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#2 「楽しそう」

 書くのって難しい。背中も痒い。


 クラスの第一印象は「楽しそう」だった。

 程よく混沌としたクラスでこれからを過ごすと思うと、楽しみで胸が弾むようだ。


 柳先生に言われるままに自分の席に移動すると、前に黄色い髪のちゃらけた彼、横に気まずい空気になってしまった彼女がいた。…緊張していたとはいえ、もう少し会話を繋げるべきだっただろうか?


 しかし過ぎた事、どうしようも無いしこれからの関わり合いに期待って所が一番だろう。


「よぅよぅ、弥生クン。席が近いんだ仲良くしようぜ。キキッ」


軽薄そうな笑みを張り付け、振り向いて話しかけてきた黄色い髪の彼。しかしどこか親しみ安そうな印象を受ける。


 僕は新たな環境に不安を持っていたけれど、彼がいれば取っ掛かり安そうかな?

 とそう思った。早い内に彼とは是非とも仲良くしておきたい。


「うん、是非とも。よろしくね、えーと」


「ああ、自己紹介してなかったっけか。俺ン名前は釘目鋼(くぎめこう)だぜ。好きに呼びな、これからよろしくゥ」


 僕は彼の事を釘目君と呼ぶことにした。握手を求めるかの様に右手を伸ばして来たので、僕も握手をと右手を伸ばすと、


「仲が良いのは大歓迎だが今はホームルーム中だ。話は後にして、今は私の話をちゃんと聞いておけよ?」


 と柳先生の注意が飛んできた。釘目君は軽い感じで平謝りすると前へ向き直ったので、僕も軽く謝った後に前を向いた。

 先生は少しこちらを見たら、話を再開させた。周りに迷惑を掛けたようで、僕は少し申し訳ない気持ちでいっぱいになった。…今度は真面目に聞いておこう。


 その横で桃色の髪の彼女が話しかけるタイミングを失って、しょぼんとしている事を僕は気付けていなかった。


▼▼▼


「まあそう言う訳で内のクラスにメンバーが増えたが、ハブにしたりせずに仲良くするように。じゃホームルーム終了!一時間目は集会だがお前ら遅れるなよ!」


 そう柳先生は大きな声で締めくくりクラスから出ていくと、決壊したダムの水の様にクラスの皆に囲まれ、質問責めを受けた。

 答え辛い質問もあったが、おおよその質問には答えられたつもりだ。授業と授業の合間の五分だったが僕はとても長く感じた。

 その五分が終われば皆は少し急ぐようにして移動を始めていた。柳先生が言ったように、集会だからだろう。僕はそのあとを急いで追って行った。


 そして桃色の髪の彼女はまた話しかけるタイミングを逃して、人混みに掻き回されるだけに終わっていた。

 その目は少し光っていた。

不憫な桃髪。

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