第五話 その24 戦車の倒し方
第五話 その24 戦車の倒し方
「………いや!」
「たった一人ですが!」
「ただ御一人!」
「御一人だけ居られましたッ!」
「誰ですかッ!」
「誰かおッ!」
「お宿でお話しした時に触れました方です!」
「リッサ様ですよ!」
「神魔弓士のリッサ様です!」
「ズコオオオオーーーー!!!」
「そんな…」
ズルッ!
ぽこん!
ちゅん助が足を滑らして俺の頭から地面に真っ逆さまに落ちた…
「勇者様!ちゅん助様!どうされましたか!」
「あの女そんな名前だったのかお…」
「いや、その子ならここへ来る前に偶然会っていて…」
「そっこーで逃げて行ったお…」
「な!?」
「なんですと!?」
「当り前だお!さして義理もない街のために自分の身を危険にさらしてまで!」
「戦うアホがドンだけいるかちゅー話だお!」
「そないな、お~めでたい天然記念物の絶滅危惧種級のアホ居たら顔が見たいお顔がっw!」
ちゅん助がこちらをチラチラ見ながら言った、ムカツク!
さておき!
この厄介過ぎる強大な敵に対抗できる力を持った人間は、あの子しかいなかったのだ…
大王の正体が掴めると分かっていたなら、なんとかあの子に、ちゅん助ではないが、しがみついてでも協力してもらえるよう懇願したのに!
まさに後の祭り…アフターカーニバル、エンドオブフェスティバル…今となってはどうしようもない。
「イズサン!過ぎた事を嘆いても仕方ないんだお!」
珍しくちゅん助が良いことを言う!
「そ、そうだな!お前にしては良いことを言う!」
「それに!」
「わしらにはまだやれる事がある!」
「最強の戦法が残されとるんだお!」
「おお!」
「流石だっ!」
「聞かせてくれ!」
「サブロックだお!」
「サブロック???」
「なにそれ?潜水艦?」
「対潜ミサイルとか?」
「ちがうお!」
「36だお!」
「……」
「三十六計!」
「……」
「三十六計逃げるに如かず!だおw」
「前言撤回!」
「爆・斬突も爆人石弾も防がれて!」
「おまけに守りを三重にも強化されてしまったんだお!」
「もはや打つ手なしだお!」
「お前さっき…渾身の魔力で防御を固めてもらってうんたら…言ってたよなあ?」
「あと、今さら逃げる場所なんてないぞ!」
「死に物狂いで逃げを決める奴もいるって!エリア66で言ってた!」
「あほ!街の外だってグソクで一杯だ!」
「アホはそっちだお!」
「あんな戦車みたいなでっかい奴!どうやって倒すんだお!」
「まだ雑魚たち相手に全力逃げをかます方が可能性があるお!」
「元凶が目の前に居るんだ!どうにかしないと!」
「無理だお!人生は諦めと!」
「発想の転換が必要なんだお!」
「ここは転進!」
「ひとまず戦術的撤退をして!」
「安全を確保してから」
「しかるのちに対策を立て!」
「るふりをして二度と近寄らんお!」
「どうにかするつもり!全くゼロじゃねーか!」
「だったら何で来た!」
「当り前だお!わしはおまえを連れ戻しに来ただけであって」
「もともと戦う気など!さらさらないわ!」
「それでも少し手を貸してやったんは…」
「なんだよ!!」
「アリバイ作りだおwww!」
「はあああ????アリバイだあ~?」
「わしらがダイオウだか王だか見ておびき寄せた!って難癖付けられても!」
「ちょちょっと手を出しときゃあ、一目散に逃げた!って悪評だけは避けられるおw!」
「………」
「わしはこのテクニックを勤めていたブラック企業から学んだお!」
「社員から不満や不平が出たり、特に会長子飼いの犬たちが不祥事起こした時!」
「口では大げさに徹底的な対策を取るとか!根本的解決を必ずする!と言って!」
「ガス抜きを施した後は!」
「一切反省などせず!」
「3日も経てば元通りなんだお!」
「おーまーえー!全く解決しとらんだろうがっ!」
「そうだお!解決が目的じゃないんだお!」
「その場さえやり過ごせばいいんだお!」
「ある程度やった!」
「その事実さえあれば!」
「後々都合が悪くなった時!」
「当時、やれることはやった!」
「そうやって誤魔化せるんだお!」
「ゆえに!」
「アリバイ作りは成立!」
「逃げるおw!」
「友が…社会での学び方を…これほどまでに…間違えていた事に…衝撃を隠せない件…」
「アホが!そもそもわしらは戦車を倒す訓練など受けとらんのだお!」
「こんなもんが居ると分かったら逃げてもやむなし!」
「戦車…」
「戦車はどうやって倒すんだ?」
「そらATM!といっても銀行やコンビニにある奴じゃないお!」
「アンチタンクミサイル!対戦車ミサイルでブッ飛ばすんだお!」
「ちなみにコンビニに置いてある奴は」
「あ!手数料!また取られた!の略だお!」
「そしてここには対戦ヘリも攻撃機もないお!」
「あればわしが華麗に操縦してブッ飛ばしたるおwww」
「……しれっと嘘ついてんじゃね…!」
「そしてさらにゲームの話だろそりゃ…」
「は?パンツ~丸見えフォウ!のアニメだって見てたお!」
「…ヘリとか攻撃機とか無い時代はどうしてたんだ?」
「頼むよ!」
「考えてくれ!」
「考えるまでもねーお!」
「そら地雷よ地雷!」
「イッツマイン!」
「それは私のです!じゃねーおwww?」
(それはイッツ ア マインじゃねーのか…)
(イッツ ザ マインか?どっちでもいいわ…)
「地雷なら倒せるのか?」
「そら戦車は外面装甲は丈夫だけど、腹はあんま強化してねーからな?」
「昔は人間地雷とかおっそろしい戦法があったらしいお?」
「アイツだって腹が弱点だ!そうじゃないか?」
「!?」
「爆・斬突で斬り付けた時には奴の右側面、斜め前に魔法陣が展開してた!」
「……」
「お前が爆人石弾で爆撃した時は正面!」
「つまり…あの障壁には指向性がある…と?」
「ああ!そう言う事だよ!」
「……」
「あの巨体だ、予想外の!いきなりの下からのドカンと地雷の大爆発!」
「これならどうだ!?」
「確かに…」
「爆撃後の三重障壁は正面に展開させてたなお…」
「最初の爆撃がヤバかったからこそ、防御を固めたんだお!」
「何かを追っかけるのに夢中になって、展開が遅れたら!」
「吹き飛ばせるかもだお!」
「爆人石弾は残りいくつあるんだ?」
「さっき3つ使ったから22個あるはずだお!」
「正面から爆撃してもさっきみたいに防がれる可能性が高い!」
「連射ではだめだお!」
「出し惜しみせずまとめていっぺんにドカンだお!」
「全ツッパだお!」
「ああ、そうだな!」
「ただ問題があるお!」
「なんだ?」
「地雷は上方を通過させなイカン!」
「た、確かに…」
「埋めとる暇はないし、埋めたら着火できん」
「導火線は無いか…」
「着火は直接火を付けるか」
「もしくは仕掛けた爆人石弾地雷群に、パチコーンと一発爆人石弾をブチ込んで強制着火だお!」
「それだ!それでいこう!」
「あとは仕掛けるスペースだお?」
「隊長!ガレッタ隊長!」
「は、はい!」
「この広場周辺に地下に空間がある場所はありませんか!」
「地下ですと?」
「下からさっきの爆弾でアイツ吹っ飛ばしてやるんだお!」
「だから地下に空間が必要なんです!」
「うう…空間と言うほどではないですが、この広場の周囲は排水のための側溝がございますが…」
「!」
「!」
「それだお!側溝なら着火のための射線が取れるお!」
「さっきの探索で大体の位置関係は把握しとるお!」
「わしとした事が側溝の存在わすれとったお!」
「渡りに船とはこの事だな!」
周囲を見回すと、確かに!丁寧に石を切り出して作ったと思われる蓋をはめ込んだ側溝があった!
「イズサン!一か所蓋を取ってそこに仕掛けるお!」
「ある程度、直線距離をとってもう一か所蓋を外してわしがそこに!」
「パチコーン!とやった後、爆風が来る前にそっから出て逃げるお!」
「なるほど!やれるか!?」
「やれる!」
「とは言えない…」
「けど、やるしかないんだ!」
「……」
「悔しいけど、わしは漢なんだな!」
(酔ってやがるなコイツ…まあ逃げ出されるよりはいいか…)
(褒めて…ノせて使わねば…)
「頼もしい!男の中の男!でてこいや!」
「おうだお!」
「マインスイーパーちゅん助と呼んでくれだお!」
「撤去してどうする…」
第五話
その24 戦車の倒し方
終わり




