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ゴミ箱2  作者: 催吐剤
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桃太郎

 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。

 

 おじいさんは山で芝刈機に巻き込まれて死にました。

 戦車ほどの巨大な芝刈機はおじいさんの躰を容赦なく切り刻み、赤い霧状になったおじいさんを上部の噴射口から撒き散らしました。比喩でもなんでもなく文字通りおじいさんは粉々に、肉骨粉になりました。

 おじいさんの大部分は、血の匂いを嗅ぎつけた野犬やカラスどもに喰われましたが、一部は川へと流れ込み、そのため川の水は赤く染まったそうです。

 

 おばあさんは川で戦闘機に撃たれて粉々の肉片になって死にました。

 水が赤く染まったのを見て「何事か」と川へ近づいたところを、戦闘機に狙い撃ちされたのです。

 銃弾が雨あられと降り注ぎ、おじいさんと同様におばあさんも原形を留めないほど粉々に、肉骨粉になりました。

 大部分は火薬で焼けた肉の匂いを嗅ぎつけた野犬やカラスどもに喰われましたが、一部は川へ流れ込みました。

 

 おじいさんとおばあさんの粉末はどんぶらこ、どんぶらこ、と流されながら、水の中での再会を喜び合いました。再会を祝福するかのように川の魚たちがバシャバシャバシャと跳ねました。実際は肉を喰うために跳ねているだけなのですが、おじいさんとおばあさんにはそんなことは気になりませんでした。

 何故なら、生前あんなにも愛し合った相手と身も心も文字通り一体となることができたのですから。これ以上の幸せはありません。

 後に、おじいさんとおばあさんの肉骨粉が体内に残留した魚を食べた、ある島の住人たちが奇形化し、〝鬼〟と呼ばれ迫害されることになるのですが、それはまた別のお話です。

 

 めでたしめでたし

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