表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君だけに恋を囁く  作者: 煙々茸
君恋 第二章
10/10


 憂鬱な梅雨が明けて、時期は七月の半ば。

 カフェ兼アンティークショップ『Avec-toiアヴェク・トワ』は今日も賑わいを見せている。

「店長。こっちは貼り終わりました」

「てんちょー。こっちも終わったっスよ」

 こっちへやって来た日野と、商品棚の横から顔を覗かせた小笠原が口々にそう告げてきた。

「了解。二人共アクセコーナーの方に回ってくれ」

「分かりました」

「はいはーい」

 きびきび動く二人を見届けつつ、俺はレジ内で在庫の整理をしている。

 もう一人のスタッフ、片山さんにはカフェの方に入ってもらっていた。

 彼とはアレ以来プライベートな話はしていない。

 いや、普段もあまりする方ではないけれど、それ以上に酷くなっている気がする。

(……っていっても、あの人は全然普通に見えるんだけどな)

 自分だけが意識しまくっていることが少しばかり悔しい。

 だからって、相手の気持ちを知ったところでそれを受け入れられるかと訊かれたら、それは無理だ。

 片山さんのことは、大事な仲間としか思っていない。――今までも、これからも。

「てんちょー! とりあえず全部終わったと思いますよー」

 しゃがんで作業をしている俺に、カウンターに身を乗り出して声を掛けてきた小笠原。

 彼を視界に入れてから、俺は一度立ち上がる。

 アクセサリー売り場で片付けをしている日野の姿を見て、小笠原に次の指示を出す。

 今日は、明日総出で行われる棚卸のために、下準備をみんなに手伝ってもらっている。

 全部の棚に、紙に書かれた番号札を貼り付けて行き、サンプルとして出ている商品の空箱を、カウントしないように退ける作業だ。

 そして、夕方六時三十分少し前。

「二人共お疲れさん。そろそろ時間だな。退勤していいぞ」

 A帯で入っている日野と小笠原に帰るよう声を掛けた。

「それじゃあお先です」

「優ちゃんまた明日~」

「おー。気を付けて帰れよー」

 相変わらずレジ内にいる俺は、作業を再開しながら二人に返事をする。

 あと少しでココも終わる。

 なんとか無事に明日を迎えられそうだ。

(この後、片山さんとラストまでってのが、ちょっとアレだけど……)

 カフェの方を盗み見ると、無駄な動きなく働く片山さんの姿があった。

(ま、本人がいつも通りなら、俺がグダグダ悩んだって仕方ねーよな)

 一瞬止めた手を動かして、仕事に集中した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ