網戸
凛と冷たい月の明かりが眩しい夜
20キロ以上ある通学で疲れ、心地よく深い眠りについていた。何か気配感じ目を覚す
はぁはぁと荒い息が近くで聞こえる
冷水を浴びせられると言うけれど、今正に一気に体が冷え目が覚めた
予報で明け方の気温は6度だが、あえて網戸で窓際で寝ていたのが良くない
近くに何かいる
薄い網戸一枚隔てた、屋根の上のに息を荒げる何か
大きさは分からない
私は片手をつき身を起こしかけた姿勢で動けなくなった
音を立ててはいけない
息を殺そうとすればするほど、心臓が緊張で暴れ酸素を求める、
震え始めたのは、酸欠か恐怖感からか
とにかく、窓を閉めなくては、ゆっくりと手を窓の棧にのばす
筋肉が強ばり関節がにしりと音を立てそうで恐ろしい
カタン
カタン
カタン
規則正しいく屋根瓦がかち合う音は、二階にぐるりと囲んだ屋根の上で何処にいるか教えてくれる
離れて
カタンカタン カタン カタン カタン
カタン カタン カタン カタン カタン カタン
戻ってきた
ぐるぐる回ってる。いつこの規則性を捨てて飛びかかって来たりするか分からない。タイミングがつかめない焦りから、肌寒いのに、背中はじとりと汗ばむ
今だと、覚悟を決め
伸ばしかけの手をさっと、かつ静かに動かし、半分閉めたとき、カタンと規則正しい音は、ガタガタに変わった
ひっと出かけた声を飲み込んで、急いで戸を閉める、次はこの編み戸の反対にある戸も閉めなくては
向きを変えて戻って来てくれるなと祈りながら、転ぶように次の窓に、たどりつき、戸をピしゃんと、閉め鍵をした。
安堵の息は出ない。
まだ、屋根の上のを回っている
私が音を立てたからか、オッオッと短く唸りを上げながら、荒々しく跳ねる様に瓦を鳴らした
後で閉めた方の窓から月明かりが差し込み、影が見えた。すりガラスで少し歪んだそれは、子供ほどの体格でバサバサの毛で被われた猫背の・・・
猿だ!
猿の握力は体重の三倍
チンパンジーは握力200kgにもなるらしい。日本猿の
体重は知らないが、樹上で生活するくらいだから凄いだろう
田舎学生、野生の猿に殺される
ローカルニュースのアナウンサーが読み上げる記事になってしまう。思考が明後日の方向に向き始める
そうだ、電気をつけて、テレビを鳴らそう
刺激して、窓ガラスを割られても嫌なのでそーっと移動してスイッチをおす。呆気なく明るくなる部屋
静寂が訪れる
蛍光灯の小さなノイズが頼もしく感じる程の、静な夜中
針の音がしない掛け時計を見上げれば、夜中の三時半
私は暫く、聞き耳を立て、緊張の余韻にがたつく関節を撫でながら家の戸締まりをし
家族が起きてくるまで、階段の踊場で膝を抱えた
読んでくれてありがと
あの頃やっぱりアホだった
予報で朝の気温6度なのに短パン半袖で網戸で寝てた
それまで、体が弱く寒がり、通学で自転車を長距離、漕いでたらムキムキになってきて調子こいてた。やほー寒くなぁい!筋肉最高とか言って筋トレしてた
寒くてもギリギリ息は白く無かったけれど、なってたらパニック起こしてた自信あるよ
動物園意外で猿見た初めて。野生の猿を嫌いになり、猿を見れば脅かして人間に寄らない様にする習性が出来たのもこれのせいだっ!