#1 「初めまして」
拙い文章ですが。悪い所があったら言ってください。頑張って治します。
また登場人物の名前は話に出てくるまで名前で呼びません。
ガヤガヤとした喧騒。一つのクラスにつき五十人の生徒達が騒げば、日曜のデパートがごとき賑わいを見せる。刺激に飢えた異能力者達は編入生に思いをはせていた。
そんなクラスに入るスラッとした体型の女教師が入ってきて、教卓を強く叩き皆の注意を引くと。
「おーし、お前ら。皆揃ってるよな?遅刻してる奴がいたら挙手して教えろよ?
まあお預けするのもなんだし、お前らも楽しみにしてるんだろ」
ニヒヒとした擬音が似合いそうな笑みを浮かべ生徒達を見回す女教師、凛とした佇まいを崩す子供のような笑みはクラスにとって早速馴染み深いモノとなっていた。
そんな女教師に定番といっても過言では無い質問をぶつける男子生徒がやはりいた。
「先生!編入生は可愛い娘ですか!?」
にやけた締まりの無い顔で身を乗り出してまで興味を示したが、そんな希望を女教師が打ち砕いた。
「残念だったな野郎諸君!編入生は立派な男の子だ、女の子達は期待してな!」
席から崩れ落ちた男子生徒をイタズラの成功した子供のような笑みで見た後、ドアに目線をやって皆の好奇心を煽り始めた。
「さあ入って頂こう。新たなクラスのメンバーだ!」
ガラリと音を立てて入って来たのは、女教師が言った通り男の子だった。
白い髪と白い肌、標準体型よりは細めだがひ弱そうには見えない体、無気力そうに開かれた眼は青く、穏やかな海のような印象を周りに与えた。
彼は女教師に自己紹介をするように言われると、背筋を少し正して口を開いた。
「初めまして。弥生三葉といいます。少し変な名前ですが気にしないで下さい」
話ながら黒板に名前を書き、一礼すると周りを見回した。一瞬変な空気が流れたものの、女教師がフォローを入れて質問をするように生徒に指示を出した。
質問をする事になったのは、桃色と藍色と黄色の髪の三人がする事になった。
桃色の髪の子は肩甲骨程まで伸ばした背の低めな女の子。
藍色の髪の子は桃色の子と違い背丈が高く、知的でクールな印象の男の子。
黄色の髪の子はその中間位の背丈で、どこかちゃらけた印象の男の子。そんな三人だった。
「えと、あの、趣味は何ですか?読書とかしますか?」
「趣味はありませんが読書は好きです」
すぐに会話が途切れ、桃色の髪の子が気まずくなった瞬間藍色の髪の子が次の質問を飛ばした。
「得意な事、苦手な事は何だ?教えてくれ」
「勉強はかなり自信がありますが、異能は自身がありません。もしもの時は頼らせて貰います」
「ふむ、良いだろう。此方こそもしもの時は頼らせて貰う事にしよう。よろしく弥生君」
簡潔にだが気まずくならない完璧な受け答えで返した藍色の髪の子に続き、黄色の髪の子が話し始めた。
「弥生クンは好きな人が居るかい?それとももう付き合ってる人が居るかい?」
「付き合ってる人は居ません。ただ姉の事を尊敬して慕っています」
「お?弥生クンってばシスコン?お姉さんに会ってみたいねぇ」
キキッと笑って話を終えると席に座った。印象通りちゃらけた人物と少し会話しただけで分かった。
そして終わった所で女教師が前に出てきて話の主導権を取り、話し始めた。
「よし、自己紹介も質問も終わったみたいだな。じゃ弥生にも席に座って貰おう。空いてる席は~っと、よし廊下側の一番後ろが空いてるそこに座っとけ。それと私は柳薫子ってんだ困った事があったら私に相談しに来るが良い」
そう言うと女教師――柳先生――はニヒヒと笑った。