俺の指示に目的と方向感を掴んだかの如く周囲の人間が勝利条件に向かって戦いだす!


「右は押せえ!左は攻撃!」

「片側だ!片側に集中するんだ!バランスが崩れ出せば!必ず傾き出す!」

「そうすればコイツは踏ん張れない!」

「戦艦大和だって片側に集中攻撃受けたせいで守り切れなかったんだ!」

「兎に角攻撃を集中させろ!集中だ!集中ー!」


 ズ…


「!」


 ほんの少し、ほんの少しではあったが青大将の巨体がズレた様に動いた気がした!


(イケる!!?)


 第六話

 その18 押せ!

 終わり

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