戦闘
キィン、と時代劇のような金属音を立てて二人は間合いを取った。
「『定規』のチカラか・・・勝った!」
そういうと大男はハサミの刃を開き、定規の少女に斬りかかるが、ひゅん、とジャンプで華麗に交わされる。そして少女は大男の後ろに着地した。
「一般人には手を出さないという決まりだったはずだが。」
「んなモン、あってないようなもんだろが!!」
大男の乱暴に振り回したハサミに少女の定規が弾きとばされた。
「しまった!」
大男は続けざまにハサミを少女に叩きつけた。
「くはっ!!」
少女が僕たちのほうに飛んできたのを僕は慌てて受け止める。
「・・・これでとどめだァ!!」
藍、僕、定規の少女の三人はハサミでズタズタにされると思った。
目を瞑る瞬間、僕らをかばうように、「何か」がハサミを受け止めたのを見た。数秒が経つ。何人かの人間の呼吸が聞こえる。僕、藍、そして大男と少女だ。
目を瞑っていてもとても眩しいものが目の前にあるのが分かった。ゆっくりと目を開ける。すると、そこにあったのは、太陽の光を色んな方向に反射し、ハサミを受け止めても傷の一つもついていない透明の巨大結晶だった。
「・・・ッ!!」
少女は大変驚いた様子でそれを見つめていた。かと思うとすぐに立ち上がり、定規を何処からか取り出し、驚いて動けない大男の喉元に定規の先端を突きつけた。
「今日のところは帰りなさい。こちらにはダイヤモンドの能力者がいる。よって」
そこで一度切ってから言い切った。
「貴方に勝ち目は無い!」