好きな食べ物はいちごのショートケーキです
なんか書きたいって思って鉛筆持っても、全然進まないのはなんで?
映画とか本とかに影響してわたしもなにか書きたい!っていま、鉛筆を持ったの。
でもね、全然思い浮かばないの。あんなのこんなの書きたいなって景色は思い浮かぶんだけどね、続かないんだよ。
とりあえず、おなか減ったからパン食べるね。食パン。それも焼かないで食べるの!絶品だよね!
「きのこの味がするなあぁ」
食パンの耳ってたまにきのこの味するよね。腐ってんのかな。
まあまあ、大丈夫。わたしのおなかは強いから。
「冷蔵庫にケーキもあるよ」
お母さんが二階から叫んだ。
20歳かあ。
わたしも20歳になったのかあ。早いなあ。
永遠に小学生なのかと思ってた。ずっとゲームしてたら今日が終わる、また明日、その繰り返しなのかと思ってた。
「いちごのショートケーキって、イチゴが一個のってるのがいいんだよ」
わたしがいちごのショートケーキをすきになったきっかけ。幼馴染の、あ~盛った。幼馴染だったらいいなって勝手に思ってた。名前は知らない。寝ぐせくんって呼ばれてた。いつも髪がはねてて、手入れをしてもすぐはねるんだって。笑える。
「でも、スポンジの間にもいちごはいってるじゃん」
でも寝ぐせくんは、聞いてなかった。
「きみもさ、もっと笑うといいよ」
寝ぐせくんは幼馴染の女の子と結婚した。見た目すごく、いちごっぽい、the女の子ってかんじ。絶対、好きな食べ物いちごだよ。
いいよね。幼馴染ってだけで、特別な関係みたいで。いつも一緒。そりゃ、必然的に好きになるよね。でも、絶対飽きるよ。
なにもかも知りすぎて、刺激がなくなるもん。
「ずっと笑ってるのも疲れるよ」
寝ぐせくんの名前すらしらない、わたしはただの近所の笑わない子としか認知されてないんだ。まあー、別に知られてなくてもいいけどね。また、会ったときに教えてあげよう。なんてね。
「すきな食べ物がいちごじゃなくて、いちごのショートケーキって子がすきだな」
それはもう、プロポーズと捉えてもいいですかって。
「きみはさ、ほんとに笑いすぎだよ」
寝ぐせくんはにこにこしてわたしをみてた。
彼の名前は結婚した今だって知らない。