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文具戦争  作者: 文音マルタ
第三章:プレパレーション
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放課後に

放課後、僕は藍とともに校長室へ向かった。



コンコン。

今回もノックは忘れない。

ところが中から返事がない。

コンコンコン。

もう一度ノックしたがやはり応答なし。

「・・・?」

僕と藍は顔を見合わせる。

藍はすっとドアに寄ってピタリと耳をドアに押しつけた。

「・・・なんか、話してる」

「・・・なんて?そのまま言ってみろ」

もちろん、僕も藍もヒソヒソ声である。

藍は目を閉じてから僕に言われたとおりに中の言葉を拾い始めた。

「えっと、誰か男の人みたいだけど・・・『ふむ、なるほど。よーく分かった。・・・昼休みにそちらのものを問いただしてみたのだが、やたら警戒されてなにも分からなかったから、教えてもらえて助かった』・・・」

藍の棒読み再生の内容に少し引っかかる部分があった。

(昼休みに問いただした・・・?まさか・・・!!)

「あ、ここからは定子さん・・・『あはは、あいつ、ビビリだからな、迷惑かけた。すまんすまん』・・・」

「藍、もういい。」

僕は続けようとした藍を遮った。

今の会話を聴いて、僕たちが入って行っても問題ないと確信してドアノブを持つ。

藍が驚いて何か言いたそうな表情をしたが、僕が一つ頷くと落ち着いたようで、頷き返してきた。

ガチャッと勢いよくドアを開けながら

「誰かビビリだと?定子さんよ!・・・それから・・・委員長」

と言った。

そう。昼休みに問いただした、と言っていたところで気づいた。

そして僕の思ったとおり、校長室の中には、校長の机に足を組んでどっかりと座っている定子とこちらに背を向けて定子と正対するように座っている委員長、そして定子の隣に立っているのはナズナだった。

委員長は少しビクッとしてこちらを振り向いたように見えたがすぐにいつもの余裕の表情を取り戻し

「やぁ、ビビリくん」

と返してきたのだから上等だ。

それを僕はスルーした。

「定子、説明を頼む。」

「ええ、分かったわ。

・・・こちらが、蛍光戦隊カラペンジャー、『ピンクの団』隊長、あなたも知ってる浅野(アサノ)矢代(ヤシロ)くんよ。」

「えっ!!?」

委員長が・・・カラペンジャー!?

「今まで黙っててすまなかったな。ちなみにウチの組織のモットーは『愛と勇気+正義だけが友達』だから、決して裏切りはしない。任せておけ」

と委員長はドヤ顔で説明を入れてくる。

「どっかの幼児向けヒーローのやつをパクってません?」

「なんの話だ。こちらの設立の方が先のはずだぞ」

と窓際の方に目を逸らしながらいう。

僕の目を見て言ってみろよ、コラ。

「では紹介はこの辺にして、早速作戦の説明に行っていいかしら?」

個人的には聞きたい事もいっぱいあったし、もう少しリアクションさせて欲しいとも思ったが、まぁいいか。

藍と僕は定子に頷いた。

「実はカラペンジャーは、予言書を既に一つ手に入れているわ。」

予言書、と言われて分からなかったがすぐに思い出した。

「ええっ!?すごいじゃないですか!!」

確か以前の説明では12の月全てに対応した予言書が存在するということだった。それを奪い合うために戦争になったのだけれど、もう既に血も流さずに一冊手に入れたというのだ。

「そうだ。素晴らしいだろう!この私を褒めろ、讃えろ!!」

「ちなみに手に入れたのは『赤の団』だそうよ」

委員長の今世紀最高のドヤ顔は定子の言葉で固まる。

「お前らじゃねえじゃん!」

と、委員長に突っ込ませてもらった。

これくらい当然だよな。

「でも、見つけたのは我ら『ピンクの団』だし!・・・多分」

と言いながら再び目を逸らす。

委員長のキャラが崩壊しているのが可笑しくて、僕と藍はくすくすと笑ってしまった。




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