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第二話:いれかわりチケット
今回の舞台はコンビニ!
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相変わらず、僕といえば、バイト兼絵師という、実に趣味らしい趣味をもったフリーター生活を送っているわけなのだが、近頃、そのバイトなるもので、僅かながらのいざこざが起きている。
色恋沙汰――であれば、まだ良かっただろう。
そうであれば、結果的に、探偵なんて呼ぶことなどなかったかもしれない――とは言ったものの、よくよく考えると、探偵の本分と言えば、浮気調査でもあるような気がしないな……まあ、なんにせよ。
なんにせよ、探偵を呼ばないに越したことはなかったのだが、それは探偵に頼らざるを得なくなったという事だ。
「分かりました。それでは、急遽、解決すべき事件ではないように思うので、明日に窺うという事でよろしいでしょうか?」
とりあえず頷いて(電話越しで頷くというのも、とても滑稽な話だ)、明日になるのを待つことになった。無論今回は、ちゃんと店長の方にも探偵を呼ぶ許可は得ているので、前回ほど、記館さんが邪魔されることはないだろう。
「あくまで前回ほど……だけどね」
犯人はいつだって邪魔をする。
僕は既に切れた電話を耳にあてたまま、そんなことを言った。
残念ながら、今回の事件で、記館さんの能力――絶対記憶――が役に立つかどうかと言えば、微妙なところではある。
けれど、記館さんのいいところは、やはり依頼金の低さにある。前回こそ、記館さんの冗談(と、僕は思っている)で、五百万も要求されたものの、次はそれほどまではいかないはずだ。
それも――前回ほど、というわけか。
前回といえば。
金額といえば。
あの最強の万屋、万丈目得々。
実は最近、彼を雇うほどの事件に出逢ってしまったわけで、それは天心先生からいただいた臨時収入により、雇うことは叶ったわけなのだが、そのせいで僕の懐は、すっからかんになってしまったのだ。
情けないことに、だからこそ記館さんを呼ぶしかなかったというのも、あるにはある……。
そんなことを、記館さんには勿論、言えないわけだが。
「とはいえ、どうしたものかな……」
いくら安いとは言っても、すっからかんからさらに減らそうというのだから、正直勘弁してほしいところだ。
泣き言が多く続いてしまって申し訳ない限りだが、そろそろ、本題にも入ろうと思う。
本題も本題。
探偵が出るというのだ。
事件という本題。
その全容というか、
その前容を。
僕の雇わせてもらっている、何処にでもある普通で、一般的なコンビニで起きた、異常で、特異的な事件の始まりから――