第1章「異世界勇者は2度死ぬ」chapter1
冷たい雨が辺り一面降り注いでいる、辺りは動物どころか虫1匹すらいない草原で一人の男の亡骸が横たわって···『ちょっと待てくれよ』『物語を急に止めるなって?だけど納得出来るか普通?』『いやあんたの言いたいことはよくわかる、これは異世界転生物だから主人公が死んでても別に気にする事はないってな』『そうさ、リゼロだって死ぬところから始まってるもんな』『でも違うんだ、俺が今死んでんのは異世界なんだよ、異世界で死んでんの!』『マジでクソ、この後どうせ説明入るだろうから先に言っとくけど、腹ぶち抜かれて死んでんだこれ、挿絵欲しいね全く』
男の亡骸に1人の少女が近付いてきた『先に言っとくとコイツロクでもない魔女だぞ』少女はポツリと
「あら、こんな所で死んでいると風邪を引くわよ?」
と呟き『うーわ何?ヴァイスこんな文学的な事言ってたの?西尾維新もビックリだよ』亡骸を自らの家に運んで行った。
『なぁ、大事なところ端折ってないか?俺様自身の事がなーんにも話されてないじゃねぇか!』
『しょうがないから俺様直々にここまでの経緯を書いといてやる』
てな訳でこっから俺様の紹介タイム
俺様は『零条 王我』あ、これ『レイジョウ オウガ』ね
元いた世界では何でも屋をやってた訳よ
え?「何でも屋ってなんだ?」って?
シティーハンター読んだことあるか?なら察しは付くよな
要するに金もらって、悪党共を血祭りに上げる正義のヒーローさ
···まぁ、正義のヒーローとするにはちょっとスプラッターが過ぎるんだが、まぁそれはそれ人殺しは儲かるからな!仕方ない仕方ない
好きな物はアニメと映画!正義の鉄槌下した後のアニメは最高だよな
ん?「心は痛まないのか」だって?
痛むさ、俺様も人間だからな
尚文のあの境遇には本当に同情するぜ···俺様だったらあのビッチ2秒で殺してる
まぁ、それはそれとしてだな、こっからが大事。
ある日ブッサイクなクソ野郎共をぶっ殺しに行ったら、あらびっくり俺様としたことが油断してクソと一緒にボカン!跡形も無く吹き飛んだって訳。
目が覚めたらなんと異世界に、来たのもつかの間後ろから腹ぶち抜かれて即死。
説明しといてなんだけどホントにクソみたいな展開だなこれ、作者何考えてんだ?
1話目で死ぬ主人公ってあるか普通!?
いやちょい待ち、普通にあるなゾンビランドサガとかはそうだったな。
まぁともかく俺様は死んだ。
さっきまではな
とりあえず解説終わり、こっから本編ね
「おい···王我···誰に話しているんだ···?」
エルフの少女がベットに横たわる王我に向かって話しかけた、心底不気味そうな顔をして。
「読者に説明中だリィン、急にベットから始まったら混乱するだろ」
「錯乱してるのか···?さっきからお前の言っている事はよくわからん」
「錯乱?してるかもな、だって2回も死んでるし、目が覚めたらエルフと魔法使いが目の前にいるんだから、強めのヤツキメたのかと思ってる」
「ちょっとお二人さんいいかしら?」
2人の会話を割って来たのは先程王我を運んだ少女、ヴァイスだった。
「今の貴方の大きな独り言を精査すると、貴方は別の世界からこの世界にやって来たって事よね?」
「異世界転生だからな、まぁ1話目で死ぬのはレアケースだけどな」
「そこが少し引っかかっているの、なぜ死んでいた筈の貴方が生きているか」
「それはアレだ、転生者特典のチート能力だ、多分」
「そう、なら少し貴方の魔力を調べるわ」
ヴァイスは王我の頭に手をかざした。
掌から僅かに光を放っていていかにも魔法といった雰囲気だった。
するとヴァイスは顔をしかめて
「これは···おかしいわ···」
「一応聞いとくけど、強すぎておかしいって意味だよな」
「残念だけど逆よ、弱過ぎる、というよりは無いわ」
「あー···ごめんよく聞こえなかった、もう一回言ってくれるか?」
「無い、貴方には魔力が一切感じられないわ、その辺のネコの方がまだマシなレベルよ、理解出来た?」
「よくわかったけど脳が理解を拒んでる」
王我はわざとらしく顔を手で覆った。
「ヴァイスどうする?とりあえず教会にでも連れて行って保護してもらうか?」
「教会···そこって神様と会話できるシスターとかいる?CV早見沙織がいいな、あ、やっぱ早見沙織は無し、なんかそのシスターヤバそうだから」
「よし教会に連れていこう、こいつは錯乱している」
「教会で神様に文句言いたいから是非行きたいね、準備するから待ってろ」
王我は起き上がり、自分の着ていたコートを手に取りとっとと出ていってしまった。
「で、俺様はやっぱ思うわけよ、呼び出した神様は美少女な女神がいいってな」
「···」
教会へ向かう道中、王我はずっとアニメの話をしていた。
もちろんこの世界にはアニメは存在しておらず、リィンは何を言っているのか全く理解出来なかった。
「ねぇ、貴方空気を読むって事知ってる?」
「最大限読んでるよ」
「それでこれか···救いようがないな···」
そうこうしている内に、街の外れの教会に三人は辿り着いた。
「シスタークレア、いるかしら?」
「あー、なんかvtuberに同じ名前のやついたな」
奥の部屋から眼鏡をかけたシスター服の女性が返事をして出てきた。
「あら、リィンさんとヴァイス様、それと···そちらの方はもしや···?」
「望月冬夜だ」
「レイジョウ オーガだろ、もういいからお前は少し静かにしていろ」
余計な事を言う王我にリィンは少し強めに叱咤した。
「もしや、という事は神託があったのかしら?」
「はい、今日は変わったお客様が来ると、それにとても大切な日だ、とも···」
「大切な日?そうだな、俺様DVD借りてるんだけど絶対に延滞料金とられ···」
また王我が余計な事を言おうとしていたが、それを遮り教会内に声が響いた。
「よく来たな、零条 王我」
全員が声の主を探したが見当たらない、この声の主は空間から話しかけているようだ。
「なるほど、姿を見せないのは些か無礼か」
そう言うと祭壇から男性が現れた、だがその姿はまるでマネキンの様で、衣服は付けておらず、顔にも生気は感じられなかった。
「零条 王我、お前がこの世界を救える選ばれた人間だ」
「もしかしてあんたが俺様呼び出した?」
「そうだ」
「こんなハゲたオッサンに?」
「そうだ」
「てか、ほか3人なんか喋れよ、セリフ思い付かないのか?」
1人軽口を叩く王我だったが、リィン達3人は硬直したまま動かない、いや動けなかった。
「王我···なん···でお前は···そう···やって話せる···?」
「流石に···私も平常心保つので精一杯よ···」
「ほほぉ、いいね、俺様だけ神様相手に対等に話せる特異体質ってか」
「いや、単に私の波長とお前の波長が噛み合っていないだけだ、私はそこの3人の世界の神らしいからな、魔力の波長が···」
「待て、その話長くなるやつだろ、やめとけ文章量が多くなる」
勝手に話を終わらせ、王我はなおも軽口を続ける。
「で、あんた名前は?神様神様言ってたらややこしくなるだろ、無いなら俺様が付けてやろうか?ウォッチャー、Drマンハッタンあとデッカチーとかどうだ?」
「オリジン、人は私をそう呼ぶ」
「あぁそう、でこっからこの物語の根幹に関わる色々を説明すんだろ?」
オリジンは王我の長話に適当に返し、本題を話し始めた。
「混乱するかも知れないが、落ち着いて聞いて欲しい」
「この世界は既に幾度となく滅びている」
突然の告白に驚く王我以外の3人
「何これループ物だったって事?序盤でバラすのはありなのか?」
「世界が···滅びている···?」
「この世界、正しくはこの次元はある人物により滅ぼされてきたのだ、奴の名はエンド自らを終焉を司る神だと名乗っている男だ、私は奴の目論見を食い止めるべく初めはこの次元の世界の人間達に力を与えたのだが奴の力は強大で歯が立たなかった、そこで思い付いたのが別次元から人間を呼び寄せるという事だ、別次元の人間ならこの次元にない技術や力で立ち向かえるだろうと···」
「めちゃ迷惑な話だな」
「呼び寄せた人間達には聖遺物と呼ばれる神の力を宿した武器を与えたのだが···それが裏目に出てしまった、エンドは聖遺物を奪い、その強大な力で自らが神に成り代わろうと考えている」
オリジンが手をかざすと立体映像の様に王我達の目の前に聖遺物らしきものが映し出された。
「奴が聖遺物の力を完全に引き出せたなら、この次元はおろか、全ての次元は滅ぼされるだろう」
「ちょいちょいちょい、ちょっと待ってくれDr.マンハッタン」
王我が話を遮り、何かに気付いた様な怪訝な顔で言った。
「その、なんだ、転生者には聖遺物とかいうチート武器が貰えるんだってな?俺様なーんにも貰ってないんだけど?」
「奪われた」
「なぁ、ジョークなら笑えないし、真面目に言ってるんだったらもっと笑えねぇ」
「奴の力を侮っていた、だが···あれの発動にはかなり時間がかかる、それまでに他の聖遺物を奴より先に見つけるか、もしくは破壊するしかない」
王我はもう話を聞いていなかった『そりゃそうだやる気無くなるだろ、こんなもん』
「だが······王gよ····ま····だき·······bうは···」
オリジンの声が突然ノイズ混じりになり途切れ途切れになった。
「······み····には····リ····rシ······日····ynか····がしししsssiを·······でき····ちかrrr··をoo」
「おい待て消えかかってんぞ、ちゃんと全部説明を···」
だが願いも虚しくオリジンは消えてしまった。
重圧から解放された王我以外の三人は顔を見合わせ、オリジンの言った事実にただただ戸惑っていた。
「世界が···滅ぶ···?」
「信じ難いけど···手の込んだ嘘とは思えないわね」
「世界を救える鍵となる聖遺物か···王我、これからどうす···る····?」
だがリィンの視線の先には王我はおらず、既に教会を後にしていた。
リィンは慌てて王我の後を追った。
「王我!おい!王我何処に行くんだ!」
「決まってるだろ、酒飲んで寝るんだよ」
「話を聞いていなかったのか!世界が滅ぶかも知れないんだぞ!」
「聞いてた、すっごくちゃんと聞いてた、だからだよ」
王我は足を止め、リィンに言い聞かせるように話した
「俺様一つマイルールがあんの、世界だとか政治だとかスケールがでかい仕事が来た時はまず一旦酒飲んで忘れる、ほいでグッスリ寝て朝になってからまた改めて考えるんだ、そうでもしなきゃやってられねぇよ」
「お前···それは本気で言っているのか···?」
リィンは明らかに軽蔑の眼差しを向けている、それもそのはずだろう、世界が滅ぶかも知れないという瀬戸際で、更に最後の希望なり得る人間が放った第一声が酒を飲むであったのなら当然の反応だった。
だがそんな彼女の事を無視し王我はなおも話を続ける。
「なぁエルフのお嬢ちゃん、異世界転生物にはお約束ってのがある『俺様にベタ惚れのヒロイン』『四天王』『チート能力』『激ヤバな魔王』『美少女女神』あと『CV悠木碧のヤバい奴』俺様に与えられたのはなんだ?激ヤバの魔王だけだろ?いや、もしかしたらCV悠木碧のヤバい奴もいるかも知れないけど···ともかくだ、どうやって勝つ?持ってるのは俺様が所有してた武器しかない、無茶苦茶だ策も何もあったもんじゃない」
「もういい···!お前に少しでも期待した私が馬鹿だった···どこへなりとも消えろ!」
怒りに身を震わせリィンは教会へと戻って行ってしまった。
王我はリィンを追うこともせず街へと歩いていった。
「おー···割かし1番栄えてるじゃないの」
王我は市場のような場所に来ていた、道行く人は皆活気に溢れており、世界が滅ぶ等という話が嘘の様に思える程だった。
キョロキョロと辺りを見渡しながら歩く王我だったがある事に気付いた。
「しまった、先立つものが全くないな、日本円で騙くらかすか?」
石段に腰を掛け、これからどうするかと考えていた、その時王我の目に飛び込んできたのは。
「ま、待ってくれ!これは大切な金なんだ!」
「ハッ!知ったこっちゃねぇな!」
「俺たちに見つかったのが運の尽きってやつだな!」
チンピラに絡まれている初老の男性はそのまま路地裏に追い込まれてしまった。
「なぁ皆ここで質問、善人を救う都合上悪人からお金を奪う事は果たして悪い事でしょーか?」
「答えはNO、行くか」
路地裏では男性がチンピラ達に殴られていた。
「なんだこいつ、全然金を手放さねぇな」
「仕方ねぇ···殺すか」
「···がっ、頼む···この金だけは···」
チンピラの一人がナイフを取り出し、男性に突き立てようとした、だが不意に後ろから口笛が聞こえた。
「おいそこのMr.ザコキャラ、とりあえず金おいて失せろ、あとついでにそこのヒゲおじさんには手を出すな、一応」
「なんだァ?テメェ···」
一人がツカツカとナイフをチラつかせながら近づいてきた。
「見ねぇ顔だなァ···?オレたちが誰だか知ってて喧嘩売ってんだよなァ?」
「いや知らん、だってお前らキャラ紹介に載ってないから」
言い終わるや否や、王我はチンピラの足を銃で撃ち抜いた。
「うぐ···ぎ!テメェ!何しやがった!?魔術か!?」
「黙れプリコネのモブチンピラ、そこの筋肉ダルマも何となくわかるだろ?どうすりゃいいか位は」
続け様にもう一発弾丸を撃ち込む
「ぐ···」
チンピラの仲間も王我の持っている銃の恐ろしさを理解していた。
「俺様だったらダサい捨て台詞吐いてしっぽ巻いて逃げるけど···?」
「お、覚えてやがれ!」
チンピラは撃たれた仲間を抱え逃げようとしたが、王我は口笛で2人を引き止め「金を置いていけ」とジェスチャーした。
「ふう···儲かった」
チンピラが置いていった金を拾って懐にしまう。
襲撃されていた男性が立ち上がり、王我の方に駆け寄ってきた。
「ありがとう···!どこの誰だか知らんがあんたは命の恩人だ!俺はバルボ、バルボ=アルコードだ」
「あぁ、あんたを救ったおかげで俺様の懐は温まったよこちらこそどうも、でだ、この辺にオシャンなバーとか酒場無いか?」
「それなら俺の店に来てくれ!礼がしたいんだ、そんなにいい酒は無いがどうか好きなだけ飲んでってくれ」
「フー、最高!そうと決まりゃレッツゴーだ」
王我はバルボの店へと足取り軽やかに進んでいった。
「ただいま、キュリル」
まだ開店前だろうか、店の椅子は片付けられていて、客は1人もいなかった。
店の奥から、17~18位の少女が出迎えた。
「おかえりなさい···ってお父さん、その怪我どうしたの!?」
「心配ないよ、こちらの方が助けてくれたんだ」
王我はヒラヒラと手を振り笑顔で応えた。
「すいません父が···あの、お名前は?」
「桐生 戦兎だ」
「あんたレイジョウ オーガって名前じゃなかったのか?」
「ジョークだよヒゲおじさん、改めて零条 王我だ、よろしくー」
王我の突然のジョークに少し戸惑いながらも、キュリルは握手をした。
「まぁ立ち話もなんだ、座ってくれ」
王我は勧められるがままカウンターに腰を下ろした。
適当な酒を注文し、王我は少し気になっている事を質問した。
「なぁヒゲおじさん、あんたさっきの金に随分執着してたみたいだが、なんかあんの?」
「あぁ···まぁそうだな···」
歯切れが悪そうに濁すバルボの態度である程度理解した王我は
「いや、今の質問やめ、主人公だからといって野暮すぎた」
「構わんさ、この金は···」
何かを言いかけた所で店のドアが乱暴に開かれた。
「バルボ、金を受け取りに来てやったぞ」
声の主は金髪を肩くらいまで伸ばした、鎧姿の男性だった、見た目に乱雑な様子は見られず、むしろ気品すら感じさせたが、言動は街のゴロツキ同然だった。
「ほう···?貴様の店に客人か···まぁいい、それより今月の護衛料を」
「わ、わかった、これだ」
バルボは小さな麻袋に入った金を渡す、本来ならなんの問題もないはずだが、不自然な事に鎧の男は一瞬怪訝な顔をした。
「ふん、あるならいい···」
「今は客がいるんだ···用が済んだなら早く帰ってくれ···」
男は立ち去ろうとしたが、袋を手のひらで転がし、突然
「おい、バルボ貴様···前の時より袋が軽くないか?まさかこの私を欺こうという魂胆か!」
明らかな言いがかりだったが、この世界の騎士という職業はそれなりの地位らしく、バルボの顔は一瞬で青ざめた。
「そ、そんなはずはない!数えてみてくれ!」
「貴様···たかが商人の分際で私に命令するか!」
現代社会ではまず通用しないような言い分だが、ここは異世界、これが常識だった。
「本来ならここで斬り捨てられても文句は言えないが···」
男はキュリルの方を向いた、目が合ってしまったキュリルはビクッと肩を震わせた。
「あの娘で今回は埋め合わせをしておいてやる」
「やめてくれ!キュリルは大事な一人娘なんだ!」
必死で娘を守ろうとするバルボ、だがこのまま言い合いをすれば本当に斬り捨てられてしまう、そうなればキュリルの行動は一つ。
「あの···私····」
「はーい先生、ちょっといいか?」
先程から黙って酒を飲んでいた王我が割り込む。
「声優には悪いけど、その聴くだけで耳が腐りそうな下痢便ボイスを止めてくれないか?さっきから吐きそうだ、いやちょっと吐いた」
王我はわざとらしく目の前でえづいて見せた。
男は怒りの色を顕にして、王我に詰め寄る。
「誰に向かって物を言っている···?」
「逆に聞きたいんだけど、この中にお前以外に口から下痢便吐いてるやついるか?」
明らかな侮辱に男は静かに一言。
「外へ出ろ、貴様の立場をわからせてやる」
「おぉ、ポルノ雑誌以外で初めて聞いたセリフ」
王我は立ち上がり、扉へ向かう素振りを見せた。
男が先にドアに手をかける。
その瞬間乾いた破裂音と少し遅れて、水気のある物が飛び散る音が鳴った。
ドアは真っ赤に染まり、先程まで立っていた男は膝から崩れ落ちた。
男の額には風穴が空いていた。
「フー、現代チート最高」
小躍りしながら男の元に駆け寄り、足で雑にひっくり返す。
「あー、俺様オッドアイの男キャラ嫌い」
開きっぱなしの眼球に銃弾を浴びせ、辺りは血生臭さが充満していた。
ふと、王我が我に返り店内を見回す。
口を開けたまま硬直している2人。
そして足元には死体。
「これ、あのセリフ言うチャンスだな」
深呼吸し、眼光を少し鋭くし、王我は言った。
「俺、またなんかやっちゃいました?」