首斬り、拳骨、一万回
「ようやく目が覚めたようだな。まあ、君の罪は君自身が存分に承知しているであろうし、既に裁判長様のご高説を厭というほど聞かされたのであろうから、今さら、長々と説明する必要はなかろう。ところで、どうして裁判長様のお話はああも長ったらしいのだろうな。君もそう思うだろう。裁判なんて形式的なものは、もっと簡略化しても良いのではないかと常々思っているのだが。つまるところ、どのような罪を犯したところで、刑を執行するのは私一人なのだし。だがまあ仕方がないのだろう。すまない、話が逸れたな……そうだ。君は嘘を吐いたのだ。罪には然るべき罰が与えられるべきだ。これから君に与えられる罰についての説明をしよう。安心してくれ。私はプロだ。これから行われる罰によって君の罪は浄化され、清廉潔白となった魂は必ずや神の御許へと辿り着くであろう。前置きが長くなったが、説明に入ろう。まず、君を頑丈な椅子に皮のベルトで縛りつけ、ナイフで喉笛を斬り裂く。この作業は血管を傷つけぬよう細心の注意を払って行われるので、出血多量にて死亡する心配は、まず、無い。次に、少々乱暴ではあるものの、傷口に両手を突っ込んで上下に強く引いて首を抉じ開け、食道の断面にジョウゴを射し込み、そこから針を千本、胃へと流し込む。当然、異物を感知した胃は蠕動や嘔吐によってこれを排除しようと試みるであろうが、問題はない。食道の端から針が飛び出したら再度、流し込むだけだ。最後に、拳骨で腹部を一万回殴りつける。針は折れ、曲がり、胃壁を突き破るであろう。この痛みは想像を絶するので、まず無理であろうとは思うが、覚悟をしておいて欲しい。一万回殴りつけた後は……おめでとう、君は解放される。自由にどこへでも行くが良い。まあ、自由の身となったところで、この刑――クビキリゲンマン刑を受けた者は耐えきれぬ胃の痛みにのたうち回りながら、長くとも数日以内には死亡するのだが。もし君が望むのであれば、刑を終えた後に、君の首を慈悲を持って斬り落とすことは可能だ。私にはその権利が与えられているからだ。首を斬り落としてくれと、一言そう言ってくれれば良い。君はどうする。殺して欲しいか。それとも地に這いつくばって存分に悶え苦しみ抜いてから鳥獣類に生きたまま喰われて死にたいか。まあ、それは後で決めれば良い。それでは、始めようか」
「くーびきーりげーんまーん、うっそつぅいたらはぁりせぇんぼんのぉーます」とか思って、なんか書いてたらこうなりました。