アリの行列
「みーづーきーちゃーん! あーそーぼー!!」
俺は、幼馴染の少女、鳩羽深月の家の前。
つまり、俺の家の隣の家の前にて、大きな声でそう言った。
ガチャリ、と鍵の開く音。
すると、見覚えのある少女が顔を覗かせる。
「光宙くん?」
俺を認めると、少女は恐る恐る俺の名前を口にする。
「おう。遊ぼうぜ」
その少女は紛れもなく、俺のよく知る幼馴染の深月だった。
変わらない姿に安心した俺は、口元を大きく上げて、ニヤリと笑う。
少しの沈黙の後、夏月は口を開く。
「いいよ、遊ぼう」
ちょっと待ってて、と言い残し、慌てて夏月は家の中に舞い戻る。
そして、数分後かの後に、白いワンピースと、真っ白な鍔の大きい帽子を被った彼女が出てくる。
靴ももちろん真っ白のサンダルだ。
「おまたせ」
「全然待ってないよ。アリの行列を見てたらすぐだった」
「アリさんの行列がいるの?」
「ほら」
そこ、と俺が指さすと、アリが行列を作って、ひたすらに何かを運んでいる場面に遭遇する。
「ほんとだー!」と、興味深そうに、しゃがみこむ夏月。
見入っている彼女を余所に、俺は彼女の真ん前に移動して、同じようにアリの行列を見るふりをする。
狙いは、彼女のスカートの中一択だった。
「すごいねー」
「そ、そうだなー」
気づきはしない彼女を尻目に、深月のスカートの中を凝視する。
なんと、中までも真っ白な景色が広がっていた。
そこには、不揃いな台形が形成され、まるで触れば跡が付くんじゃないかと思われる程に柔らかそうだった。
俺の持つ、彼女の大人っぽい印象からは逸脱していた。
彼女は意外にもシンプルな下着を着けているんだな、と印象を改め直す。
そんな思考を余所に、その白い台形地帯を、いつまでも見ていられるなぁ、と俺は思う。
しかし、彼女はお構い無しに立ち上がる。
「さて、と。そろそろ行きましょうか」
「お、おう」
と、俺は口篭る。
深月のパンチラなら、この先いくらでも見られるはずだ、と自分を戒めながら、一緒に立ち上がった。
頭ではわかっていても、やはり落胆している気持ちはどうしようもないな。
「そう言えば行き先聞いてなかったね? どこで遊ぶつもりなの?」
「そりゃあもちろん、そこの公園だ」
もちろんと言ったのは、昔は、遊ぶというと、決まって、その公園に集まっていたからだ。
小さな頃は深月ともよくそこで遊んでいた。
少しだけ成長した俺らが満足に遊べるかは分からないが、そう聞いた彼女は嬉しそうに微笑み。
「いいね」
と、続けた。