Ending────for dear heart─────after the war
そこには多くの人が集まっていて、楽しそうにお喋りをしたり、早くもグラスを空けて陽気に笑ったりしている。
僕はソワソワと落ち着かないでエントランスホールに立っていた。
「誰をそんなに探しているのかしら?」
隣に立っている「君」が僕に笑いかける。
「い、いや、別に」
「そう。じゃあもう少しビシッと立っててよ。みっともないでしょ?」
そう言って「君」はクスッと笑った。
そのとき入り口の自動ドアが開き、ぞろぞろと数名が入ってきた。
「あっ」
思わず変な声が漏れ、「君」は僕を横目で睨む。
かと思うと明るい笑顔で
「おーい、こっちこっち」
と叫んだ。
先頭を歩いていた男はニヤニヤ顔をその黒い帽子で隠しながら近づいてきた。
「よ、よう、アレックス・・・っ」
うわ、また変な声になっちゃった!情けない。
アレックスは僕の目の前にきて、帽子を取りお辞儀をしてからにかっと笑って見せた。そう、初めて出会ったあの時のように。
「おめでとう、2人とも」
「あ、ありがとう」
そのときアレックスの肩ごしにひょこっと顔を出して
「おめでとう。羨ましいぜ」
と言ったのは白髪の男。旧文具同盟のリーダーだった男だ。今この人とこうやって話をできるなんて、10年前じゃ想像もつかなかった。
そしてその2人の更に後ろには一組の男女。
「あ、ナズナ、シュナイダー!2人の式以来だね。お子さんは元気かな」
「ああ、おかげさまでね」
にっこりと笑うシュナイダー。そしてその横で僕にウインクをしているナズナ。この2人は10年経っても変わらない。
「私もいるよ」
そう言って一番後ろから現れたのは1人の女性だった。
「──────久しぶり」
そう、これでいい。10年経った僕らの関係。
「・・・久しぶり。そして────」
あの日々はいまでも大切な思い出。僕はこの人たちに出会っていなければ、一体どうなっていたのだろうかと思う。だけどそんなのはただの仮定だ。ある意味僕らの出会いは必然だったと今なら思える。僕らは今こうして、国を超えて、過去を超えて、また、時空を超えてここにいるんだ。そう、これは────
「────おめでとう」
───僕が君のために紡ぐEndingなんだ。
Fin.
こんにちは、この小説を書いてきました、文音です。
いきなりの最後に驚いた方も少なくないでしょう。
活動報告に書いてあるとおり様々な事情と都合により連載ができなくなってしまいました。
なので一度ここで終わりにします。
しかし、これまた活動報告の通りですが、
いつか「文具戦争ー改訂版ー」を執筆します。
一から書き直し、この走り書きのような文章を全面改訂いたします。
多分1年半くらい後です。
まだ書ききれなかった裏設定や未回収の伏線などを次こそ書き切るつもりですので、そのとき、お暇があれば、どうぞお付き合い下さいませ。
今まで応援ありがとうございました。




