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文具戦争  作者: 文音マルタ
第二章:先輩と協会と
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ヒロシ

「定子」の話は続く。

「その伝説は協会が所有している石板に刻まれているんだけど、日本語とか英語じゃなかったのよね。」

藍も真剣に聴いている。

「古代のナントカ文明の文字だったの。だから最初は誰にも解読できなくて、ただただ、古代文字が刻まれた貴重なものだって事くらいしか協会のメンバーには分からなかったの。」

そこで僕には少し疑問が湧いてきた。

「それはいつ頃の話なんですか?」

それに対して「定子」は表情を少しも変えず

「今から二十年近く前よ。」

と言った。

「それじゃあ──」

「そう、私たちはまだ生まれてすらいないわ。ちなみに私が協会に入ったのは五年くらい前よ。」

藍は今出てきた数字だけでも頭がこんがらがっている、という感じだ。

「そしてさっきの続きだけど、三年くらい前にそれを解読できる人が協会に入ったの。その人の名前は『ヒロシ』。日系三世のアメリカ人よ。」

なるほど。

「だけど彼は能力者ではなかった。だから入ったというよりは協力者になったと言った方が近いかしら。」

藍は聴くのを半ば諦めた様子で校長室から見えている運動場の方を見ていた。

「そして解読された内容の中に、『ダイヤモンドの能力者が現れ、協会に勝利を齎すだろう。』という文が在った。だけど、ダイヤモンドって文具じゃないじゃない?それで、この文章は何か別の物をさしているに違いない、と。」

だから、探していたということなのだろう。

「その情報は二大勢力のもう片方にも漏れたのよね。おかげであっちも躍起になって探してるわ。だから」

そう言いながら女史は藍に指を突きつけ、突きつけられた当人はびっくりして女史の方に向き直った。

「貴女はその『ダイヤモンドの能力者』の可能性がある以上、『文具協会』の管理下で大人しくしていて欲しいの。」

「は、はい!!大人しくします!!」

女史は藍の仕草に微笑して

「ふふ、助かるわ。じゃあ────」

そこで一度切る。女史がこうする時は何か大事なことを言おうとしている時だ。

「とりあえずアメリカに飛んで頂戴。」

・・・。

「は?」

外でカラスのなく声が静かな校長室に響いていた。


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