“最強”の消えた世界
元の世界の話です。少し短いです。
ハインは信じられなかった。
いつもそばにいたカズマ達が、世界最強のカズマ達が死んでしまうなんで思ってもみなかった。
ダンジョンの最下層のボスにだってあのメンバーだったら、戦えると思ってた。
普段からカズマ達のパーティーメンバーとして行動を共にしていく中で、ハインはカズマに淡い恋心を抱き始めていた。当のカズマはなんとも思っていないが。その恋心がカズマ達が死んでしまったということへの悲しみを大きくしていた。
途中からパーティーに参加し始めたハインは、当然勇者一行とのレベル差はあった。それもすごい差だった。
それが理由で今回のボス戦に連れて行ってもらえなかったとハインは思っていた。
しかし実際は違った。
単純にダンジョン最下層のボス戦には五人までのパーティーでしか挑めなかったからだった。
カズマ達は攻略に一ヶ月以上もかかるだろうと予測していた。
カズマ、ハルアキ、ユート、コータ、リュータは話し合った。
男五人はいいが、ハインはほかの女の子よりは男勝りだとしても、女の子であることは変わらないので、流石に一ヶ月以上も風呂に入れないのはきついんじゃないのかという結論に至った。
それが理由で男五人でいくことにした。
一ヶ月以上風呂に入れないと言われてハルアキがいやそうにしたのは多分気のせいだろう。とカズマは思っていた。
ただそれだけの理由だった。
知らせを聞いた次の日、ハインは自ら命を絶った。
この時の彼女は知らなかった。勇者一行は死んだのでは無く消えたと言うことを。