発覚
大男は去って行った。定規の少女も黙って帰って行くのを見ていた。そして大男が学校の敷地から出た時に、目は去り行く大男に向けたまま、僕と藍に向かって言った。
「単刀直入に言う。貴方達、能力者でしょう。」
「・・・なんの話でしょうか?」
僕は聞き返した。
だから、と少女はため息混じりに言って
「文房具の『チカラ』に覚えは無いかしら?」
僕達は驚いた。
文房具のチカラ。多分僕のシャープペンシルのチカラの事だろう。そしてきっと、先程少女のつかっていた定規も、僕のシャープペンシルと同じく、「能力」の産物なのだ。
少女は僕に指を突きつけて言った。
「貴方かしら?ダイヤモンドの能力者は」
「へ?」
違う。そんなもの使えない。僕が使えるのはシャープペンシルだけだ。
「じゃあ」
少女は指をすーっとスライドさせて藍に突きつける。
「貴女。」
そこで僕は気がついた。
さっき「能力者でしょう」と言われた時、『僕達』は驚いたのだ。
藍が今、青い顔で震えているのがその証拠だ。
「で、でも、その、ダイヤモンドなんて使えたのは今日が初めてで、その・・・。」
それはつまり、肯定という事。
変な能力を持っていたのは、僕だけじゃなくて。
同類は、いつだってすぐそばに居たんだ。
昔から。