未開の地攻略〈一日目・前編〉
ここに来てから一時間。既に日も暮れ辺りは真っ暗になっていた。
「何だか僕達柵に囲まれた場所にいるみたいですけど……僕達を閉じ込めておく柵にしては低すぎません?余裕で乗りこえられますよ……。」
「いや、これは俺達を油断させるための罠かもしれないぞ?コータよ、気を付けろよ。」
余裕のユートと慎重派のリュータ。それよりリュータはなんでコータの心配しかしないんだ?他の人の心配してあげろよ!俺とか……ね?
リュータはきっと、コータはこの中で一番頼りないから心配してあげているんだろうと自分に思い込ませる。
するとコータが
「この柵問題ないですよ。罠の反応もありませんし、さっき召喚した精霊ちゃんも問題ないって言ってますよー!」
いつの間に!?と思いながらコータに対する思い込みを訂正する。コータはこれでも世界一のソーサラーなんだよね。剣とかで戦うのは苦手だけど魂操ったり精霊とか悪魔とか呼び出す事に関してはコータの右に出るものはいないから……。
リュータよりは頼れるわ。
不意に声を掛けられた。
「おい!君達、そんな格好で何をやっている!」
「え?俺達服も着てますし、怪しい行動もとってませ…………いや悪いのはコータとリュータです!魔法バンバンとばしてたのはコイツらでーす!俺は関係有りませーん!」
あくまでも俺は何もやっていない、俺は無罪だ、ということを必死にアピールする。時には仲間を売ることも大事だと思うんだよね。俺の辞書にはそう書いてある……。書いとく。うん。
「魔法?君は何を訳のわからんことをいっとる。漫画じゃあるまいし。それに君達はもうそろそろ大人だろ?いつまでも子供じゃないんだからちゃんと現実に向かい合いなさい!こんな息子の姿をお母さん、お父さんが見たらきっと悲しむだろうなぁ。」
このオッサンの方が訳のわからんことを言っているように聞こえるんだが。そう思い仲間を見る。俺に売られた事に気付いたコータとリュータは変な顔をしてこっちを見ているが、この事に関しては俺と同じことを考えているのだろう。皆一様に頷いてくれる。
「てかまず貴方だれです?あと親は俺が世界最強の勇者になったことを寧ろ誇りに思ってると思いますよ?」
俺は堂々と言った。
「私?私は警察だよ。こんなところで話すのもなんだから取り敢えず署まで来なさい。」
警察?そんな役職はじめて聞いたわ。世界って広いね。
「ちょっと待って、最後にひとつ、ここどこですか?」
一番聞きたかったかったことをコータが聞いてくれた。頼もしい限りである。
「また訳のわからんことを。日本!愛知県!分かったか?」
え…。もしかして日本って地球にある日本じゃないですよね?と聞き返すとここは地球だ!と言う回答。確か元の世界にたまに転生する異世界人って地球から来てたよな。
ってことは……
「俺達転移したってことぉおおおおお!!!!!」
一日目の話、まだ続くと思います……。なかなかまとまらないよー。