決断
随分と前回の更新から経ってしまいまして、まことに申し訳ございません!
感想など、励みになりますので
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砂まみれになってしまった会議室で、血まみれになってしまった会長と、定子、シュナイダーを取り囲み、緊急招集された文具協会のメンバー全員が失意の底に沈んでいた。誰も一言も発さない。
沈黙が、ただただ、ひたすらに。
皆が、それぞれの無力さに失望していた。
自分たちの大切な場所さえ守れなくて何が超能力か。
中には泣いている者もいる。
重い雰囲気の中、会長もまた重々しい口調で
「皆に、とりあえず聞いておきたいことがある」
と言った。
全員の視線が会長に向けられる。
「まだ、今でも、予言書を探したいと思うか。」
すすり泣きの声も聞こえなくなった。すると一人の黒人の男が意見した。
「俺は・・・こんな事はもう耐えられない!大体、文具協会の勝利のためにダイヤモンドの能力者が必須だと言っても、このままではそれを見つける前に俺たちがあいつらの手で潰されちまう!!そんな事なら捜索なんかしない方がいいに決まってる・・・いっそ、この協会も終わりにすればいい・・・結局、何の役にも立てなかったじゃないか・・・!」
黒人の男の目は充血し、目には今にもこぼれ落ちそうなほどの涙。
会長は少し黙ってから、みんなに諭すように話しはじめた。
「・・・ノモスの言うことはもっともだ。だがな・・・」
会長は眼を瞑る。
「・・・実はな、私とシュナイダー、“ペースト”がただ単にあの男に実力で負けたわけではないんだ。・・・昨日の会議に“ペースト”がいなかったのは皆知ってるな。」
それがどうしたのだろうか。なにか用事があったと言う訳ではないらしい。
「一昨日、私がここを留守にした日、あいつは文具協会を出て、自宅に帰ろうとし、あいつらに待ち伏せされていて捕まってしまっていたんだ・・・!」
ノモスという黒人の男は眼を見開いて黙って聞いている。
「昨日なにをされていたかは知らない。だが今日の朝、私が文具協会にくると白髪の男と既にボロボロの“ペースト”がいたんだ。シュナイダーも駆けつけたが・・・“ペースト”を囮に使われ、負けてしまった、ということなんだ。」
藍が隣で震えているのが伝わってくる。
「“ペースト”が解放された後で、私はほんの少しの間、不安定ながらも時空を歪ませなんとか“ルーラー”を召還したが・・・結果はお前らが見た通りだ。だが三人が同じタイミングで白髪の男と対峙していたなら勝てないはずはなかったと思う。全員で立ち向かっていれば絶対に・・・と言っても言い訳にしか聞こえないかもしれないな。だがな」
目を開いて会長は皆に聞いた。
「私達がここで諦めたとしたら病院で治療を受けている“ペースト”はどう思うだろうな?」
僕ははっとする。会長の言わんとすることが、なんとなくわかった。
「・・・あいつは、自分のせいだと思うだろうな。」
ノモスが息を呑む音がはっきりと聞こえた。
「そこで私は皆に提案する・・・捜索の続行を。」
少しざわつくかとも思ったが皆は黙ったままだった。
「私達はこんなチカラがあるけれど正義のヒーローじゃないから、綺麗事を並べたり、正義を貫く必要はない。でもな・・・義理だけは貫きたいと思うんだ!!」
会長は皆に訴えかけるがなぜか誰もなにも言おうとしない。
するとそこで
「私は、続行した方がいいと思います!」
藍が叫んだ。
しかし直ぐに顔を赤くし
「あ・・・新入りの私が・・・言っても・・・ダメ、ですよね。」
そういって縮こまってしまった。すると
「僕も続行に賛成、かな。」
シュナイダーだ。藍はシュナイダーを見る。シュナイダーが藍にウインクするのが見えた。
「皆は、どうなのかな?」
するとナズナも
「私も、賛成です。」
とつぶやいた。
そこでようやく皆が話しだした。
そこでいきなり大声が響いた。
「俺も賛成だ!!!」
声の方を見ると──────先ほどの、ノモスだ。
するとそれに続くようにあちらこちらで賛成の声が上がりはじめ、結局ほぼ全員が賛成したようだった。
会長はうつむいたまま言う。
「お前らも・・・私に付き合ってくれるんだな・・・ありがとう・・・!!・・・それじゃあ」
すっくと椅子から立ち上がり、会長は高らかに宣言した。
「文具協会は全力で仲間の仇に立ち向かい、予言書の捜索を続行する!!」
オー!!と全員が手を挙げながら叫ぶ。
こうして、僕らは戦うことになったのであった。
※訂正についてお詫び
編集の際に「いろは」と書いてしまったところは「藍」に修正しました!
以前、別のサイトにUPしていたときには
「いろは」だったもので・・・
誠に申し訳なく思います。
他にもそういう点を発見された方は
遠慮なくお申し付けください。
なるべく即日対応いたします。




