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俺の日常にファンタジーが突き刺さってきた その14

■□■□異世3日目■□■□


■シバ覚醒

・異世界3日目 10:15

--------------------------------------------------------------------


どうすんだよ。

ヤベ―よヤベ―よ。


とか思いながら歩いてると、早速襲われた。


ふぇぇぇぇぇぇ……。

エンカウントしちゃったよぉぉぉ……。


ちなみに今回もゴブリンな。

ザコ中のザコだ。尚、7匹も居る模様。


ちょっと多くね?(白目)


何なに何なの。どういうことなの。

今まではMAX3匹とかだったじゃん。急にどうした。


狼兄弟がいなくなった途端コレって、なんちゅう運命のイタズラだよ。


いくらザコでも、7匹はいかんだろ7匹は。


しかし、憤ったところで現状が変わる訳もなく。


7匹のゴブリンは、グギャグギャ叫びながらこちらに襲い掛かってくるのであった。わーい。


わーい。スゲェ迫力。わーい。

ゴブリンさんってばチョー好戦的。わーい。


迫りくるゴブリン。小汚い棍棒を振り上げたまま接近中。殺意がハンパねぇ。


下手したら死ぬだろコレ。わーい。


わーい。

最後にもう1回、わーい。


さて、現実逃避はこのくらいにして

そろそろ本気で慌ててみようと思う。


ど、ど、ど、どうすりゃいいんだよこの状況!


狼兄弟今すぐ戻って来い。

そして、いつもみたいに瞬殺してくれ。


今までは恐怖を感じる暇もなくバトルが終了してたから気付かんかったけど、モンスターってリアルに怖ぇぇぇ!


おかげさまで、さっきから心の中の絶叫が止まんねぇんですけどぉ!


ちょっと待てやコラァァァア!!!

コルァァァァァ!!!

アァァァァ!!!

アァァ……。


とてもじゃないが、俺とシバ達だけでどうにかなる状況じゃねぇ。


つー訳で、ここは逃げの一手だ。

お前達、しっかり着いて来るのですぞぉぉぉぉ!


きびすを返しながら、先頭に居たシバ丸に声をかけた。


「オイ!シバ丸ッ!」

「ワフッ!」


大変良いお返事。素晴らしい。

見事なダッシュ。大変素晴らしい。


だがしかし。


悲しいほどに、進行方向だけが逆だった。


シバ丸ゥゥゥゥゥ!

そっちはゴブリンさんが居る方角でしょうがぁぁぁぁぁ!!


思わずシバ丸に向かって手を伸ばす。

が、じぇんじぇん届かない。チクショー。


空しく伸ばしたその手の先で、シバ丸が大きくスコップを振りかぶる姿が見えた。


そして、振り下ろす。


だがしかし。

かすりもせずに空を切る。


届いてない。

じぇんじぇん届いてないじゃんシバ丸ゥ!


しかも全力で空振りしたから、バランス崩してるし。


そんなシバ丸をゴブリンさんがロックオンしちゃってるし。


アカン。

シバ丸がピンチや。こりゃあきまへんで。


「シバッ――」


思わずシバ丸の方へ駆け出す。

と、その瞬間『バンッ!』という破裂音が鳴った。


そして吹ッ飛ぶゴブリンさんその1


ん……?


なんぞ。

なにごとぞ。


目の前で起こった出来事が、全く理解できなかった。


予想外の展開に、しばし呆然としていると

今度はシバ吉がゴブリンにツッコんで行きおった。


ちょっ。だからそっちに行っちゃダメだつってんだろ!!

シバ吉ィィィ戻って来ぉぉぉぉい!!


しかし、そんな俺の必死の祈りも空しく

シバ吉もスコップを振りかぶるのであった。


尚、どう見てもスコップが届く距離ではない模様。


にも関わらず振り下ろす。

マジか。


当然、空振り。

だよなー!


と、スコップの先端から、青白いオーラ的なものが飛び出した。


……おぉぉ?


ボール状のそれは一直線にカッ飛んでいくと

バンッ!という音を立ててゴブリンへと衝突した。


……おおおッ!


吹き飛ぶゴブリン。

そのまま地面にブッ倒れる。


当たり所が悪かったのか、その後はピクリとも動かなくなった。


おぉぉぉぉぉッ!!!!


なるほどな。

そういうカラクリな。


おーけー。おーけー。

ようやく把握したわ。


何だよ。強くなってんじゃんシバファイブ!(歓喜)


心に余裕が戻ってきた瞬間だった。


遠距離攻撃ってスゴい。

一方的にボコれるとか最高すぎる。


”スコップの先端から発射される青白いボール状の衝撃波”マジッパねぇ!


ってか長げぇわ。

25文字とか流石にねぇわ。


そうだな……。


・スコップの先端から発射される青白いボール状の衝撃波

・スコップから発射される青白い衝撃波

・スコップから衝撃波

・スコップ衝撃波

・スコッ


おし、短くなった。

つー訳で、25文字の技名は【スコッ】で決定な。


そんじゃまぁ、サクッと残りのゴブリン共を血祭りに上げたろうゼィ!


もちろんシバファイブがな。


ご主人様は後ろの方で、お前たちの雄姿をバッチリ激写しまくってるから、存分にバトってくれよな!


[シバ丸写真:ゴブリン②にドゴォォ! (スコッ波))]

[シバ吉写真:グサッ・バチッ・バコンッ! (突く・叩く・払う)]

[ゴブ写真:ふらふら起き上がるゴブリン]

[シバ丸写真:すかさずシバ丸が追撃ドゴォォ! (スコッ波)]

[ゴブ写真:ゴブリン完全KO!(ざまぁwww)]


これが俺の生きる道。

何故なら俺は【けものつかい】


だから恥ずかしくなんてない。

断じて恥ずかしくなんてないんだぞ。






■よくきくおくすり (合法的な意味で)

・異世界3日目 10:25

--------------------------------------------------------------------


蓋を開けてみれば圧勝。

ゴブリン戦は至極あっさりと終了した。フフン。


工兵コンビの【スコッ】が活躍したのはもちろん。

途中参戦した、補給兵コンビの石投げもスゴかった。


要はカバンから取り出した石を思いっきりブン投げるだけなんだが、その速度がエゲツナイんだよ。


被弾したゴブリンから「ゴギャッ」とか「ドグァッ」みたいな音がしてたからな。

正直、ゴブリンに同情するレベルだった。


まぁ、おかげで楽勝だったぞ。


無事に戦闘が終了し、全てのゴブリンがしゅいーんと消え去るのを見届けると

シバ達がしっぽふりふりさせながら寄って来た。


どいつもこいつも目がキラッキラしている。

さしづめ


”ご主人様、オレ達だけでやっつけましたよ!”

”オレ達強くなったんです!”

”もう昨日までのオレ達じゃないんですよ!”


ってところだろうな。かわいい。


シバ達にとっては待ちに待った成果だ。

そら、テンションも高くなるわな。


俺を囲んで、もこもこ騒ぐシバファイブ。なごむ。


こりゃもう全力でねぎらってやるしかねぇだろ。


つー訳で。

俺の右隣でモコモコしてたシバ山の頭(耳と耳の中間あたり)を鷲掴んだ。


「ワフッ!」


一声鳴いて、ピタッと静止するシバ山。


うむ。最初のターゲットはお前だぞ。

さぁ、思う存分わしゃわしゃされるがいい。


しかしそんな俺の思惑とは違い、

目が合った途端、それはもう嬉しそうに薬箱を掲げて来た。


”あ!ご主人様もお薬飲みますか?戦闘の疲れが吹き飛びますよ!”


やめろ。その提案は俺に効く。


後ろで念写してただけやねん。

お薬が必要になるような活躍してへんねん。


しかし、そんな俺の想いが届く訳もなく。


”どれがいいかな!どれがいいかな!”


既にシバ山は薬箱をガサゴソし始めていた。

やめて。探さないで。


”これかな?いや、こっちの方がいいかな?”


しかも、一番イイやつを探してくれてるらしい。

やめて。厳選しないで。


「シバ山、別にオレ――」

「ワン!ワン!」


断ろうとしたら途中で遮られた。チクショー。


さしづめ

”も、もうちょっとですから!ホントにあとちょっとですから!”

ってとこだろうな。


どうやら催促されたと思ったらしい。

違う。そうじゃない。


しまいには地べたに座り込んで、両手で薬箱をガチャガチャし始めた。


あぁ……。

シバ山がチョーテンパってる……。


こりゃもう止めらんねぇわ。

だって、この状況で無理に止めようもんなら


”モタモタしてたから、呆れられた……”

”役に立てなかった……”


って、シバ山のメンタルがブレイクしちまうからな。

そんな悲しいイベントは断固阻止だろ。


あ、シバ達が集結し始めた。


”だいじょぶ?”

”てつだう?”

”がんばれー”


コイツらマジ仲良しさん。

困ってる仲間は無条件で助けちゃう系毛玉男子。圧倒的もふもふパワー。


そして、当然のように流れ作業が始まるのだった。


まずシバ吉が薬箱から薬を取り出し、シバ丸に手渡す。

シバ丸は受け取った薬をシバ山の目の前に掲げる。


それをジッと見つめるシバ山。

直後、首を左右にプルプルと振った。


”ダメ!それは不合格!”


どうやら俺に渡せる品質ではなかったらしい。


不合格になった薬は直ぐに取り下げられ、シバ助によって再び薬箱へと返される。


以下、このエンドレスループな。


ちなみに、シバ太は未チェックの薬とチェック済みの薬が混ざらないよう薬箱の整理を担当してるぞ。


まさに一丸となった協力体制。

合言葉は『ご主人様の為に!』ってとこだろうか。


シバ達の忠誠度がスゲェ。

MAX振り切るどころか、突き抜けてるレベルだろコレ。


お前ら俺の為に頑張り過ぎだ。


もっと手ぇ抜いていいんだぞ?

ってか抜いて。お願い。じゃないとご主人様チョーいたたまれないから。


でも頑張っちゃうんだよなぁ……。

シバ達ってそういうヤツら。俺知ってんだ。


そして運命の時が訪れた。


「ワフッ!」

とある薬を見た瞬間、シバ山が吠えた。


”それ!それが一番いいヤツだよ!”


正直、俺の目には不合格のポーションとの区別がサッパリつかねぇんだが。


でもプロのシバ山が”一番いいヤツ”と断言してるんだ。間違いなく一番いいヤツなんだろう。


よくやったなシバ山。

スゴいぞシバ山。


そして、いよいよ献上の時が訪れた。


「ワンッ!」


シバ山がひと吠えすると、

他4人が向かい合わせに集合し、お互いの腕 (前足か?)を組んだ。


で、組んだ腕の上にシバ山が飛び乗る。

……神輿みこしかな?(白目)


シバ神輿は、そのままトコトコと俺の方へ歩いて来た。


そうして土台と俺の足がくっ付く距離まで近寄ると、

おもむろに神輿の上に乗ったシバ山が”一番いいポーション”を差し出して来た。


高さはジャスト俺の目線。


なるほどな。

俺の高さに合わせるための神輿だったんだな。


以下、シバ達の反応な。


”ご主人様!ようやく見つかりました!”

”シバ山が見つけたんですよ!”

”シバ山のポーション、スゴく効きますよ!”

”シバ山スゴいんですよ!”

”シバ山がんばったんですよ!”


うん。

こんなもん断れる訳ねーじゃん。


重ねて言う。

断れる訳ねーじゃん。


「あ、ありがとうな」


献上された薬は、ほのかにミントが香るお上品なお味だった。


愛されてるよなぁ……俺。



PS.


ミント味のお薬を飲んだ瞬間、腕のプルプルがピタァっと止まった。

ダルかった疲労感が吹っ飛んで、腕力も完全復活だ。


シバ山のポーションってスゲェ。

正真正銘マジモンの回復薬じゃねぇかコレ。スゲェ。


もちろん、元気になった腕をフルに使って

シバ達を思う存分わしゃわしゃしまくったのは言う間でもない。





■アクティベーション。そういうのもあるのか (真顔)

・異世界3日目 11:00

--------------------------------------------------------------------


ようやく目的地のイノシシ公園へと到着した。


狼兄弟が居るといいなー。


そんな事を考えながら公園へ足を踏み入れると、

早速、ドヤ顔でお座りしてるウィリアムを発見した。


お、居るじゃん。


ひらひら手を振ると、しっぽバサバサさせて応えてくれるウィリアムたんマジ可愛い。


と、そこでようやく

ウィリアムの隣にそびえ立つ小山の存在に気が付いた。


何気なくそちらに視線をやると、その小山がブロック肉を積み上げて作られたものであることが分かった。


つまりオンリーミート。


うひゃ。

極めてリアルに、背筋がブルッた。


な、な、な、何だこりゃ……。


何とか心を落ち着け、改めて見上げてみる。


肉だ。

どう見たってそれ以外に見えない。


そう。肉だ。

おびただしい量の肉。それがただただ積み上がっている。


ザックリとした目算だが、昨日出合ったイノシシで換算するなら推定100匹以上の肉が堆積していると思われる。


つー事はだ。

コイツら、この数十分で100匹以上のイノシシを狩ったってことか?


いやいやいや!流石にそれは無いだろ。

いくら狼兄弟が強いって言っても、流石にこの成果はない。


となるとだ。もしかしたら最初から積んであったんじゃね?

きっとそうだ。そうに違いないんだぜ!


あ、小山 (肉)の陰からエドガーたんが顔出した。


そうして、俺を見つけるや否やハイテンションで「ガウガウッ!」と吠えた。


どうしても俺に伝えたい事があったらしい。

要約するとだな。


”兄ちゃんと一緒に、いっぱい獲ったよ!”


あ、そうなんですね。

やっぱ君らの成果だったんですね。


ご主人様チョービックリだわ。

ビックリしすぎて、若干現実を受け止め損ねてるわ。


で、でも、何はともあれ

頑張った2人を褒めてやんねぇとな。


「え、エライぞー。エドガー!」

「ガウガウッ!」


何とか声を絞り出してエドガーを褒めると、それまでドヤ顔で座ってたウィリアムが、お耳をピーンッ!と尖らせて立ち上がった。


あー、はいはい。

お前も褒めて欲しいんだな。


「もちろんウィリアムもだぞ。よく頑張ってくれたな」

「ガウガウッ!」


ハハハ。元気いっぱいだなお前たち。


そら、こんだけの元気があれば

イノシシの100や200、鼻歌まじりでブチころがせるかもな。ハハハ……。


……………………。


と、ところで、念のためにもう1回だけ確認させてほしいんだが。

ホントのホントに、これ全部お前たち2匹でやっつけたの……?


”頑張った!”

”オレも頑張った!”


そ、そうか。

やっぱ、聞き間違いじゃなかったんだな。


いや何でもない。

エライぞお前たち……ハハハッ。


結論。2日連続で公園は修羅の国だった。


どうしよう。

衝撃的な展開過ぎて、一向に頭が働く気配がねぇ。


どうすんだよこの小山。

多属性に全て押し付けるか?流石に全部は無理か?


ってか、押し付けるにしても、いったん俺ん家に運ばんとダメじゃね?

だって、このまま野ざらしにはできねぇだろ。


でも家に運んだら家中が冷凍庫になる可能性大だ。


あのBBAはやる。

何の断りも入れずに、しれーっと冷気をブッ放すに決まってる。


どうすんだよ。

ホントどうすりゃいいんだよこの状況。


正直プチパニックだった。


だっつーのに、まるで追い打ちでもかけるかの如く、

例のファンファーレが頭の中で高らかに鳴り響くのであった。


ちゃちゃらちゃっちゃっちゃっちゃーん。


このタイミングでまさかのレベルアップ。

なぜ今だ。どういうことだ。世の中って無情だ。


荘厳なファンファーレが終わると、

当然の如く例の音声が後に続いた。


”これまでの歩数が既定数を越えましたので、たびびとのJOBLvが1に上がりました”


JOBLv……だと?

このタイミングでの、新情報開示やめーや。


”たびびとのJOBをアクティベーションします”


ア、アクティベーション……だとぅ?

このタイミングでの、新情報開示やめーや(2回目)


”アクティベーションに伴い、JOB特性『旅歩き』が解放されます”


ジョ、ジョ、JOB特性……だとぅぅ……?

このタイミングで、新情報開示ホンットやめーや!(3回目)


尚、この直後。

”たびびと”に関する情報が、頭の中にドバァっと雪崩れ込んでくるのであった。


そして俺は考えるのを止めた。


もう、知らん。

どうにでもなーれ (ヤケクソ)


もうちょいペース上げれるよう頑張ります。

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