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茶番ばんばん
「面倒だから転校してきてもらったわ」
あっさりと定子は言った。
「えっ!?でも家族とか」
「ちょっ!!」
定子が突然声のボリュームを落とし、悲しげな表情になる。
「・・・もう、居ないそうよ」
「なっ!」
僕は創に向き直る。
「ごめんなさい」
「?なにが??」
傷ついてないのなら忘れてくれた方がお互いにいい。
「いや・・・なんにも」
「いや、実はさ、たまたま親の仕事の関係でこっちにくることになったから、この高校を選んだんだよ。」
「あ、なるほど、そっか・・・。ん?親の仕事??」
「・・・うん。そうだよ?」
定子を睨みつけたが本人はわざとらしく目を逸らした。




