第六話 その13 時を止める小鳥
第六話 その13 時を止める小鳥
「ちゅん助!てめえ!もうとっくに着地しちまってるだろうがッ!」
時が止まった!!
「………」
「………」
「………」
「フン!」
「ここが勝負だお!」
「絶対に外さぬ!」
「行くお!アスカ派!みんな大好き!アスカスキーの名のもとに!」
「式惣不滅は覇者の風お!…」
「いつもの出せもしない必殺技の前振りで誤魔化すんじゃないよ!」
なんという茶番!
命を賭けたはずの神風ダイブのはずなのに!この男ときたら!下らんネタと喋る事に夢中になって!最大のチャンスを見送ってしまったのだ!
呆れて言葉が無いとはこの事だ…俺はおろか、周囲の民衆、グソク、核蟲までもが呆気に取られて
まさに!
時が止まった!!!
「と!とにかく!必中の爆人石発射だお!」
「パチコーーーーーン!!!!」
時が止まった!!!!
「てめえ!パチコーンって口で言ってるだけじゃないかッ!」
「だまるお!イズサン!」
「この一発は絶対に外せないんだお!」
「口で発射音を偽装して!」
「フェイントをかけて本命発射だお!」
パチコーーーーン!
ズズズズ!
スカッ!
ぴゅーーーーん!
バーーーーン!(遥か…はるかに遠方…)
時が止まった!!!!
いや!
もはや時が凍った!!!!!
「は、外したア!?」
なんという!
なんという茶番!
焦ったちゅん助は目の前の、巨大な相手の簡単すぎる目標なのに!少々動いたからと言って見事なまでに最後の一発を外したのだった…
刻が!
時空が凍った……
アホらしさが生み出した、まさかの逆絶界!
が!
このようなアホすぎる呆れ不可避の茶番でも!一人二人は耐性ある奴がいるのだ!
凍った刻の中を一人、松明を持ち軽快に駆け抜ける人物がいた!
「鳥さ~ん!なにやってるのっ!?」
「さっさと火を放たなきゃ!」
ボ!
火ッ!
ボワアアアアアアアアアアア!!!!
「ギィイイイイイイイーーーーーーー!」
着火!
着火成功!
青大将が悲鳴を上げた!
ちゅん助の途方もない茶番が凍り付かせた空間を切り裂いて、松明で苦も無く着火に成功したのは、あの少年であった!
少年、お前が神か…
いいや!
お前が神だ!
「見たかッ!わしの陽動作戦!」
「わしが大げさに騒ぐことによって!」
「みすでぃれくしょんおーばーふろー!」
「全ての蟲どころか民衆の視線までもわしに全集中させたことによって!」
「少年がどフリー!」
「最強の囮!」
「目論見通り!」
「見事!作戦成功だおおおおおおおおおおおおお!!!」
「ウソこけええええええええええええ!!!!」
ガサガサガサ!
茶番はここまで!とグソク達が動き出す!あっという間にちゅん助が囲まれた!
「ちゅん助!もういいから!早く!早く逃げろ」
「イ!イズサーーーーン!」
「実は…」
「わし、もう、うごけん…」
「ここまでだお…」
「勇者よ!」
「あとは託した!」
「友よ!」
「東郷神社で会おうお!」
「ちゅん助!ちゅんすけえええええ!」
ちゅん助が灰色達に飲まれていく
俺は…俺は見た!
俺に対して敬礼のポーズを取ったちゅん助に、大量の灰色が襲い掛かり、ポーズをサムアップに変え、無駄にカッコイイちゅん助が灰色の津波に飲み込まれていったところを…
第六話
その13 時を止める小鳥
終わり




