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証言
「例えばお前のように消える能力を持っていたとしても、『虫眼鏡』のようなサーチ型の能力の前では意味をなさない」
「・・・。」
男は黙って話を聞いている。
「そろそろ名乗ったらどうだ?」
ノモスがコツコツと足を鳴らす。
会長はノモスの肩に手を置き
「まぁそう焦るな。聞き出すチャンスはいくらでもあるんだ。・・・もっとも、あっちがこれに気づいて取り返しに来たりしなければ、の事だけど。」
そう言って会長は部屋を出ようとしたそのとき男が口を開いた。
「俺は『イレイザー』。・・・これでもマージンは突破している。」
「ほぅ・・・」
会長は部屋の出口の手前で肩越しに男を振り返った。
「ここへの潜入は二度目だ。と言っても以前来たときは神威と一緒だったが。」
「カムイ・・・?・・・もしかして・・・」
言いかけた会長を遮るように
「あの白髪野郎か!!」
と、ノモスが飛びかかりそうな勢いで聞く。
「そうさ。そっちの『ルーラー』の定規を消したり神威の姿を消したのも俺の仕業」
「なるほど・・・」
定子は顎に手を当てて納得した様子だった。




