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文具戦争  作者: 文音マルタ
第三章:プレパレーション
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ダブルエー

「・・・どうしたの?」

藍が定子を見ながらキョトンとする。

「ど、どうって、べ、別に!!」

そう言って定子はそっぽを向いた。

・・・ますます気になるじゃねぇか。

そこで僕が何気なく会長へ視線を送ると彼女がウインクした。

「ただの幼馴染だよな?」

「!!」

定子はすごい形相で暴露した会長を睨めつけた。

「・・・なんであの2人なんです!?他にもいたでしょうに!」

「だってあいつら仕事やってもすぐ終わらせちまうし、簡単な仕事になるとやらないんだもん。だから暇だろーなーと思って試しに声かけて見たら嬉々として受け入れてくれたのよ」

まだ会長はニヤけている。

定子は半ば諦めた様子で頭を抱え

「・・・ああ、そりゃそうでしょうね。あいつらにとって私は退屈を紛らわすためのおもちゃですもんねぇ・・・」と言ったあと部屋の隅へ行って体育座りしたまま顔を伏せて黙り込んでしまった。

「おおっと、忘れるところだった」

と声を出したのはナズナだ。

「君達にはこれも渡さなくちゃね。」

そう言ってナズナが手のひらを上に向けた状態で前に突き出した。

「今、"ルール"に従い、我が力を具現化せん・・・『クロロ』『サファイア』!!」

ナズナが叫んだ途端、突如として彼女の足元から緑色の光の輪が現れ、さらにそこから湧き出てくるようにでてきたのは

「────ペンギン?」

僕の目の前に2つ現れた全長30センチくらいのそれを、簡単に言い表すと、そうなる。

「ペンギンじゃねぇ!俺はクロロだ!!」

左の黒いペンギンはピョンピョンと跳ねながら怒る。

右の青いペンギンは

「どうも、サファイアです~」

とご丁寧にお辞儀付きの自己紹介だ。

「ど、どういうことだ?」

「そういうことね」

いつの間にか復活した定子は校長の机の上に仁王立ちしたまま僕らを見下ろしてため息をつく。

「それも私とナズナと他数名による合作よ。大事になさい。・・・まぁ、ナビゲーションとも言えるし、簡単な通信機とも呼べるわね。ペットでもいいわ。・・・まぁ、それはまだみんなには配ってないんだけど、今日中には届けるつもりよ。」

いや、そんな説明だけされても分かるかよ。取説くれ、取説。

僕がそう言おうと口を開きかけたとき黒いペンギンが頭から僕の腹部へと突っ込んできた。

「よろしく相棒ぅおぉ!」

あ、暑苦しい!!できればその青いのとチェンジで。

と思ったが時すでに遅し。

藍はかがんで、足元によってきた小さな青いペンギンをなでなでしていたかと思うと─────か、肩に乗せた────っ!

それを黒い方はじっと眺め、

「俺も乗せろ───!!」

と、僕の肩を破壊する勢いでその鋭い嘴から僕の肩めがけて跳躍した。

僕がかろうじて避けると、それはそのまままっすぐ飛んでいき、トロフィーやらなんやらが飾ってある棚へ突っ込んだ。

そして、いろいろな物の割れる音。

「うへぁ・・・こ、殺す気か・・・!!」

僕は腰を抜かしてその場に座り込んだ。

すると大惨事の棚の中でクルリとこちらを振り向いた黒いヤツは

「コロスキなり!!」

とドヤ顔。

いや、上手くねぇよ。お前は南極住みっぽいから慣れてるかもしれねぇけど、こっちはその寒さに慣れてねぇよ!

チラリと藍を見る。

楽しそうにサファイアと会話している。


─────今からでもチェンジでお願いします。

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