お金持ちのデザートに付いて考えてみた
時々無性に砂場で遊びたくなる。お金持ちは家の中にプライベートの砂場があるのかな。デザートとか呼んで調子に乗ってそう。羨ましいな。
モグラを九匹くらい飼ってモグラ叩きしたい。お金持ちは大抵鼻が尖っているから、多分モグラと見間違えるだろうな。二人で遊ぶ時は危険、相手の鼻を殴ってしまうかもしれないから。デザートに咲く真っ赤な花。損害賠償だって言われても大丈夫、どっちもどうせお金持ちだから。
砂場の砂は勿論高級な砂粒で、一粒辺り数百円くらいする。ちょっと高い苺と同じくらい。食べても味はしないけど勿論体に害はない。特徴的なのはその色で、昼間は白っぽいけれど月明かりに照らされるとキラキラと星のように輝く。どうして家の中に月があるかって、それはお金持ちの家だからあって当然だ。
奴らは貧乏人には手に入らない物を持っている。例えば穴を掘るシャベルは鋭く、適度な重量感があって良く手に馴染む。それもそのはずで、山奥の名工が三年かけて作っているから一般のそれとは訳が違う。勿論、山へはヘリコプターで行く。専用の着陸場だってある。木を切ってコンクリートで塗り固めて、緑色した絶景を宇宙人の秘密基地みたいに変えてしまった。
奴らはやると言えば何だってやるから質が悪い。ついに宇宙人を捕まえるため宇宙へ目を向けた。民間の技師を集められるだけ掻き集めて、民間の宇宙飛行士を雇ってロケットを発射させた。自分たちは砂場で横になりながらそれをテレビで眺めてるんだ。
「何という事でしょう、宇宙人です。我々の目の前で本物の宇宙人が手を振っています!!!!」
それを見て、俺は茫然とした。やっぱりお金持ちは凄い。奴らは何だって出来るスーパーヒーローだ。衝動に突き動かされるように俺は手を洗った。それから上等なスーツに着替えて隣の家のお金持ちに挨拶に行った。
「やあ、フランクさん。凄いですね!! テレビ見ましたよ。感動しました!!!!」
「おお、隣の貧乏人じゃないか。わざわざ訪ねに来てくれたのか、ありがとうよ!!!!」
嬉しそうに俺の背中をバンバンと叩くフランクさん。握手して記念写真まで取らせてくれた。さすがお金持ちは違う、大統領とだって知り合いなのに俺みたいなのとこうして仲良くしてくれるんだから。
「今度一緒に釣りに行こう。宇宙人も誘ってさ。近くにでかい池を買ったんだ」
「そりゃいいですね。HAHAHA!!!!」
俺たちの笑い声は宇宙まで届いた。モグラも民間のパイロットも嬉しそう。待ってろよ魚共、週末はお前らをバーベキューだ――。