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文具戦争  作者: 文音マルタ
第二章:先輩と協会と
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犠牲


ドサっと音を立てて僕は背中から砂っぽい地面に着地する。藍と定子は上手く足から着地したようだ。

僕は手をついて起き上がり、辺りを確認する。前にきた事のあるあの砂漠だ。ええと、ビッグベンドなんとか公園だっけ?

「会長!!」

定子は叫び、血だらけで倒れている会長に駆け寄る。すると会長は何か言うために口を動かそうとして、身体の痛みに顔を歪ませそれを断念する。そしてその代わりに腕を少し動かして何かを指差す。

「・・・!!」

僕と藍は言葉を失った。なぜならそこには片足を失い、倒れている元会長代理の姿があったからだ。

定子が小さく唸る。

「ペースト・・・!」

そこで僕は気づく。そうか、「のり」の能力者すなわち“ペースト”、それは元会長代理の事だったのだ。初めて文具協会に来た時に話したきり、昨日の会議には出席していなかったようだった。

微かに動いている。呼吸はしている。良かった、死んではいない。

「ちっ」

誰かがしたうちをするのが聞こえた。僕たちは一斉に、数メートル離れたところに男が立っている事に気がつき、警戒しながら見る。

白髪に白のTシャツ───だったのだろうが今は血でほとんど赤に染まっている───を着て、顔には気持ち悪い薄笑いを浮かべている。そしてその背後にももう一人。こちらは倒れている。今まで戦っていたらしい。

「シュナイダーまで・・・!!」

定子が怒りを露わに歯ぎしりした。

白髪の男は定子と会長を一瞥し

「能力で無理やり空間を捻じ曲げて“ルーラー”を呼びましたか・・・会長さんは完璧に殺しておくべきでした・・・もう囮もないのに・・・まぁいいか。」

なにやら訳の分からない事を一人でつぶやいている。

と、次の瞬間、一瞬で白髪の男に接近した定子が巨大定規による斬撃を放った。

「おおっと」

白髪の男はかろうじて避ける。

だが次の刹那、怒る定子の追撃が迫る。男は、今度は流石に避けきれないのかと踏んだのか、手で一閃を遮る構えをとる。しかしいくら定規といっても側面には傾斜があるし、定子の定規はそれを強調させているからそれなりの切れ味はあるはずなので素手で防げるはずもなく白髪の男は切断される、と思われた。だが、定規が男の腕に当たる直前、白髪の男の腕から眩い光が発生したと思ったら次の瞬間─────定子の定規が消えていた。


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