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更新停止中 イズちゅん  作者: ちゅん助の!
第六章 死闘!時計塔広場攻防戦!
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第六話 その3 捕らわれた勇者

 第六話 その3 捕らわれた勇者


「このままではだめだ!青大将の口の下に居る白い核蟲!奴を倒さないとこっちが全滅だぞ!」


 俺は檄を飛ばすが混成団からの反応は無かった。


 無理もない、体の側面にすら一撃も加えられない腕前の奴等ばかりなのに、最も危険部位である口周辺に居る核蟲になど攻撃が加えられるわけがないのだ。周りの士気がどんどん下がっていくのが感じられる。


 なんて奴等だ!


 この街にさしたる義理もない俺やちゅん助が必死に戦っているというのに!この街の人間が早くも諦め始めている。

 こいつらに比べたら多少ふざけているとしてもちゅん助の方が何と勇敢だったことか!俺は改めて失った戦力の大きさを痛感した。

 だが、この街の奴等が情けないのも無理はない。この街には弱い灰色グソクしか居なかったのだ。

 

 なまじそいつらが金になるせいで、この街の奴等はそれに夢中になった!


 こんな事態など想定もしてなかったし、何かの異変に備えている暇があれば灰色を狩りまくった方が金になるのだ。腕を上げたりとか、ちゅん助みたいに強力な武器を開発したりとかする必要などなく、雑魚蟲を相手にしてれば法外な収入が得られたのだ。


 そんな奴等に魔王に対抗せよ!と言っても無理な話だ。ちゅん助とあの少女はそんな事とっくに見抜いていたのだ。だから逃げようと…


 俺は今さらながら自分の選択の過ちを悔やんだ。あの時、この街の絶望的な状況は俺にだけ見えていなかったのだった。変な正義感や根拠の乏しい負い目で自分の命どころか友の命まで失おうとしている。

 後悔先に立たずとはよく言ったものだ。後悔は俺の士気をも下げ、下がった士気は疲労を呼び、疲労は判断ミスを誘う…


「しまった!」


 ガシガシ

 ギン!


 今のはやばかった!


 まともに青大将の正面に重心を置いてしまった俺は、危うく奴の脚に掴まれそうになった。幸いにもスピード特化型の青はその分ダイオウより掴む力が幾分弱かったように感じた。

 もしダイオウと同じ力があったなら、今のタイミングでは確実に大口に引き込まれて頭蓋を砕かれていたはずだ!何とか剣で脚を払いのけ再び必死で逃げに入る。

 

 気付くと混成団の連中は青大将からかなりの距離を取りビビりながら、申し訳程度に灰色を相手にしながら遠巻きにこちらを窺っているではないか!


「なんて奴等だ!」


 核蟲を倒さなければ勝機は無い!


 そう言っているのに!この期に及んで他人事の様に灰色を相手にお茶を濁しているなどと!

 いくら灰を倒したところで意味はない、とにかく核蟲を!核蟲を葬らない事には事態の打開には至らないのだ!


 灰色と遊んで現実逃避してるのは結構だが、核蟲を倒さなければ街の灯が消えるのは遅いか早いかだけの違いなのだ。一か八かでもコイツに挑まなければ敗北=死はもう目の前の状況、どうしてこいつらにはその程度の事が…その程度の事が!分からないのか!

 俺は彼らの現状把握能力に絶望たる思いを感じた。


 こんな時、ちゅん助がいてくれたらブチ切れて奴等のケツでもひっぱたいてくれただろうか?


 こんな烏合の衆の中でもたった一人、ただ一人くらいは状況を理解してくれる奴はいないのか!?


 皆に強く訴えてくれる奴はいないのか!一人で!一人で良いんだ!たった一人が皆を動かす!そういう奴が一人くらい居てくれたっていいんじゃないのか!








 居た!










 たった一人!






 この状況を理解してくれている人物が!


「みんなー!勇者様を助けて~!」

「このままじゃ!街のみんなが死んでしまうんだああ~!」

「あの怪物の口の下に居る白い奴!」

「アイツを倒さない限り!みんな死んじゃうんだあ~!」

「アイツを!」

「白い奴を倒すしか、助かる方法はないんだあああああ!」


 声の主はちゅん助を任せたあの少年だった。彼はちゅん助をどこかへ匿った後、勇敢にもこの戦場に舞い戻って、今ここにある危機とその打開策を周囲にふれて回ったのだ!

 人間どことなく頭では理解していても恐怖や絶望的状況に陥ると正しい行動をとれない、所謂、正常性バイアスにかかると言う奴だ。周囲の奴等は完全にそれに陥っていたのだ。勇敢なる少年の叫びは、周囲の奴等に今やらなければならない事を認知させた様だった。周囲に士気が戻るのを感じた。


 しかし!


 魔王がそのような危険な人物を許すはずがなかった!

 俺に向かっていたはずの青大将の口の下で魔王が少年の方に視線を向けた気がした。その瞬間青大将が急激に方向を変えた!


「マズイ!」


 少年は青大将が自分に向かってきた恐怖か!?突然の出来事に対応できないのか棒立ちのままであった!


 俺は必死になって少年へと疾走する!


 ドン!


「何で戻ってきた!」

「離れろ!」

「でもよくやった!」


 俺は諸手突きで少年を青大将の軸線から突き飛ばすと少年にそう声を掛けた。なんとか少年を救うことに成功したがその代償は大きかった。


 ガシガシガシ!


「しまった!」


 俺は少年を救う事と引き換えに遂に青大将に、魔王に捕らえられたのだった…


 第六話

 その3 捕らわれた勇者

 終わり

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