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文具戦争  作者: 文音マルタ
第一章:始まりの予感
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君。

春だというのに、もう暑い。

僕は教室で理科の講師の自己紹介を聞き流しながら指先でシャープペンをくるくる回し、扇風機のようにして涼んでいた。僕が自分なりに研究したことによると、自分に所有権のあるシャープペンと自分が出したシャープペンは浮かして動かす事ができる。複数本を同時に動かす事もできるが、距離が自分から離れれば離れるほどに浮かせられる数は減っていき、20m以上先のシャープペンは浮かせる事ができない。また、シャープペンを出現させるのも手のひらの上だけでなく、遠くで出せる事も発見した。だがそれもやはり20m以上離れると1本も出せない。

この僕の能力は充分に凄い能力だが、他のものも浮かせられたらと思ってしまう。出せるものが勇者の剣だったら、などとファンタジーな妄想に浸る事もしばしばである。


僕には幼馴染がいる。(あい)藍という名前だ。顔は可愛い方に属すると思うが気が弱く、地味そうにしているので友達もいない。だから学校では僕以外と話しているのを見た事がない。家も近いからいつも一緒に帰っている。まぁ、一緒に帰るというよりは彼女からついてくると言った方が適切かもしれない。

そんなある日の帰り道で珍しい事に彼女の方から話しかけてきた。

「部活・・・何に入る・・・?」

「うん、そうだな・・・。」

ウチの高校はサッカー、野球を始めとする大体どの高校にもありそうな部活はある。だが、それとは別によくわからない部活も存在している。

「B研とかどうよ?」

B研。何を隠そう、文房具研究会だ。

「え・・・文房具研究会はちょっと・・・。」

変な部活として近所でも有名だ。

だがしかし、B研なる部活は実質存在しない。それどころか、聞いた話では現在二年生の女子が1人いるだけで、活動らしい活動をしているところを誰も見た事がないという。そして現在部室として使っているのが校長室と言うのだから意味不明だ。

「そうだ!どうせ今から暇だろ!?」

「え!?・・・うん、でも」

「その『まさか』だ!!」

そう言ってガッチリと藍の手をつかみ走り出す。

「まだ『まさか』って言ってないのにー!!」

今きた道を全力で引き返した。

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